UP

Empress Effects最新モデルが提唱する“新時代”の低音

  • Photo:Takashi Hoshino

Total Impression

3機種の試奏を終えたイガラシの目にEmpress Effectsはどう映ったのか。

ライヴならこの2台でメインの音作りが完結できる。

 今回3モデルを試奏させてもらって、体感としてはレコーディング機材とかのラック機器を足下に置いているような質の高さを感じました。まずどのペダルも幅広い使い方ができる。ParaEQ MKII は単なるEQとしての機能を超えて現場でのいろいろなシチュエーションをカバーしてくれると思うし、Bass Compressorは上品にも使えるけど、ガッツリとコンプ感を出す方面じゃなく、パンチを出す使い方もできたりと、可能性が広がります。一回使っちゃうと代わりが効かないかもしれませんね(笑)。

 実際の現場を想定してParaEQ MKII DeluxeとBass Compressorを組み合わせて使ってみたんですけど、普段のライヴで必要とする要素はこの2台で満たせるなって思うくらい、ライヴならこの2台でメインの音作りが完結できます。基本の音をParaEQ MKII Deluxeで作って、曲によって持ち上げたりとか制御したい部分でBass Compressorを踏む。そしてさらにゲイン感が欲しいときはブーストを踏む、という3段階の音作りができます。自分がベースを弾くときに求めているものって主にこの段階なので、それが2台でまかなえるのは嬉しいです。どちらも原音に忠実で、素の音がドライとして扱われているのもポイント。ブースターも本当にクリーンだし、コンプもドライに振り切ったとき素の音と一緒だから使いやすい。メーカーのこだわりを感じる部分でした。

 パッと見るとツマミが多くてハードルが高いと思いがちだけど、フラットの状態の音が本当に良くてそこから始められて完結もできる。だから初めてコンプやEQを使う人も問題なく扱えると思うし、“とりあえず良い音を出せる”って意味ではビギナーにもお薦めしたいです。もちろん用途がはっきりした、ペダルに触り慣れている人も満足できる精度なので、人を選ばす使える万能なペダルたちだと思いました。

Profile
いがらし●6月17日生まれ。高校時代にコントラバスを始め、大学入学後にエレキ・ベースを手にする。2011年にwowaka(vo,g)を中心に、イガラシ、ゆーまお(d)で前身バンドを結成。2012年にシノダ(g)が加入し“ヒトリエ”として活動を開始し、2014年にメジャー・デビュー。2019年にwowakaが急逝し、シノダがヴォーカル・ギターを担当する3ピース形態となる。2022年6月に3人体制2作目となるアルバム『PHARMACY』をリリースした。イガラシは[忘れらんねえよ]などのサポート活動も行なう。ピザが好き。
Official HP

・  ・  ・

User’s Voice
Mutsumi

ここではBass Compressorを愛用するMutsumiに、自身の使い方とオススメポイントを語ってもらった。

高音域が良く伸びて気持ちいいですね。

━━Bass Compressorを導入しようと思ったきっかけは?

 ドライ音を混ぜられるということと、コンプがかかる周波数をコントロールできるという点が魅力的で導入しました。

━━ペダル・ボードでのBass Compressorの接続位置を教えてください。

 ベース→(Zahnrad製)4000pre→コンプという感じで、最初のほうにつないでいます。

━━自身のツマミのセッティングにはどんなポイントがありますか?

 ベース本体のアタック感が損なわれず、あとにつないでいる歪みのかかり方が気持ち良くなるよう意識しています。低音が損なわれないのも気にしていますね。

━━Bass Compressorの一番の推しポイントとはどういった部分でしょうか?

 ミックスのツマミが付いていることで、かなりナチュラルにかけることもできます。キツくかけたときはアタックが強く強調されるというより全体的に潰れるという印象です。でもかけすぎても破綻しませんね。

━━最後に、Bass Compressorはどのような人にお薦めだと思いますか?

 コンプレッサーの基礎を学びたい人、原音をしっかり残しておきたい人、伸びるような低音が欲しい人にお薦めです。僕はスラップを頻繁にやるのですが、高音域が良く伸びて気持ちいいですね。

Mutsumiの愛用セッティング
Profile
ムツミ●6弦ベーシスト。自身のYouTubeチャンネルやSNSでのハイ・テクニカルなベース・プレイ動画がきっかけとなり話題となる。またラウド・ロックとEDMを融合させたプロジェクト、MAD P.O.Pでも活動しており作曲も担当している。知名度が上がった今もなお顔を表に出さずに活動しているため、謎多きベーシストではあるものの、今最も注目を集めるベーシストのひとりだ。
Twitter

▼ 次ページではメーカー・インタビューを掲載! ▼