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    サンダーキャットが語るベース愛「手描きで仕上げられているものには特別な魅力がある」

    • Interview : Shutaro Tsujimoto(Bass Magazine Web)
    • Translation : Tommy Morley
    • Photo : Takashi Hoshino

    2026年4月にニュー・アルバム『Distracted』をリリースし、5月にジャパン・ツアーで来日を果たしたサンダーキャット。ここでは東京・豊洲PIT公演で撮影した使用機材を見ていこう。ソニック・ザ・ヘッジホッグや『エヴァンゲリオン』シリーズのアスカ・ラングレーをモチーフにした愛器を本人が解説してくれた。

    また、サンダーキャットが今回の来日時に自身のベース・アプローチやプレイの哲学、練習法などについて語ってくれたインタビューはこちらから。

    サンダーキャット
    Photo by Yukitaka Amemiya

    THUNDERCAT’S BASS

    5月19日の豊洲PIT公演で撮影した、アイバニーズ製Artcoreカスタム・モデル2本。今回の公演でほぼ全篇で使用されたのは、ソニック・ザ・ヘッジホッグが描かれたゴールド・スパークルの1本(写真①)。シグネイチャー・モデルを基にした仕様で、13ピンMIDIを搭載している。赤いスパークルのモデル(写真②)は、『エヴァンゲリオン』シリーズのアスカ・ラングレーをモチーフにした1本で、2021年夏頃から使用。ボディの裏側にもペイントが施されていた(写真③)。

    thundercat_sonic bass
    thundercat_asuka bass

    ②は小ぶりなボディを試す意図から生まれたモデルだが、一方で本人は“ボディにある程度の幅や厚みがあるほうが、視界の端で楽器の位置を把握しやすくて扱いやすい”とも語っていた。ステージ裏には長年使用してきたサンバーストのArtcoreカスタム・モデルも予備として用意されていた(写真④⑤)。弦はいずれもラベラ製フラット・ワウンド弦を張っている。

    thundercat_bass asuka behind

    INTERVIEW : サンダーキャットが語る愛器

     これまで、こういったペイントが施されたベースをたくさん持っていたわけではないんだ。もちろん、美しい楽器にグラフィックを入れること自体は珍しいことではないけれど、手描きで仕上げられているものには、やはり特別な魅力があると思っている。このベースにソニック・ザ・ヘッジホッグを描いてくれたのは、親友のダン・マクウィリアムズというアーティストなんだ。彼は僕のタトゥーのデザインも数多く手がけてくれていて、本当に素晴らしいアーティストだよ。

     このベースが今回のツアーに間に合う保証はなかったんだけど、ダンとアイバニーズが全力を尽くしてくれたんだ。日本ツアーに間に合って良かったよ。ソニック・ザ・ヘッジホッグ30周年への敬意を込めたものでもあるからね。

     そこは気をつけなければいけないところなんだ。このベースはスルーネック構造だから、天候によって状態が変わることがある。だから、ネックを緩めすぎたり、弦高を下げすぎたりすると、楽器にダメージが出る可能性もある。とはいえ、実際には弦高はけっこう低めに設定しているね。それは長年プレイしてきた経験とも関係している。手を痛めたくないし、少なくともこのベースに関しては、少し低めの弦高のほうがフレージングしやすいと感じているんだ。

     フラット・ワウンド弦を使うと、ラウンド・ワウンド弦とはまったく別の世界が開けるんだ。最初から弾き込まれたような感触があるし、サウンドもかなりデッドになる。指に触れたときの感触も、フラット・ワウンドのほうが好きなんだ。もちろんラウンド弦にも良さはあるよ。時にはベースに少しザラついた質感や荒っぽさが欲しくなることもあるからね。音楽のなかでのベースの役割は、必ずしも前面に出ることだけではないし、そういうダーティな要素がベースにキャラクターを与えてくれることもある。

     ただ、新品のラウンド弦はサウンドが不自然に変わってしまうことがあって、厄介なこともある。新品特有のハイからミッドにかけての感じが耳についたり、ベタつくように感じたり、ブライトすぎたりすることもある。その点、フラット・ワウンドはそういった問題をかなり解消してくれるんだ。

     途中で切り替えたんだ。20代の頃だったと思う。MTDからアイバニーズのベースに持ち替えたことが、自分のサウンドを新たに作り直していくきっかけになったんだ。もちろん、マイケル・トバイアスは僕のサウンド作りに大きく貢献してくれたし、実際に今でもレコーディングではMTDのベースを弾くことがある。あの赤いMTD製ベースに代わるものはないよ。

     ただ同時に、その時期はサウンドやベースという面で、別の方向へ進んでいく時期でもあったんだ。その次の居場所を与えてくれたのが、アイバニーズだったんだよ。

     そういう面もあるね。僕の歌い方の関係で、構えたときに横隔膜のあたりに重さがかかっていると、空気を押し出しやすくなるんだ。歌ううえで、間違いなく助けになっている。

     それに、この重さがあることで、しっかりと安定するような感覚もある。逆に軽すぎると、ときどき手に負担がかかることもあるんだ。だから重さそのものは、プレイだけでなく歌においても大事な要素なんだと思う。だから、あえてこんなに重く作られているんだよ(笑)。

    ※インタビューは上の記事からの抜粋

    PROFILE
    サンダーキャット
    1984年生まれ、ロサンゼルス出身。サンダーキャットことステファン・ブルーナーは、ドラマーの父ロナルド・ブルーナー、兄ロナルド・ブルーナー・ジュニアを持つ音楽一家で育った。10代でスイサイダル・テンデンシーズに加入し、フライング・ロータス主宰の〈Brainfeeder〉から『The Golden Age of Apocalypse』(2011年)でソロ・デビュー。以降、『Apocalypse』(2013年)、『Drunk』(2017年)を経て、『It Is What It Is』(2020年)でグラミー賞を受賞。ケンドリック・ラマー『To Pimp A Butterfly』(2015年)への参加をはじめ、ジャンルを横断する活動で知られる現代屈指のベーシスト/アーティストである。
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