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【第96回】ウラの連続を安定させよう!“ウラをオモテとして感じる”裏技 第2部 Part 1 石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

  • Text:Jun Ishimura

ウラが連続して出てくるとリズムが崩れがちです。例えばこんなフレーズ。

下譜例の赤いところで、4音ウラが連続しています。

この先を読み進める前に、まずは課題の譜例を自分でも弾いてみてください。

安定したリズムで弾けましたか?  特に、ウラの連続のところをリズムが崩れないように弾けるかどうかがキモです。とはいえ 、“崩れないように”と気合いを入れすぎてリズムが硬くなってしまうこともあります。キッチリ弾くのも大事だけど、生き生きしたグルーヴが出せているかどうかも大事です。オモテだけを基準にして、オモテに重心を置いたままウラを演奏すると、特にウラが連続している箇所は不安定になったり流れが止まったりしがちです。では、どうすればいいか?

いろんなアプローチがありますが、今回は“ウラをオモテとして感じる”アプローチをします。本連載の第10回第11回第12回第13回でも“ウラをオモテとして感じる”がテーマでしたが、それとは違うアプローチをします。

さて、“ウラをオモテとして感じる”というのは、リズムの解釈・感じ方を変えるということ。そこで今回は変拍子を使って課題フレーズを再解釈します。プログレが好きって人以外は変拍子にあまり馴染みがないかもしれないし、正直興味ないわ〜って思ったかもしれないけど、実は普通の4/4拍子を変拍子で解釈することでグルーヴが向上したりリズムが安定したりします。

変拍子にもいろいろありますが、今回は7拍子です。慣れていない人もいると思うので、まずは7拍子のリズムの取り方から。いろんな取り方ができますが、今回のフレーズでは7=4+3ととらえます。譜面1Aのように、8分音符7個分のリズムを “1-2-3-4”と “1-2-3”の組み合わせとして感じます。譜面1Aを、声に出してカウントしながら手でリズムを叩いたり、適当な音(例えば3弦5フレットのD音など)を当てはめてベースで弾いてみましょう。慣れていないと、後半の “1-2-3”からアタマに戻るところに違和感があって転びそうになりますが、ひたすらリピートして慣れましょう。最初はゆっくり丁寧に、慣れてきたら少しずつテンポを上げます。

何も考えなくても自然に1Aができるようになったら、次は1Aに足のタップを追加した1Bです。“F”と書いてあるところで足をタップしますが、ただタップするだけじゃなく、そこに重心が乗っているイメージで弾きます。これも、後半の “1-2-3”からアタマに戻るところで転びそうになりますが、慣れましょう。アタマに戻ったところが、それまでの流れからするとウラのように感じられるかもしれないけど、足をタップしているところは全部オモテだと感じられるようになったらOKです。

これが基本ですが、このカウントの仕方だとテンポが速くなってくるとカウントするのが難しくなってくるので、次のカウント方法もやってみましょう(譜面2A)。これも、カウントしながら手を叩いたりベースで弾きましょう。慣れたら2Bで足を追加します。

このカウントでもさらにテンポが上がるとやりづらいので、カウントではなくシラブルを当てはめたバージョン、3Aもやってみましょう。慣れたら3Bで足を追加します。

繰り返しになりますが、足をタップしているところは全部オモテだと感じられるようになるまで練習しましょう

次回は、実際に課題フレーズを7拍子で解釈します。それまでに、いろんなテンポで、特に意識しなくても自然に7拍子を弾けるようにしておいてください。石村順でした!

石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

◎Information
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