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第38回:魔法の巻物【高松浩史“その箱の中は地獄より深い”】EarthQuaker Devices / Scrolls
- Text : Hirofumi Takamatsu
生粋のエフェクター・フリークとして知られる高松浩史(The Novembers/Petit Brabancon)による連載『その箱の中は地獄より深い』。
マニアも唸るディープな分析から、ビギナー向けの実践的な解説まで、エフェクターの奥深い世界を独自の視点で掘り下げます。
第38回:魔法の巻物
ベース・マガジンWEBをご覧のみなさま、こんにちは。
高松浩史です。
9月。
天気が悪い日が多かったように思います。
湿度も上がり、楽器のコンディションも変わりやすいですね。
こまめなメンテ!
さて、今回はこちら。
EarthQuaker Devices / Scrolls

僕の尊敬する先輩、中尾憲太郎氏とEarthQuaker Devicesとの共同開発。
かなり話題になっているので、もうご存知の方も多いかもしれませんね。
発売からずっと気になっておりましたが、最近ようやく試せて、今どっぷりとハマっております。
こちら、コントロールはたくさんありますが、左側が歪みペダル、右側がプリアンプとなっていて、それぞれ個別にオンオフできます。
エフェクターが2つくっついていると考えていただければ。
コントロールはたくさんありますので、一般的なものは割愛させていただきます。

ブリブリと鳴り、ローもしっかり残る歪み
歪み側で特徴的なのはBandwidthですね。
歪みの作られる帯域が変わるという感じ……。
SONIFIX “AURION”のCharacterコントロールに近いかなと。
文章ですと説明したり想像したりするのは難しいのですが、通常のトーン・コントロールとは似ているようで違うという、不思議な感覚です。
こちらとToneで歪みの質感を作っていきます。
歪みのズバズバした部分はBandwidth、カチカチしたところはToneという感じでしょうか。
Bandwidthを上げても、Toneを上げても高域が立ち上がってくるので、Bandwidthを上げた際はToneを下げ目に、逆にBandwidthを下げ目にした時はToneを上げ目にするとバランスが良くなりそうです。
まずはおおまかな方向性を決めるために、Bandwidthから設定すると良さそう。

歪みの質感は、ブリブリと鳴りつつ、ハイの部分がビリビリと出ている感じです。
どちらかと言えばヴィンテージ寄りかな。
ローがしっかり残るのが良いですね。
歪み量は結構多め&歪みの存在感がかなり大きいので、派手な歪みにもできちゃいます。
ディストーションというよりかは、超ハードなオーバードライブという表現が近いですね。
逆にあまり歪ませなくても良い感じ。
BlendをDRY寄り(下げ気味)にして、クリーンの上にうっすら歪みが乗るようにしても存在感が出てかっこいい音になります。
サチュレーション的な発想ですね。
痒いところに手が届くプリアンプ
次にプリアンプ部分。
目を引くのは、3つのスイッチでしょうか。
左から
Deep……低音域(80Hz)のブースト
Process……中低域を削ってドンシャリに
Bright……高音域(5kHz)のブースト
このような感じになっています。
それぞれがかなりしっかり効くので、押すと一気にキャラが変わっておもしろいです。
特にProcessは簡単にかっこよくなれます(笑)。

個人的にこのペダルのキモはVariとVari-Freqかなと。
公式には“3バンドEQで補えない帯域の補正”との説明があります。
20Hzから10kHzという幅広い帯域から好きなポイントを選んで、足したり引いたりするという感じですね。
例えば、僕が好きな使い方なのですが、Processをオンにしてドンシャリにした上で、少しドンシャリすぎるなと感じたら、Vari-Freqで好きなミッドのポイントを探して足してあげたり、ということもできます。
なので、“(3つのスイッチも含めた)3バンドEQで補えない帯域の補正”ですね。
本当にできることが多いです。
できることが多いということは、その分音作りに迷ったりしてしまいますが、痒いところに手が届くのは良いですよね。
僕は最初音を出したときに、“プリアンプ側にもBlend欲しいかも……”と思いましたが、使用していくうちに“やっぱりBlend必要ないかも……”になりました。EQが12時の状態だとほぼ原音と同じ音で、“原音に少しプラスしてこういう音にしたい”といったこともできるので。
音作りはスイッチ→EQ→Variの順で
音作りのコツとしては、
最初はEQやVariは12時にしておいて、スイッチを押してみる。
→好きなキャラ、方向性になったら、EQで音作り。
→最後にVari-Freqで足りない/いらないポイントを探す。
という風に下の段から決めていくとやりやすいかなと感じました。
あと、かなり多機能です。
SEND / RETURNがついているので、歪みとEQの間にエフェクターを接続できたり、Parallel Outでバッファーを通った原音を出力できたり、Direct Outからキャビネットシミュレーターがかかったラインの音をとれたり…。
Direct Outからの音はまだチェックしていないので、楽しみにしているところです。
以上、今回はEarthQuaker Devices “Scrolls”についてご紹介いたしました。
とても良い機種なので、話題になっているのも納得です。
まだ体験したことがない方はぜひ試してみてください。
それでは、今回はこの辺で。
ご覧いただきありがとうございました!
◎Profile
高松浩史(たかまつ・ひろふみ)●栃木県出身。The Novembers、Petit Brabanconのメンバーとして活動中。そのほか、Lillies and Remains、[ kei ]、健康、松本明人のサポート・ベーシストも務めている。
◎Information
高松浩史 X Instagram
◎連載一覧はこちらから
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