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    フジロック’26をベース目線で総括⸺クルアンビン、The xx、韓国勢まで、苗場で響いた低音

    • Report : Shutaro Tsujimoto (Bass Magazine WEB)
    • Photo (The xx) : Masanori Naruse

    7月24日(金)から26日(日)にかけて、新潟県・苗場スキー場で開催されたFUJI ROCK FESTIVAL ’26。The xx、クルアンビン、マッシヴ・アタックをヘッドライナーに迎え、国内勢でもHi-STANDARD、Fujii Kaze(藤井 風)、XGらが出演。土曜日の1日券と3日通し券が完売し、前夜祭を含む4日間で延べ12万3500人を動員した。

    藤井風

    本誌にとっても、フジロックは毎年多くの刺激を与えてくれる場所だ。昨年は、ヘッドライナーとして初来日を果たしたヴルフペックがGREEN STAGEに登場し、直後にはベーシストのジョー・ダートを迎えたベース・マガジンWEB主催のセミナーも実現した。それから一年。今年も苗場では、世界各地のさまざまな音楽とともに、数多くの印象的なベース・プレイに出会うことができた。

    インスト・バンドの潮流を作ったクルアンビン。オリジネーターとしての貫禄のグルーヴ

    クルアンビン

    ベーシスト的な大きなトピックのひとつは、やはり2日目にヘッドライナーとして登場したクルアンビンのローラ・リーだ。個人的には2019年のFIELD OF HEAVENでのステージも観ているだけに、はるかに大きなGREEN STAGE、それもヘッドライナーという立場で、あのミニマルなサウンドがどう響くのかには興味があった。

    マーク・スピア(g)の、思わず何度も“うますぎる!”と叫びたくなるほど鋭く正確なカッティング、ドナルド・“DJ”・ジョンソンの極限まで脱力したドラム、そしてローラのキャッチーでグルーヴの塊のようなベース・ライン。そこにペダル・スティールなどを操るサポート・メンバー、ウィル・ヴァン・ホーンを加えた最小限の編成ながら、GREEN STAGEでもその強力なバンド・アンサンブルが薄まることはなかった。なかでもローラのベースは、驚異的な音価コントロールとも言うべきプレイで、シンプルなのに自然と身体が動いてしまう。

    オーディエンスがGREEN STAGEを埋め尽くすような光景ではなかったが、PA卓付近にはゆらゆらと身体を揺らしながら観られるくらいのスペースがあり、結果としてライヴを楽しむうえではありがたかった。派手な演出や大団円を作り出すタイプのヘッドライナーではないが、終盤にはBPMやダイナミクスの変化でしっかりと高揚を作り、最後までクルアンビンらしさを崩さなかった。その姿が何よりかっこよかった。

    クルアンビン

    今年は、“クルアンビン以降”を感じさせるようなインストゥルメンタル・バンドも数多く出演していた。デビュー以降、クルアンビンがファンクやサイケデリック、各地の伝統音楽を組み合わせたようなサウンドで、ダンスアクトとしてフェスの現場でも求められるインスト・ミュージックの可能性を大きく広げてきたことは確かだろう。昼間からそういったバンドをいくつか観たあとだったからこそ、彼らの存在感の大きさと、パイオニアとしての圧倒的なオリジナリティ、そして力量を改めて感じさせられた。

    今回の来日ではローラへのインタビューも実現した。デビュー作の再録盤『The Universe Smiles Upon You ii』の制作背景から、グルーヴの秘密、最新の機材事情までじっくり話を聞いているので、こちらもぜひ楽しみにしてほしい。

    The xxで再発見した、ベーシストとしてのオリヴァー・シム

    The xx

    もうひとり、ヘッドライナーで強く印象に残ったのがThe xxのオリヴァー・シムだった。The xxというバンドに個人的に深い思い入れはあるものの、これまでオリヴァーを“ベーシスト”として強く意識して観てきたわけではない。しかし今回、あの極端にミニマルなアレンジのなかで彼の演奏を追っていると、その凄みがよくわかった。前回の単独での来日公演も観ているが、以前にも増してベース・プレイヤーとしての表現が研ぎ澄まされているように感じた。

    ベースをどこに置き、どれだけ伸ばし、どのタイミングで切るのか。自分の歌やジェイミーxxのビート、ロミーのギターとの関係を捉えながら、右手のタッチひとつで楽曲の重心を細かく調整していく。バンドの音数が少ないからこそ、その裏では極めて繊細な音の抜き差しとトーンの調整が行なわれている。音響や演出も含め、個人的には今年もっとも深く印象に残ったステージだった。

    オリヴァー・シム(The xx)

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