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    んoon 積島直人が語る『Zoo』の低音【後篇】“ジャコがもし生きていたら”をイメージしながら

    • 取材:辻本秀太郎(Bass Magazine WEB)
    • 写真:宮下夏子

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    ジャコ・パストリアスがもし亡くなっていなかったら、今は6弦ベースを弾いているだろうなと思っていて

    この曲のテーマとしては、“ハープもあまり聴こえないし、シンセもすごく強い。なんとなく、俺らじゃなくてもいいんじゃない?”と思うような音を、あえて俺らがやるからウケるよね、という感じでした。

    自分たちの持っている引き出しをふんだんに出すことも重要だとは思うんですけど、あまり“出しにいく”感じにはしたくなくて。むしろ逆張りとしておもしろいと思っているので、すごく古臭い音の感じにしたかったんです。

    ヤフオクで買ったEBSのBassIQをかけっぱなしにしています。ど定番のものが欲しかったんですよね。Mu-TronとEBSで迷ったんですけど、EBSのほうが安かったので、こちらを使うことにしました。

    今までは基本的にLINE6のマルチ・エフェクターを使っていましたが、フィルターが開く/開かない、そのギリギリのところをコントロールするには、デジタル上で操作するよりも、実際にツマミがあるほうがやりやすいんですよね。

    これも自分の発明した奏法のひとつで、点描とか、ドット絵で陰影をつける表現ってあるじゃないですか。つげ義春の絵みたいな。ああいうことをベースでやろうとしています。

    音符を詰め込むというより、16分の点がずっとあって、そのなかにいろんな波やバリエーションがある、というイメージです。なので、ゴーストノートもなるべく聴こえるように、リア寄りで弾くことは意識しています。

    あと、これは妄想なんですけど、ジャコ・パストリアスがもし亡くなっていなかったら、今は6弦ベースを弾いているだろうなと思っていて。彼は自分でベースも改造してしまうような人だったので、彼の死後に出てきた弾きやすいベースやフィンガー・ランプも取り入れていたんじゃないかと。そういう“ジャコがもし生きていたら”をイメージしながら、ハーモニクスや速いフレーズも入れています。

    まず、我々がデモのビートを作っています。ドラマーが本メンバーにいないことは、ある意味メリットだと思っていて。ドラマーの好みや技術にとらわれず、好きなビートをセレクトできるんです。

    いろいろなサンプル・ビートを持ってきて、それこそドラムンベースのやり方じゃないですけど、長かった3拍系の拍子をすごく縮めたり、複数のビートを組み合わせたりしました。変なメトリック・モジュレーションというか、急に倍っぽくなったり、3連を4つ割りとして捉えるところと、3連のまま捉えるところが混ざっていたりする。そういうビートを切り貼りして、岸田さんに投げました。

    叩いてもらったあとは、その打音を切って、もともと作っていたサンプル・ビートと同じ音符に完全に当てはめていったんです。完全に岸田さんを切り刻んだというか(笑)。

    これは僕個人の感覚なんですけど、自分のベースはかなり伸び縮みするんです。ジャストなグリッドに対して前後するというより、言葉を話すときの間や抑揚に近い揺れ方というか。そういう“言語的な遅れ”みたいなものをイメージしているので、ほかのリズムはめちゃめちゃカッチリしているほうがありがたいんですよ。

    どっちもクセのあるポケットだと、単純に両方とも後ろに行っちゃう。でも僕はスクエアプッシャーもすごく好きなので、機械的なビートのなかで弾くほうが、ベースの外し方も生きるんです。だからドラムの打点は完全にDAWのグリッド上にあって、それを聴きながら弾きました。

    曲中ずっと弾き続けているので、パンチインはできないんです。だから、何回か通して弾きました。

    後半はベースを2ライン録っています。1本目が上のほうへ行っているから、2本目は下に行くとか、1本目が速く弾いているから、2本目では3連系で弾いてみるとか。そうやって録った2本を並べて、市松模様のように切り貼りしています。

    再現するんですけど、音源どおりに“このパートでこれを弾く”というより、けっこうランダムにしています。あまり楽譜的ではなくて、民謡とかに近いかもしれないですね。“これが始まったらこれにしよう”みたいな。自分のなかできっかけを決めている感じです。

    これはアップライトで弾いています。もともとはインスト・バンド時代からあったネタで、「MAR」みたいな、セミアコに近い音像でやっていたんです。

    ただ、僕がしばらく曲のネタを出せなくて、“ネタがない”と言っていたら、ウエスが勝手にいろいろ作り替えちゃって(笑)。その過程で、もともと録っていたウッド・ベースのデータを使いつつ、ウワモノをハメるためにDAW上でテンポを速くしたんです。それで音が縮んでるんですね。

    ベースを録り直すこともできたんですけど、それよりも、その変化した感じを生かすほうがおもしろいなと思って、そのまま使っています。再現可能ではあるんですが、ベースだけよく聴くと、DAWに取り込んで縮めたときの、変わったタイム感になっています。

    仮で録りためていたJCのヴォーカルのWAVファイルを、ランダムに切って、自分のビート・サンプラーにアサインしていたんです。それをフィンガー・ドラムで叩いていました。

    歌の音符を鳴らすというより、フレーズがぶち切られているような素材なんですけど、それを連続して鳴らすときに、ヘンなくっつけ方をしている。声がアナグラムのようにつながっていく感じというか。そういうものがウワモノにもかなり入っている曲です。もう本当にひっちゃかめっちゃかですね。

    これをライヴでどう再現するかは難しいところです。でも、みんなライヴでの再現性はあまり考えずに、クリエイティビティが制限されるくらいなら、もうぶち込んじゃおうぜ、という感覚があるんです。とにかく詰め込んで、ちょっと本当に気が狂っているような展開になっています。

    はい、音源は「HITSUJI」のままです。“どれかの曲の隠しトラックにしないか?”という話だったのを、ウエスが“単体の曲にしたい”と言い出して。45回転のレコードを33回転で間違えて再生したときの、めっちゃ遅くなるあの瞬間を表現したい、ということで。

    確かに、ヴェイパーウェイヴってそういう感覚がありますよね。単体の曲なんだけど、クッションとしてアルバムの最後につながるような、“喋らないナラティブ”みたいなことをやってみようというコンセプトでした。

    はい。もっとヨーヨー・マみたいに歌いたかったんですけど(笑)。そこは練習が足りなくて。今年のテーマは、“指弾きはこれ以上速くしても多分あんまり聴き取れないから、弓系の歌うプレイをちゃんともっと練習しようかな”と思っている感じです。

    ハープのフレーズが、今まで避けてきた“直球のハープのフレーズ”みたいになっていて。今までは速弾きとか曲芸みたいな方向は俺が一手に引き受けてたんですけど、ウエスに“このフレーズをハープでちゃんとやるんだったら、俺はわりとちゃんとしたベース弾くよ”みたいな話をして、わりと普通に長音系のプレイをしました。

    YouTubeで昔の番組を観ていたら、“𱁬”っていう“雲・雲・雲、龍・龍・龍」で書く一文字の漢字があって、それが苗字であるらしいんですよ。それを“おとど”って読むそうです。雲と龍をイメージしながら、本当に伸びやかな感じで弾きました。

    1stアルバムの1曲目は弓で一発録りをしたんですけど、そのときはかなり高音のほうのハーモニクスとかも出しています。コントラバスは高音のほうでハーモニクスを出すと、倍音がすごい豊かなので。そういうのはやっていたんですけど、こういう風にがっつり弓で弾いたのは今回が初めてですね。

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