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井上陽介

Profile
いのうえ・ようすけ●大阪音楽大学作曲科卒業。1991年よりニューヨークを拠点に活動。日野皓正、ハンク・ジョーンズ、穐好敏子など数多くのミュージシャンと共演する。2004年に活動の拠点を日本に移し、自己のグループのほか、塩谷哲、渡辺香津美、大西順子などのグループで全国で演奏活動を行なう。ジャズのみならず佐藤竹善、絢香、JUJU、May J.などのポップスのサポートも手がけている。最新アルバムは今年9月リリースの『Next Step』。
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Q1:あなたのベース・プレイに影響を与えた音楽アルバム作品を、あえて1枚あげるとするとなんですか?

『School Days』スタンリー・クラーク
(1976年)

Q2:その作品を最初に聴いたのはいつ、どんなきっかけでしたか?

中学2年生の頃。ロック・バンドを始めて間もない頃、ベースを始めて間もない頃でもあって、大阪の楽器店にベースを買うために見に行っていたときに店員さんから教えてもらい、その場で店内にかけてもらったのが初めてです。

Q3:その作品のどんな部分に影響を受けましたか?

ベースという楽器の概念が変わり、サポートする楽器からフロントに立ってソロができる楽器であるということを知りました。ベースでしか表現できないダイナミクスやうねり、色気のようなものを感じ取り、自分でもそういったベースでしか表現できない世界を目指すようになりました。またエレクトリックとアコースティックを両方使い、ジャンルを問わずいろんな音楽を演奏できるところにも強く影響を受けました。

Q4:特に印象的なベース・フレーズは、なんという曲のどの部分ですか?

タイトル・ナンバーでもある「School Days」のイントロのコード弾き。そして途中のソロの始まりのアタックが効いていながら色気のある2音。しびれます。

Q5:その作品/ベーシストの影響が最も表われていると思う、自身の楽曲/ベース・プレイは?

今までリリースしたアルバムはどれも影響を受けていると思いますが、自身の10枚目の新しいアルバム『Next Step』のなかの僕のオリジナル「Magic Touch」ではアコースティック・ベースでファンクを演奏しています。ソロも含めてジャズを基調としながらいろいろな音楽をダイナミックに表現するスタイルは強く影響を受けていると思います。

Q6:2021年に初めて聴いたもので、ベース・プレイが印象に残った作品はありましたか?(アルバム/楽曲、新譜/旧譜は問いません。)また、その作品の聴きどころを教えてください。

ジョン・スコフィールドの『Swallow Tales』です。ベースはスティーヴ・スワロウさんです。エレクトリック・ベースでピック弾きを多用しながらジャズを演奏するのも珍しいですが、音数も厳選された燻し銀の演奏には、昨今のテクニック重視の音楽界においてとても新鮮な印象を受けました。ベース本来のダイナミクスやうねったビートなど、人間味溢れる演奏に耳を奪われました。

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