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二家本亮介が弾くGenzler Amplification Nu Classic

  • Photo:Masao Sekigawa

試奏で使用したアンプ・ヘッドは?

MAGELLAN 800

軽量高出力のフラッグシップ・ヘッド

 軽量高出力を謳うゲンツラーのフラッグシップ・アンプ・ヘッドがMAGELLAN 800。クラスDパワーアンプ設計により2.83kgという軽量さと800Wの大出力を実現した。プリアンプ回路はクリーン/ドライブの2チャンネル仕様で、可変ミッド・フリケンシー(150Hz~3kHz)付きの3バンド・アクティヴEQを装備。そして最大の特徴は2種のコントゥアーで、Aは中域をカットしながら低域と高域をブースト、Bは高域と超低域をカットと、トーン・カーブが異なっている。入出力端子は、DIアウト、チューナー・アウト、エフェクト・ループ、AUXイン、ヘッドフォン・アウト、フットスイッチ・インと充実。入力を下げるパッド・スイッチやミュート・スイッチも実戦での利便性を高めている。

中域をカットしながら低域と高域をブーストするA、高域と超低域をカットしていくBという2種のトーン・カーブを備えたコントゥアー・コントロールが特徴だ。
入出力端子も充実。DIアウトはグランド/リフト、ポスト/プリEQ、ライン/マイク・レベルのスイッチを装備。フットスイッチはクリーンとドライブの切り替え用。

Specifications
●出力:400W(8Ω)、800W(4Ω)、800W(2.67Ω)●コントロール:ヴォリューム、ドライブ・ゲイン、ドライブ・ヴォリューム、コントゥアー・シェイプ、ベース、ミッド、ミッド・フリケンシー、トレブル、マスター・ヴォリューム、ミュート・スイッチ、パッド・スイッチ、チャンネル切り替えスイッチ、コントゥアー・カーブ切り替えスイッチ、インピーダンス・セレクター、グランド/リフト・スイッチ、ポスト/プリEQスイッチ、ライン/マイク・レベル・スイッチ●入出力端子:インプット、スピーカー・アウト×2、ヘッドフォン・アウト、フットスイッチ・イン、センド/リターン、AUXイン、チューナー・アウト、DIアウト●外形寸法:286(W)×267(D)×76(H)mm●重量:2.83kg●価格:オープンプライス(市場実勢価格:98,780円前後)

MAGELLAN 350

 MAGELLAN 350は、MAGELLAN 800のコンセプトを受け継ぎつつ1チャンネル仕様となったモデル。パッド・スイッチ、チューナー・アウト、エフェクト・ループなどを省略してはいるが、“ベースの特徴やトーンを忠実に再現すること”をコンセプトとしたMAGELLANシリーズの本質を体現する。

Specifications
●出力:175W(8Ω)、350W(4Ω)、350W(2.674Ω)●コントロール:ヴォリューム、コントゥアー・シェイプ、ベース、ミッド、ミッド・フリケンシー、トレブル、マスター・ヴォリューム、ミュート・スイッチチャンネル切り替えスイッチ、コントゥアー・カーブ切り替えスイッチ、インピーダンス・セレクター、グランド/リフト・スイッチ、ポスト/プリEQスイッチ、ライン/マイク・レベル・スイッチ●入出力端子:インプット、スピーカー・アウト×2、ヘッドフォン・アウト、AUXイン、チューナー・アウト、DIアウト●外形寸法:228.6(W)×249.8(D)×67(H)mm●重量:1.75kg●価格:オープンプライス(市場実勢価格:64,900円前後)

総評

このサイズ感でこんなに迫力があるのは驚き。

 ゲンツラーのアンプ・ヘッドは今回初めて弾いたんですが、コントゥアーのつまみがすごくいいなと思いましたね。チューブっぽいファットな感じにも、ギラッとしたドンシャリの感じにもいける。正直、“メーカーが変わったのかな?”っていうくらい変わるから、幅広く使えそうだし、それがつまみひとつで作れるのがいい。あと、MAGELLAN 800のドライブ・チャンネルの歪みも良いですね。僕はアンプに付いているドライブの歪みって、そんなに信頼していないんですけど(笑)、これはコントゥアーのつまみをからめてメタリックな方向性もいけるし、古き良きロックで使われていたような温かい歪みもいける。レコーディングでも使える歪みだと思います。

 そうやってヘッドで作れる幅広い音をしっかりと再生してくれるキャビネットだなという印象です。そのなかでも、モダンでハイファイな音に行ったときに過度にギラギラしすぎずにちょうどいいところで収まってくれる。ツイーターも僕は結構上げ気味で使うこともあるんですが、マックスでも耳に痛くないですし、実用性のある範囲で効いてくれます。なによりキャビネットが軽いのがいいし、このサイズ感でこんなに迫力があるんだっていうのは驚きですね。重たいアンプって、運ぶのが本当に大変で。それだけでちょっとやる気が削がれるんですよね(笑)。その点、軽いアンプはいいなと思うんですけど、やっぱりどこか、“ベース・アンプは重いほうがいい”っていう考え方もあったんです。それが今回、ちょっと変わりました。

二家本亮介
にかもと・りょうすけ●山口県岩国市出身。高校を卒業後メーザーハウスに入学。2012年有形ランペイジでデビューし、これまで嵐、上原ひろみ、ずっと真夜中でいいのに。、西川貴教、DEAN FUJIOKA、DIMENISION、King & Prince、Sexy Zoneなどの作品に参加している。

製品のお問い合わせは、イースペック(☎︎06-6636-0372)まで。◎https://genzler.jpn.org/

本記事は 『ベース・マガジン 2021年8月号』の特集記事を転載したものです。同号の表紙は、新作『東京』をリリースした東京事変の亀田誠治と刄田綴色。特集『最強のリズム・セクション』では、古今東西さまざまな名リズム体を紹介し、ベースとドラムのコンビネーションについて掘り下げています。ぜひチェックしてみてください!