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Empress Effects最新モデルが提唱する“新時代”の低音

  • Photo:Takashi Hoshino

Maker Interview
スティーブ・ブラッグ(Empress Effects代表)

今回の特集に際しブランド・オーナーのスティーブ・ブラッグ氏へインタビューを敢行。製品に込められたこだわりを聞いた。

汎用性と使いやすさを高い次元で両立させる。

━━Bass CompressorとParaEQ MKII/MKII Deluxeは、過去の製品をブラッシュアップさせたペダルとなります。新製品ではなく後継機を発表した理由とは?

 実はオリジナルのCompressorとParaEQの発表時の売れ行きはそこそこだったんです。ですが年々口コミで評判が広がっていき、当社のベストセラー・ペダルと言えるほどの人気となりました。ときがたつに連れ、ボードに収めるための小さなサイズ感やトップ・ジャックなどの要望が市場から出てきたため、それに応えるようアップデートしたのです。求められたアップデートに加えて、実用的な機能も多く追加しています。

━━ParaEQに関して、“MKII”と“MKII Deluxe”の2種類をラインナップさせた狙いを教えてください。

 ParaEQにはさらに機能を追加したいと強く考えていたのですが、同時にオリジナルのシンプルさもなくしたくなかった。そのため皆さんが選べるよう、ふたつのオプションを用意しました。オリジナルの機能をより小さいサイズで求めるならParaEQ MKII、追加機能とさらなる汎用性を求める人のためにDeluxeを作りました。

━━MKII Deluxeにハイパス/ローパス・フィルター、ハイ/ロー・トーン・コントロールを搭載した狙いと、ベーシストへの有効性とは?

 ParaEQを開発した当初、ハイパスやローパス・フィルターが必要ならほかのEQペダルを組み合わせればいいと考えていました。しかしローパスとハイパスというシンプルなフィルターがあれば、EQはもっと多様な使い方ができると気づいたのです。例えば特定のフリケンシーより上または下のオーディオを除去して、シグナルの帯域幅を制御したいと思うことがあるでしょう。ローパスとハイパスを使えば、これが可能になります。そしてハイとローのBaxandallトーン・コントロールは、シンプルに信号へスウィートさを加えます。パラメトリック・コントロールで特定のフリケンシーを積極的にエディットでき、かつ4つの追加フィルターでより一般的なトーン調整も可能なことは、ベーシストを含むすべてのプレイヤーに役立つはずです。

━━ParaEQ MKIIならびにMKII Deluxeをベーシストが使ううえでのお薦めの使い方を教えてください。

 この2機種はすでに多くのベーシストに使われています! 各プレイヤーのセットアップ、音の趣向や好み、インスピレーションは異なるため、とにかく実験してみるのがベストでしょう。例えば異なる用途で使用するため、ベースを複数持っている人も多いと思いますが、それぞれにクセがあるはずです。そのクセを取り除き、異なるベースでも最高のサウンドを引き出すのにParaEQは最適です。またアップライト・ベースの場合は、マイクに由来する低域の濁りを改善し、高域を音楽的に響かせるのも大きな使用例です。

━━Bass Compressorは発売から2年半の期間で、定番機として高い評価を獲得しています。コンプレッサーには多くの人気製品があるなか、このような評価を得たのにはどんな理由があると考察しますか?

 市場にはたくさんの素晴らしいコンプレッサー・ペダルがあります。私たちのペダルが常にベストとは言いません。それぞれのペダルにはそれぞれの良さがあるのです。Bass Compressorで私たちが目指したのは、できる限りトランスペアレントであることと、楽器を真に輝かせる美しいトーンを実現することです。またノイズもできる限り最小にし、その静音設計はスタジオで初めて体感できるはずです。そして最後に、汎用性と使いやすさを高い次元で両立すること。LEDメーターはまさしくそのために搭載し、視覚的なフィードバックは最高なトーンを素早く設定するために役立ちます。これらの要素を高いレベルで実現できたことが評価につながったのだと思います。

━━サイドチェイン・ハイパス・フィルターを搭載した理由と、お薦めの使い方を教えてください。

 オリジナルのCompressorにあったサイドチェイン端子には、シンプルなハイパス・フィルターをインサートするのがいいと、ほとんどのユーザーは気づいたと思います。そのため新型ではあらかじめハイパス・フィルターを用意しました。インサート端子はそのまま受け継がれているため、好みのデバイスを自分で接続することもできます。このサイドチェインのフィルターはオーディオ経路ではなく、内部のスレッショルド検知回路の直前に配置されています。そのため直接サウンドを変えずに、圧縮の感度を低域と高域で変化させることが可能です。地味な機能ではありますが、ベースのサウンドをよりスムーズにするのにとても効果的です。

━━レシオのみスイッチによる切り替え式を採用した理由は?

 名機と呼ばれるコンプレッサーでみられるベストなレシオに限定することで、素早くシンプルに設定できることを狙っています。

━━今後、ベーシストに向けた製品の開発予定はありますか? 

 ベース専用のParaEQを作ってほしいと多くのベース・プレイヤーから言われてるんですよ! もしあなたもほしいと思うなら、Empressまでぜひメッセージを送ってください。

━━最後に、日本のベーシストに向けてメッセージをお願いします。

 特にエフェクターに関しては、ベース・プレイヤーはギターほどスペースが確保されていないですよね? 私たちはそれを変えたいんです。Empressのすべてのペダルはギターと同じようにベースでも最高のサウンドを生み出すので、一度試してみてください。そして昨年には東京ペダルサミットに参加するため初めて日本を訪れ、日本を大好きになりました。素晴らしい人々がいっぱいの美しい国に戻るのが待ちきれないです。今は日本語も勉強しているので、次に会うときは日本語でお話しできると嬉しいです!

製品に関するお問い合わせは、アンブレラカンパニー(☎︎042-519-6855)まで。 
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