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【第115回】ベースのピッキング改善! そのピッキング、バタバタしすぎかも? 石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜
- Text:Jun Ishimura
バタバタしたピッキング、見直したほうがいいかもしれません。
ちょっと自分の演奏を、鏡や動画でチェックしてみてください。指弾きだったら指がバタバタ大きく動いているピッキング、ピック弾きだったら手首の振れ幅がやたらと大きいピッキングになっている人は要チェックです。こういうピッキングをしている人で、リズムや音色に問題がある場合、そのままリズムの改善に取り組んだり、いろんな機材で音色を整えようとするよりも、まずピッキングそのものを見直したほうがいいです。
指を動かすスピードが同じなら、距離が長くなればなるほど移動時間がかかります。そうなると、音を出そうとしたタイミングに間に合わなかったり、速いフレーズが弾けなかったりしがちです。それに、大きな動きは精密なコントロールがしにくいのでアラのある演奏になりがちです。距離が短ければ移動時間も短いので速いフレーズも弾きやすいし、小さな動きだと精密なコントロールがしやすいので、音の粒を揃えたり細かいニュアンスを表現するのも可能になります。なので、バタバタしていない最小限の動きのピッキングをオススメします。
もちろん、振れ幅の大きいピッキングをしていて、リズム的にも音色的にも自分のイメージ通りの演奏/まわりが納得する演奏ができているのであれば、まあ他人がとやかくいう問題ではないでしょう。とはいえ、大きい振れ幅のピッキングでの指先 (ピック)の移動距離って“必要か、必要でないか”でいえば必要ないわけです。たとえば、弦が少し暴れたときのアグレッシヴな音色を出したい場合、最小限の動きでコンパクトに弾くピッキングに比べたら多少の助走距離はあったほうがいいですが、それでもギリギリ必要最小限の動きを目指したほうがいいです。
なぜなら、動きが大きいほどエネルギーを消費するので疲れやすいから。数十分のライヴをやって、あるいはプロの場合なら数時間のライヴをやったくらいで、指や手、腕が痛くなったり疲れたりしてませんか? もしそうなら、体の使い方・エネルギーの使い方に問題があります。数時間のライヴをやったあとに、はい、じゃあもう1回同じライヴをやるよ、となっても全然OK!という体の使い方じゃないとダメです。
もちろん体を痛めないようにというのも大きいけど別の面もあります。音楽の演奏で一番大事なのは精神的な集中力ですが、ご存じのように体が疲れると精神的な集中力も衰えるわけで、そこも大きな問題です。ライブ中やライブ後に手が痛くなったり疲れてしまう場合、ライブ後半は精神的な集中力も減った状態で演奏してることになり、そんな状態ではいい演奏はできません。
数時間ライブで演奏してもバテない筋力・持久力を身につけるのももちろん大事ですが、いくら筋力や持久力がアップしても、エネルギーのリーク(漏れ)があるならもったいない。無駄をなくすことが大事で、そのひとつがピッキングの動きの無駄をなくすことです。具体的には、
①必要最小限の動きでピッキングする
②必要最小限の力だけを使ってピッキングする
の2点が大事になってくるわけです。
バシバシ強くピッキングしないことで、弦も少し長持ちすることもメリットです。元々ベースの弦ってギターの弦より高いし、昨今、弦の値段も上がってますから、少しでも長持ちしてくれると嬉しいですよね。
ということで、いまバタバタしたピッキングをしているなら、ちょっと腰を据えて“無駄のない効率的なピッキング”を身につけることをオススメします。第113回、第114回の動画も参考にしてください。石村順でした!
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石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。
◎Information
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