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Interview – 高松浩史[THE NOVEMBERS]

  • Interview:Kengo Nakamura Photo:Susie(Live)
Fender Custom Shop 2018 LTD 58 Precision Bass

2018年9月に入手したフェンダー・カスタムショップ製のプレシジョン・ベース。2018年の限定モデルで、1958年製の仕様を踏襲している。ボディはアルダー、ネック/指板は1ピースのメイプル。ピックアップに改造点はないが、配線材やトーン・コンデンサーが交換されている。

ギターの歪みとの兼ね合いは、
どんどん難しくなってきている。

━━今作での使用機材は?

 ベースは、フレットレスは改造したESPで、アップライトはアルターエゴです。フレッテッドは全曲フェンダー・カスタムショップのプレべですね。その3本かな。DIはAPIのTranZformer LXで、アンプは使っていません。ペダルはかなり使いましたね。基本的にプリアンプは、サンズアンプ・ベース・ドライバーDIのVer.2と、ダークグラスのハーモニックブースターですね。歪みは、1995fxのStomach acheという僕がプロデュースして作ってもらったプリアンプも使っています。あとは、BECOSのCompIQ STELLA Pro Compressorというコンプをかけっぱなしで録ってますね。歪みは1995fxのSandy Drive IIを使ったりしました。

━━サンズとダークグラスの関係性は?

 サンズアンプって良くも悪くも上のレンジ感がナロウになるというか、ちょっと狭まるんですよね。ダークグラス系の音はわりと独特のハイの質感があるので、その部分を足してあげる感じです。あとはミッドの帯域も選べたりするので、曲によって“このへんがほしい”というところをブーストしてあげたりとか。

━━歪みサウンドで言えば、「Hamletmachine」はゴリゴリに歪んだサウンドですが、どのようにサウンドメイクを?

 これは1995fxのSandy Drive IIで、歪ませるっていうよりは、EQ的に歪ませる……ちょっと周波数を変えてあげるくらいの歪み感で使っています。あとは、ハーモニックブースターでトレブルを上げ目にしたりとか。

━━ハイを強調して歪み感を出していると。この曲はギターもかなり歪んでいますが、ギターの歪みとの兼ね合いはどう考えていますか?

 ギターの歪みとの兼ね合いは、どんどん難しくなってきていて。わりと、ギターのパンチ力が上がってきているんですよね。ギターの出番が減ってきているわりに(笑)。ギターもHX Stompを使って、アンプを鳴らさないでモデリングでああいう音にしていたりするんです。そうなると、ベースの立ち位置も難しくなりましたね。

━━なるほど。アンプで鳴らしてくれると空気が入って、マイクとラインで面の棲み分けができますけど、両方ラインになると同じ面にいることになりますよね。

 そうなんですよ。同じ世界で争わないといけない(笑)。だからけっこう難しいですね。ただレコーディングに関しては、今回は完全にギターがあと録りだったんです。ドラム、ベース、ギターっていう順番だったので、実はベースを録るときにギターのことはあんまり考えなかったというか。リズム・トラックと暫定的なシーケンスだけを聴いて、そこでカッコよく成立していればOKくらいの意識でした。

━━「消失点」のBメロはバキバキなシンベのような音になっていますね。

 ELECTROGRAVEのRIPPER FUZZっていうファズを使いました。これは思いっきりゲートがかかるファズで、そのゲートの加減を調整して歯切れのいい感じにしつつ、その前段にボスのOC-2で1オクターヴ下も出してますね。

━━オシレーターを重ねるみたいなシンセ・ベースの音の作り方ですよね。

 まさにそこを狙いましたね。もともと同じような感じでシーケンスが入っていたので、そこを音色も含めてなぞった感じです。サビではオクターヴだけを切ったファズ・サウンドになっているんですけど、難しかったのがゲートの調整。その前のセクションまででいい感じの設定で使うと、サビはフレーズがロング・トーンなので途中で切れちゃうんです。そこはちょっと苦労しましたね。

━━「Dead Heaven」は5音のフレーズを5拍子で繰り返していく変拍子です。演奏時はどのような意識で弾きましたか?

 5音のフレーズなんですけど、グルーヴの意識的には10個でひとつですね。

━━サビのところは、複音によるカッティングみたいなフレーズですね?

 ここは和音のフレーズを重ねていますね。例えば、最初は3弦5フレットのD音と2弦5フレットのG音の和音で、次に2弦5フレットのG音と1音上げチューニングにした1弦5フレットのD音の和音で、結果的に3和音になっているんです。最初はルートと4度の2音だけだったんですけど、もう少しパンチが欲しくなって、さらに上の音を足したんですよ。

━━複音のフレーズでも4度を使うっていうのは珍しいですよね。

 そうかもしれない。これは曲の雰囲気的に4度を強調したいっていうリクエストがあったんです。

━━さて、通常であれば、アルバムのリリース後にはライヴということなんですが、新型コロナウイルスの影響が大きいですよね。

 本当は5月末からツアーが決まっていたんですけど、延期で、今は日程を調整しています。でも、現実的に出口が見えない状態というか、何ヵ月後にどうなるっていうのがまったく見えない状態なので、なかなか難しいですよね。

━━配信でのライヴなど、新たな方法論を模索している人もいます。

 配信での無観客ライヴというのも、意味のあることだとは思うんです。でも、やっぱり実際にライヴハウスとかで体感するものとはちょっと違うじゃないですか。体験として、本当のリアルタイムのライヴっていうのはなくしちゃいけないことだと思うので、早くできるようになればいいんですけどね。明確に“いつからならしていいよ”っていうものでもないし、やれる環境になったとしても、以前と同じようにお客さんが来てくれるかはわからないですよね。絶対に身構える部分はあると思うし。だからかなり長期的な問題になるのかなとは思っています。

━━そういった状況を置いておくと、THE NOVEMBERSは今年、結成15周年ですよね。バンドを長く続けるということは簡単なことではないと思いますが、なぜTHE NOVEMBERSは長く続いているんだと思いますか?

 ここ何年かで、そういう概念、時間の感覚みたいなものがわからなくなってきちゃってるんですけど(笑)。ほかのバンドさんがどうかはわからないので、多分なんですけど、ちゃんとみんなが“カッコいいじゃん”って思えることができているっていうのが一番大きいと思います。“この曲、こういう部分がカッコいいよね”の“こういう部分”は人によって違うと思うんですよ。でも“カッコいいじゃん”っていう前提が共通していたりするのかな。あとは……なんだかんだ言って、仲がいいんですかね?(笑) バンドも人間関係ですから。そういう意味では恵まれたのかな。

◎Profile
たかまつ・ひろふみ●栃木県出身。2002年に高校の同級生だった小林祐介(vo,g)とともに前身バンドを結成する。2005年からTHE NOVEMBERSとしての活動を開始し、2007年に1stEP『THE NOVEMBERS』をリリース。現在までに7枚のフル・アルバムなどを発表している。2020年5月に8枚目のオリジナル・アルバム『At The Beginning』をリリースする。高松はLillies and Remains、BAROQUEのサポート・ベーシストも務めている。

◎Information
高松浩史 Twitter YouTube
THE NOVEMBERS HP YouTube