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【Live Report】三者三様のチョッパー・サウンドが響き渡る、チョパレボの宴!

  • Report:Takahisa Kondo

BAND:THE CHOPPERS REVOLUTION
BASSIST:鳴瀬喜博、IKUO、Taka Murata(村田隆行)
●2023年9月19日(火) Billboard Live YOKOHAMA

ベースをエンターテインメントに昇華させる、
一代スペクタクル・ショー

 鳴瀬喜博(b, vo)、IKUO(b, vo)、Taka Murata[村田隆行](b, vo)によるトリプル・ベース・ユニット、THE CHOPPERS REVOLUTION。活動10周年を迎えた2022年には3rdアルバム『FAN×K』をリリース。タイトルどおり、“ファンク”と“ディスコ”をテーマにした作品ではあったが、3人のベースがアンサンブルとして溶けあう、トリプル・ベースの新しい形を見せた作品であった。今回のライヴはその集大成という意味も込められており、3人のベーシストに、坂東慧(d)、長﨑祥子(k)、ゴスペル・シンガーのKiKi(vo)、そしてホーン・セクションにKOH TAIRAKU(tp) 、山﨑ユリエ(sax)、という、豪華フルメンバーで登場。今回、レポートするのはその2ndステージだ。

 本編はアルバムの冒頭を飾る「Pop Up Da Funk」から始まった。ミュージックマンのスティングレイでどっしりとしたスラップを効かせる村田、8弦ベースやフィルター系のエフェクターを駆使して楽曲を彩る鳴瀬、緩急を付けたスラップでスピード感をコントロールするIKUO……三者三様の色を見せる挨拶がわりの1曲だ。

 鳴瀬のコード・ストロークから始まる「チョパレボ・ショッピングPart3」では、ときにはドミノのように3人のメロディが入れ替わり、ときには3人がハモったりと、楽曲が立体的に構築されているのが印象的。作品でも聴くことのできるアンサンブルの妙を見事に再現している。

 そして、ブラザーズ・ジョンソンの「Ain’t We Funkin’ Now」へ。ここではやはり、ミュージックマン・スティングレイを抱えた村田が、ルイス・ジョンソンばりのオーセンティックな“チョッパー”を披露、スライドを大胆に入れながらバッチバチの痛快なチョッパー・ソロも聴かせる。鳴瀬はレンジの広いサウンドを活かしてカッティング、IKUOがボトムに回って楽曲の重心をグッと下げるなど、ここでも3つのベースがそれぞれ分担しながらうまく役割を活かしている。この曲ではセンターの村田がソロを取り、坂東のドラムが会場の空気をさらに暖めていく。

 続くアルバム収録曲「Funk On」では、村田がテレキャスターに持ち替え、小粋なギター・カッティングを披露。IKUOがボトムのリフを奏でつつ、ホーン・セクションが楽曲の雰囲気をゴージャスに。ここでは高域が伸びる鳴瀬のメロディが映えるが、長﨑のキーボード・ソロをはじめ、それぞれの見せ場を作っている印象だ。

 そして、鳴瀬とIKUOとステージを降り、ステージ上のベーシストは村田ひとりに。KiKiがセンターに立った途端、会場の空気が一変する。楽曲の成り立ちを観客に語りかけながら始まった曲は「アメイジング・グレイス」。村田のベースはバスドラムとシンクロし、音価の調節とオブリを入れながら熱量をコントロールしている。

 なにより、その全体を司るのはKiKiの歌声だ。その空気感に馴染むトランペットとサックスのソロも秀逸。空を舞うKiKiの指先の表現でバンドのサウンドが刻一刻と変化していく様子が伝わってくる。曲終わりに村田の解説でも語ったとおり、言葉を発するシンガーのエネルギーに伴奏者が合わせる、というゴスペルの真髄を見せてくれた。

 KiKiが作ったこの荘厳な雰囲気を、IKUOが「So Bad」でさらに変える。ソロのセクションでは、IKUOはアクセントをつけながらの指弾き、親指を交えたフラッシーな指弾き、そして高速アップダウンを入れたIKUO式スラップなど、華麗な技を惜しげもなく繰り出す。そこにキーボード、サックス、トランペットがなだれ込みソロ合戦が始まる。ダメ押しの壮絶なドラムソロからメイン・テーマに戻るという、一大スペクタクルが展開される。“みんなでIKUOさんを倒す(笑)”というこの時間、その結果はいかに!?

 先にも述べたとおり、ファンクとディスコというテーマの今回のライヴであるが、その流れに立ち返り、村田のサムピングから始まったのは「Higher」だ。ホーン隊やコーラスが加わる豪華なアレンジが実に贅沢である。さらに、テンポ・チェンジして続いた「Release Your self」においても、小気味のいいチョッパー・ベースが鳴り響く。後半は鳴瀬の8弦ベース+爆音+歪みサウンドが火を吹き会場にいる全人類を圧倒。大盛況で本編が終了した。

 アンコールはお待ちかね、3人組のヴォーカル・グループ、上岡まこと&ザ・チョッパーズアイレスが登場。長﨑の切ないピアノの調べとともに3人が登場し、現在、JOY SOUNDでも絶賛配信されている名曲「追いかけて関東」を熱唱した。ミラーボールが輝くなか、上岡まこと(村田)がタメを効かせたヴォーカルを聴かせ、ベースのべんべん(鳴瀬)によるチョッパーが楽曲をタイトにまとめあげる。最後はマクソンJワイアレス(IKUO)の軽快なダンスとシャウト、煽りで本公演は終了した。

 いつもながら、ベースを主体にしたユニットながら、ステージに立つバンド・メンバー全員の魅力を聴かせつつ、エンターテインメントとして成立させるのがチョパレボ流。今回もアクション映画を1本観たあとのような、爽快感と心地よい疲労感に包まれた。

■参加ミュージシャン
鳴瀬喜博(b, vo)
IKUO(b, vo)
Taka Murata[村田隆行](b, vo)

長﨑祥子(k)
坂東慧(d)

KiKi(vo)
山﨑ユリエ(sax)
KOH TAIRAKU(tp)