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FEATURED BASSIST – ヘンリック[ダーティ・ループス]

  • Interview:Zine Hagihara and Tommy Morley

ひたすら音をぶつけ合うだけでじゃなく、それぞれをパズルのようにフィットさせる。

━━ダーティ・ループスの音楽は、音数も多くテクニカルな面もありますが、なぜか耳馴染みがよくキャッチーさを感じさせます。このバランス感覚はどのように考えていますか?

 主観的な意見だけど、例えばベース・ラインの動きを考えるときもメインのメロディ(=歌)を常に意識していることがポイントかな。ちょっとしたフィルをプレイするときは、ヴォーカルを邪魔しないように気をつけているよ。メイン・メロディの隙間を縫うようにプレイするときも、自分以外のプレイヤーが何をしているのかを常に意識しているし、お互いがイヤな干渉をしないようしているつもりさ。だから僕らのアレンジは時間がかかるのかもね。

━━3人でそうやって意識し合っているということでしょうか?

 そうだね。どこでシンコペーションするのか、どこで抑え気味にしたプレイにするのか、いろいろと話し合って決めていくんだ。僕らの音楽はビジー(せわしない)な曲が多いけど、それは僕ら3人がそういったタイプの音楽が好きだからという理由もあると思う。それに関しては気に入ってくれる人もいるだろうし、そうじゃない人もいるかもね。でも、僕らはただひたすら音をぶつけ合うだけでじゃなくて、それぞれの音がしっかりとフィットするように重ねているのさ、パズルのようにね。ただ単にインプロヴァイズするだけではなく、どの音がどんなリズム、音階で鳴っているのか、すべてを把握したぴったりの演奏をしているつもりだよ。

━━では最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします。

 まず、僕は君たちの雑誌の採譜の正確さにとても驚いている。ちょっと前に僕たちの「Automatic」を譜面にしてくれていたけど、あまりにも正確だったんで感動したんだ。OK、ここからはファンへのメッセージを送らせてもらうよ。ダーティ・ループスを聴いてくれて、本当にありがとう。僕にとってあまりにもたくさんの意味があることだよ。この新型コロナ・ウィルスによる状況が終われば、すぐにでも君たちみんなに会いに行きたいと思っているし、早く日本に行きたくて楽しみなんだ。このパンデミックのなかでもみんなが安全に過ごせることを願っている。ひとりひとりのまわりにいる人と、お互いのことを思い合って過ごしていこう。

Henrick’s Bass Gears

「ワールド・オン・ファイア」でのみ使用したのが、スェーデンの工房mattissonbassによるシグネイチャー・モデルの6弦モデル。深いカッタウェイが特徴的なSERIES IVをもとにしており、各弦に合わせた位置でフレットを打ち込むことにより正確な音程感を実現する“TTフレット”を採用している。指板材はウェンジで、それ以外の木材はヘンリック自身も把握していないとのこと。EMGのピックアップはハムバッカーとシングルの切り替えが可能で、基本的にはシングルで鳴らし、ソロ時にハムバッカーに切り替える。

「ロック・ユー」、「ブレイクダウン」、「ネックス・トゥ・ユー」で使用したmattissonbass製5弦モデル(画像左)。ネックはメイプル、ボディはアッシュという材構成だ。ピックアップはラングレン製のJタイプを2基、Pタイプを1基搭載しており、それぞれに対応したヴォリューム・ツマミを備えている。レコーディングではおもにJタイプ・ピックアップを鳴らして録音した。4弦モデル(写真右)もほとんど同じ仕様ではあるが、今後シグネイチャー・モデルとしての展開が予定されており、詳細な仕様はまだ仮のものとなっている。

◎Profile
へんりっく●3月16日生まれ。4歳よりピアノを弾き始め、中学生の頃にベースを手にする。レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーやマーカス・ミラーをルーツに挙げている。16歳よりセッション活動を開始し、ヨーロッパ最古の音楽学校である王立ソードラ・ラテン音楽学校でジョナ(vo,k)、アーロン(d)と出会い、のちにダーティ・ループスを結成。YouTubeにアップしたカバー曲の演奏動画が話題となる。2013年にシングル「ヒット・ミー」でデビュー。2014年に1stアルバム『ダーティ・ループス』(原題:Loopified)をドロップした。2020年11月18日に約6年ぶりとなる2ndアルバム『フェニックス』を発表した。

◎Information
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