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シェイムのジョシュが語るプレベ愛と、歪み中心に構成するペダル・ボード
- 取材:辻本秀太郎(ベース・マガジンWEB)
- 通訳:川原真理子
- 撮影:Kazma Kobayashi
シェイムのジョシュ・ファイアンティが、自身のこれまでの歩みと最新アルバム『Cutthroat』を語ったインタビューはこちら。本記事では、彼のサウンドを支えるベース、エフェクター、アンプについてさらに詳しく聞いた。
バンドでの役割は、ある意味では“3本目のギター”のようなものだと思っている
⸺このインタビューでは、音作りについて聞かせてください。あなたはずっとフェンダーのプレシジョン・ベースをメインで使っおていますよね。
バンドを始めて数週間ほど経った頃にプレシジョン・ベースを借りたら、その音が素晴らしくてね。それ以来、ずっとプレベを使い続けているんだ。今回使っているのは、フェンダーからプレゼントしてもらったものだよ。以前は牛柄のすごく気に入っていたストラップを付けていたんだけど、真っ二つに折れてしまってね。あれには腹が立ったよ(笑)。だから今は、この地味なストラップを使っているんだ。
シェイムでは、ずっとドライヴの効いたプレベを弾いてきた。僕には、いつもこれがしっくりくるんだ。別のベースを試しても、結局は“やっぱりプレベだな”と戻ってくる。Peavey製T-40も持っていて、レコーディングでは素晴らしいベースなんだけどね。
僕のバンドでの役割は、ある意味では“3本目のギター”のようなものだと思っている。かなり高音域を出しているし、周波数でいえば、僕のベースが中音域の広い部分を占めて、その両脇をギターが固めているような感覚なんだ。うまく伝わるかわからないけど、とにかく3本目のギターのような音を出しているんだよ。この音は、“ゴミ箱のフタ”と呼ばれている(笑)。確かに、そんな音なのかもしれないね。
⸺これまで、ほかにどんなプレシジョン・ベースを使ってきましたか?
最初の頃は、父の友人が所有していた1973年製の黒いプレシジョン・ベースを、しばらく貸してもらっていたんだ。あれは本当に素晴らしかった。1stアルバムのレコーディングでもプレイしたんだ。あれほど音の良いベースには、その後出会えていないね……。今では3,000ポンドくらいするよ。とんでもない値段だよね。
⸺ベースを貸してくれたお父様の友人も、ベーシストだったのですか?
どうだろう。彼が持っていた唯一のベースが、そのプレベだったんだ。一度、僕たちのライヴを観に来てくれてね。“プレシジョン・ベースを持っているから、君が借りるべきだ”と言ってくれた。それで僕も“わかった”と、ありがたく借りたんだ。
ただ、そのあと彼は僕たちがステージでどんな演奏をしているかを実際に観たわけで……。借りているあいだに結構ボロボロにしてしまったから、ちょっと申し訳なかったなと思っているよ(笑)。
⸺日本に持ってきた2本は、比較的新しいものなのですね。
今回持ってきている2本は、どちらもフェンダーからもらったものだよ。2021年製と2025年製なので、新しいほうだね。メイン器(2021年製)はかなりボロボロになっているけど(笑)。一見するとまだ新しく見えるかもしれないけど、ステージではよく床に放り投げられているんだ。壊れているところもあるけど、音は出るから問題ないよ。
もともと、新品らしいきれいな見た目があまり好きじゃなかったんだ。もらったばかりの頃から、できるだけ早くボロボロにしてやろうと思っていた(笑)。
サンズアンプが僕のサウンドの中心なんだ。これひとつだけでもライヴはできるよ
⸺ペダル・ボードについても教えてください。
並んでいるのは、全部ドライヴ系だよ(笑)。まずサンズアンプがプリアンプの役割を担っていて、全体をアンペグ SVT-2のような音にしてくれる。これが僕の基本のトーンだね。
DRIVEは常に全開か、ほぼ全開。BLENDもほとんど全開にしている。そこからさらにドライヴを足して、さらにファズも加えるんだ(笑)。つまり、最初からかなりエグい音を作っておいて、そこからさらにエグくしようとしているんだよ。

⸺サンズアンプとアンペグ製SCR-DIは、どちらも常時オンにしているのですか?
そう、基本的にはどちらも常にオンだね。曲中で一度だけオフにする箇所があるかもしれないけど、最初から全開の音にしているから、それが急に消えると一気に勢いがなくなってしまうんだ。
アンペグのSCR-DIを手に入れたのは、サンズアンプが壊れたことがきっかけだった。今もメインはサンズアンプだけど、少し違うトーンを加えたいときにはアンペグもいいなと思ってね。
⸺あくまでサンズアンプがサウンドの核なのですね。
そう。サンズアンプが僕のサウンドの中心なんだ。これひとつだけでもライヴはできるよ。アンペグは、使うと楽しいから追加している感じだね。結局、僕にはドライヴした音が合っているんだよ。
ダークグラスのAlpha•Omegaも使っているけど、最近はスイッチの調子が悪くて、なぜか2回踏まないとオンにならないんだ(笑)。
⸺最も激しく歪ませたいときは、Electro-HarmonixのBass Big Muff PIを踏むのですか?
そうだね。ほかのドライヴは、基本のサウンドをさらに押し出すブースターのような感覚で使っている。でも、ビッグ・マフは少し扱いが難しいんだ。オンにすると、音の鮮明さが失われてしまうからね。
だから、ファズの質感が欲しいところだけで使っている。ライヴ中にオンにするのは、3回くらいかな。サンズアンプはずっとオンで、ほかのドライヴは曲ごとにオン/オフしている感じ。
⸺ギターが2本鳴っているなかでベースを埋もれさせないために、どのような工夫をしていますか?
ケンカするだけさ(笑)。1stアルバムの頃は、ふたりのギタリストがどちらもストラトキャスターを使っていて、高音域をジャキジャキと鳴らしていた。その後、エディはテレキャスターを使うようになったけど、今も高音域を鋭く鳴らすスタイルは変わっていない。一方で、ショーンの音には中音域が必要で、最近はどんどん太く、チャンキーなサウンドになっている。だから僕は、ときどき自分の入るスペースを探すのに苦労するんだ。

ただ、ライヴではいつもうまくいっているよ。とにかくカオスだから、全部をラウドにしてしまえばいい(笑)。難しいのはレコーディングのほうで、どうすれば各楽器を聴き取りやすく、心地よくまとめられるかを考えなければならない。
あとは、曲の作り方も大きいね。特に初期は、2本のギターがそれぞれ単音の鋭角的なフレーズを弾き、ハーモニーを作ることが多かった。そこにベースを加えて3声のハーモニーにしたり、リズムを少しずらしたりして、音の隙間を埋めていたんだ。コードを鳴らすパートと、鋭い単音を鳴らすパートが押し合いへし合いしながら、それぞれがどれだけ自分のスペースを確保できるか探っていったんだと思う。
⸺今回使っているベース・アンプは、ご自身のものですか?
今回はレンタルだけど、僕の定番はシルヴァーフェイスのアンペグ SVTだね。ブラックフェイスも好きだよ。以前は1973年製のフェンダー製Bassmanを使っていて、あれもかなり良かった。でも、なぜか以前ほど良い音が出せなくなってしまって、それからはシルヴァーフェイスのSVTを使うようになったんだ。

⸺アンプのEQは、どのように設定していますか?
基本的にはフラット。全部5にしているよ。ペダルボード側でかなりEQを作っていて、サンズアンプからハイ・ミッドとトレブルを強く出しているから、アンプはフラットにして、それをそのまま増幅させることが多いんだ。
サンズアンプ側のツマミはTREBLEは3時くらいで、DRIVEは4時くらい。MIDとBASSはほぼ中央だね。特別クレイジーな設定ではないよ。僕は、輪郭のはっきりした音が好きなんだ。
⸺ピックは、どのようなものを使っていますか?
普段よく使うのはグリーンのダンロップで、厚さは0.88mmだよ。ただ、今持っているのはアーニーボールの0.88mmだね。

⸺弦は何を使っていますか?
アーニーボールのレギュラー・スリンキー。以前はもっと太いゲージを使っていたんだけど、1弦が頻繁に切れてしまってね。それでレギュラー・スリンキーに替えたんだ。アーニーボールから弦を提供してもらっているよ。
⸺これまでのレコーディングで、指弾きをしたことはありますか?
シェイムでは一度もないね。
⸺ほかの活動ではありますか?
いい質問だな……たぶん、ないと思う。僕はもともとエレキ・ギターからベースに転向したから、ずっとギターのように弾いてきたんだろうね。コードもよく弾くし、いつもかなり破壊力のあるプレイをしている(笑)。思い返してみても、指で弾いたことはないと思うよ。
⸺ドライヴとトレブルを強く効かせたピック弾きが、ご自身のサウンドということですね。
そうだね。ドライヴとトレブルを思いきり効かせて、ピックで弾く。それが僕のサウンドだよ(笑)。



