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二家本亮介が弾くGenzler Amplification Nu Classic

  • Photo:Masao Sekigawa

 2016年にニューヨーク州ブルックリンにて創業されたアンプ・ブランド、ゲンツラー。かつてゲンツ・ベンツを創設し、自身もベーシストであるというジェフ・ゲンツラー氏の固定概念を覆すプロダクトで高い評価を得ている同ブランドから新たなキャビネットが登場した。試奏者に二家本亮介を迎え、最新のゲンツラー・サウンドをチェックしていこう。

軽量でコンパクトなスピーカー・キャビネット

NC-112T

Specifications
●許容入力:300W(8Ω)●スピーカー:フェライト12インチ×1、コンプレッション・ブレット型ツイーター×1●端子:スピコン×1、1/4インチ・フォン×2●周波数特性:43〜14kHz●クロスオーバー:4.7kHz●外形寸法:420(W)×394(D)×520(H)mm●重量:12.7kg●価格:オープンプライス(市場実勢価格:74,800円前後)

NC-210T

Specifications
●許容入力:500W(8Ω)●スピーカー:フェライト10インチ×2、コンプレッション・ブレット型ツイーター×1●端子:スピコン×1、1/4インチ・フォン×2●周波数特性:47〜14kHz●クロスオーバー:4.7kHz●外形寸法:420(W)×394(D)×667(H)mm●重量:17.7kg●価格:オープンプライス(市場実勢価格:96,800円前後)

 ゲンツラーから登場した“NU CLASSIC”は、コンパクトかつ軽量な新しいキャビネット・シリーズだ。ややクラシカルな雰囲気を持つルックスながら、タイトな低域〜中域とクリアな高域、素早いレスポンスと、モダンなサウンドにも対応できるよう開発されており、スムース・ジャズからクラシック・ロック、メタルまで、あらゆるタイプのサウンドにマッチする。
 ウーファーには伝統的なスピーカー・キャビネットに多く搭載されていた、磁力の強いフェライト/セラミック・スピーカーを採用することで、高音の伸びに優位性をもたせている。一方で、12ミリのポプラ合板を使用したキャビネットはバスレフ構造となっており、キャビネット内部で低域を増幅し、迫力のある低音の再生に寄与している。
 ラインナップは、12インチ・ウーファー1発とツイーターを搭載したNC-112Tと、10インチ・ウーファー2発とツイーターを組み合わせたNC-210T。10インチが2発のキャビネットでは、スピーカーをキャビネット内で横や斜めに並べて横長の筐体スタイルを採用しているメーカーも多いが、NC-210Tでは縦長のキャビネット・デザインになっているのも特徴だ。キャビネットは内部の側面から背面にかけて独自の三角形ブレイシングを施し、軽量ながらも頑丈な構造となっているほか、運搬時に便利なメタル・ハンドルも装備している。

NC-112Tは筐体後方に、NC-210Tは筐体側面にハンドルが取り付けられており、運搬時に便利だ
入力端子はフォン端子のほかスピコン端子にも対応。ツイーターの効きを調整するつまみも装備している

二家本亮介 × Nu Classic

ここからはゲンツラーのアンプ・ヘッド“MAGELLAN”シリーズと組み合わせて、各キャビネットをチェックしていく。

NC-112T+MAGELLAN 350

ローB弦でもローの頼りなさが全然ない。

 ローB弦を使うときって、一般的な12インチ1発だとちょっと厳しいというか、やっぱり15インチが必要なのかなって思っていたんです。小さい口径のスピーカーが1発だと、ちょっと引っ込むというか、“あれ?”って思うこともあるんですね。でも、これはそこがめっちゃ優秀ですね。ローの頼りなさが全然ない。4弦と5弦を行き来したときの音に差がない感じがすごくいいですね。さすがにロック・バンドだと12インチ1発では厳しいかもしれないですけど、ジャズ/フュージョンのセッションとかならこれ1発でもいいと思いますし、レコーディングでも使えそうですね。ハンドルがついていて片手でも持てるくらいの軽さっていうのもありがたいです。

NC-210T+MAGELLAN 350

目をつぶって聴くと、このサイズとは思えない。

 12インチ1発と弾き比べると、こちらのほうがスッキリしているサウンドで、上の帯域がキレイに出ている気がしますね。ローBの再生感も、よりはっきりしています。それに目をつぶって聴くと、このサイズとは思えない音。それこそ、10インチ4発くらいの迫力があるし、2発でもレンジ感は全部カバーできている。見た目はヴィンテージ感がありますけど、わりとヘヴィなロックでも使えそう。あとは10インチ2発って横長の筐体のものが多いと思うんですけど、これは縦型なのもいいですよね。わりとジャズ/フュージョン系の狭いギグだと、立ち位置的に“アンプをどう置こうかな?”っていうこともけっこうあるんです。そういうときに助かりますね。

NC-112T+NC-210T+MAGELLAN 800

全部を補えている、しっくりとくる音。

 おぉ〜、迫力ありますね。それぞれのキャビ単体で弾いたときにも感じましたが、見た目と実際に出てくる音のギャップがあって、音だけ聴いていたらこのサイズだとは思わないと思う。キャビをスタックにするときの一番大きい組み合わせでよくある、15インチ1発と10インチ4発みたいな感じがありますね。爆音のロック・バンドでも負けないと思います。個々のキャビネットだけでも充分に良かったんですけど、この組み合わせで使ってみると、さらにしっくりとくるというか、ミドルの押し出し感もアタックもロー感も全部を補えている。それがこのサイズから出ていますからね。2段で詰んだときにキレイに幅が揃っているのも気持ちいい(笑)。

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