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【第98回】ウラ多めのフレーズを変拍子で攻略! “ウラをオモテとして感じる”裏技 第2部 Part 3 石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

  • Text:Jun Ishimura

ウラが苦手ならウラをオモテとして感じよう! ウラ多めのフレーズを変拍子で攻略するシリーズ・パート3です。前回前々回の内容ができるようになった前提で話を進めます。

前回のex.3は以下のようなフレーズでしたが、今回やるex.4はex.3のあとに1/4拍子を1小節くっつけたパターンです。普通は1/4拍子なんて出てこないので戸惑う人もいると思いますが、要するに“4分音符を1個くっつける”という意味です。前回同様に7/8拍子“タンタンタタン”を2回やったあとに、1拍“タン”をつけて頭に戻ります。Fのところで足をタップします。

これまでの練習で7/8拍子のループに慣れてきていると、今回追加した1拍のところでリズムがコケやすいので気をつけましょう。頑張らなくても自然にEx.4ができるようになるまで、いろんなテンポで繰り返します。

次はex.5です。といっても、実はフレーズはex.4と一緒で、それを4/4拍子で書いているだけです。というか、そもそも最初の課題フレーズに戻ってきただけなんですね。

この譜面を見て演奏する場合、普通は下記のように拍ごとに区切ってリズムを取る人が多いと思います。これはこれで、ひとつの見方、取り方です。

|タンタン|タタンタ|ンタンタ|タンタン|

でも今回のシリーズにしっかり取り組んでくると、同じフレーズをex.4の取り方(=ex.5のTAB譜の下の区切り)で取れるようになります。

|タンタンタタン|タンタンタタン|タン|

この取り方をすると、“譜面上ウラが連続しているところ”をオモテの連続として感じられるようになります。その利点がいくつかあって、
①“拍のオモテに重心を置いてオモテに対するウラとして演奏する”よりも確信を持って演奏できる
②その結果 リズムがより安定する
③リズムの重心を拍オモテ以外の場所にも載せ替えることで縦ノリではないグルーヴが生まれる
などです。

ポイントは、主にex.4(=ex.5の下のカッコ)の捉え方でリズムを感じつつも、同時に普通の4分音符(=普通の拍のオモテ)も感じることです。つまり、ポリリズム(複合リズム)として感じるのが大事なんですね。これを身につけるために、まずex.6をやります。やりやすいテンポで拍のオモテにクリックを鳴らしつつ、Fのところで足をタップしてex.4のリズムの取り方をイメージしながら演奏します。

これに慣れたら、ex.7のようにクリックと合わせて拍のオモテで足をタップしながら弾きます。こうすると普通のリズムの取り方に戻ってしまいがちですが、そうならないよう、内面ではex.4の取り方をキープすることに集中します。ex.4の取り方だと3つパーツがあるので、“パーツごとに別の楽器を演奏しているつもりで演奏する”とわかりやすいです。例えば、ひとつめのパーツはバリトン・サックス、ふたつめはアルト・サックス、3つめはトランペット、という感じです。

こんな風に、拍のリズムと、それとは別の単位のリズムの両方を感じながら演奏できるようになると、今までとは違うグルーヴが出るし、とにかく気持ちいいです(これが大事!)。

ということで、ウラの連続を変拍子を使ってオモテとして感じるシリーズ、どうでしたか? ちょっとマニアックだったかもしれないけど、新たなリズム感が目覚めるのでぜひじっくり取り組んでほしいです。今回のフレーズと同じリズムを骨格に使ったフレーズはたくさんあるので、見つけたら今回のアプローチを応用して攻略してください! 石村順でした!

石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

◎Information
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