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UKニューウェイヴのベース名盤“15選”(2004年8月号掲載)【BM Throwback】
- Text: Shutaro Tsujimoto (Bass Magazine Web)
『ベース・マガジン』のアーカイブから、“いま改めて読みたい”記事を紹介する『BM Throwback』。今回は、2004年8月号に掲載された特集「BM名盤ナビゲーター:UKニューウェイヴ編」を紹介する。
1970年代後期〜80年代中期に吹き荒れたニューウェイヴ/ポスト・パンクのムーブメント。“新たな音楽を生み出そう”という実験的な姿勢のもと、セックス・ピストルズを解散したジョン・ライドン(vo)が始めたパブリック・イメージ・リミテッド(PiL)を筆頭に、R&B、ファンク、レゲエ、ダブ、スカ、フリー・ジャズ、ラテンなど、ロックの“外側”にあったさまざまなスタイルを取り入れながら音楽表現を大きく押し広げたのが、このムーブメントだった。
となると当然、このムーブメントを支えるベーシストたちも、それまでのロック・バンドの流儀にとらわれない前衛的なベース・アプローチを開拓することとなる。エレキ・ベースという楽器のポテンシャルを拡げる斬新な奏法やサウンドがこの時代のイギリスから多く誕生したことは、ベース史を語るうえで見逃せない事実なのだ。JAPANのミック・カーン、ジョイ・ディヴィジョンのピータ・フック、ザ・スミスのアンディ・ルーク、XTCのコリン・モールディング、デュラン・デュランのジョン・テイラーetc……と、独創性に溢れるベース・ラインを聴かせるプレイヤーが相次いで登場し、このムーブメントをユニークな低音で彩った。
本特集が掲載されたのは2004年。フランツ・フェルディナンドや、ザ・ストロークス、ザ・キラーズ、ブロック・パーティー、ザ・ラプチャーといったUKニューウェイヴに影響を受けたバンドたちが、“ポスト・パンク・リバイバル”としてもてはやされて時代だった。そして月日が経ち近年、再びのリバイバル。2020年代版の“ポスト・パンク”がバンド・シーンを盛り上げていることは現行のバンド・シーンに注目している音楽リスナーならご存知のとおりで、本誌でもブラック・ミディやブラック・カントリー・ニュー・ロードといった同シーンを牽引してきたUKバンドのベーシストにインタビューで迫り、その低音アプローチを紹介してきた。
そんな今、オリジナルのニューウェイヴ/ポスト・パンクの名盤たちを2025年の感覚をもって再訪してみてはいかがだろう。その常識にとらわれないリズムや音色のアイディアや、今も色褪せないアンチ・ロックな低音プレイの数々を確かめてほしい。
『BM名盤ナビゲーター:UK ニューウェイヴ編』(2004年8月号掲載)


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ベーシスト必聴の
UKニューウェイヴのベース名盤“15選”
「UKニューウェイヴのベース名盤“15選”」では、以下の15枚が紹介されている。
1:『My Aim Is True』(1977年)
エルヴィス・コステロ
ベーシスト:ジョン・チャンボッティ、ニック・ロウ(「Mystery Dance」)、アンドリュー・ボドナー(「Watching the Detectives」)
2:『Y(最後の警告)』(1979年)
ザ・ポップ・グループ
ベーシスト:サイモン・アンダーウッド
3:『Cut』(1979年)
ザ・スリッツ
ベーシスト:テッサ・ポリット
4:『Unknown Pleasures』(1979年)
ジョイ・ディヴィジョン
ベーシスト:ピーター・フック
5:『Entertainment!』(1979年)
ギャング・オブ・フォー
ベーシスト:デイヴ・アレン
6:『Metal Box』(1979年)
パブリック・イメージ・リミテッド
ベーシスト:ジャー・ウォブル
7:『Zenyatta Mondatta』(1980年)
ザ・ポリス
ベーシスト:スティング
8:『Killing Joke』(1980年)
キリング・ジョーク
ベーシスト:ユース
9:『New Age Steppers』(1981年)
ニュー・エイジ・ステッパーズ
ベーシスト:ジョージ・オーバン、スティーヴ・ベレスフォード
10:『Drums and Wires』(1979年)
XTC
ベーシスト:コリン・モールディング
11:『Tin Drum』(1981年)
ジャパン
ベーシスト:ミック・カーン
12:『Heaven Up Here』(1981年)
エコー・アンド・ザ・バニーメン
ベーシスト:レス・パティンソン
13:『Rio』(1982年)
デュラン・デュラン
ベーシスト:ジョン・テイラー
14:『. . . From Across The Kitchen Table』(1985年)
ペイル・ファウンテインズ
ベーシスト:クリス・マッカファリー
15:『The Queen Is Dead』(1986年)
ザ・スミス
ベーシスト:アンディ・ルーク
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