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    細野悠太が語る“シャッポの曲作りはどう変わった?” DAWと生演奏の間で【『Commonplace』インタビュー前篇】

    • Interview : Shutaro Tsujimoto (Bass Magazine Web)
    • Photo : Hiroki Obara

    福原音(vo,gt)、細野悠太(b)からなるシャッポが、1stアルバム『a one & a two』(2025年)から約1年で、2ndアルバム『Commonplace』を完成させた。インスト・バンドとしてのデビューから1年を経て、今作では歌を軸に据えた楽曲が増えたほか、生演奏したフレーズを反復させてサンプリング的な感触を生み出すなど、より多彩なサウンドを展開している。

    制作の進め方にも変化があったという。細野がAbleton Liveで制作したデモから発展した曲がある一方、ライヴで演奏を重ねながらアレンジを練り上げた曲も多い。レコーディングではクリックを使わずに演奏するなど、DAWを取り入れた曲作りと、生のバンドならではの感覚が共存している。

    現在、シャッポのふたりは細野悠太の祖父・細野晴臣のバンドにも参加し、細野自身はCHO CO PA CO CHO CO QUIN QUINでも精力的に活動するなど、その活動の幅を広げている。今回のインタビューでは、11月11日にアナログ盤でのリリースも控える『Commonplace』について、その制作過程や各曲のベース・プレイを中心に、ドラマーとの関係から生まれるグルーヴ、細野晴臣のバンドでの経験、現在の機材まで幅広く話を聞いた。

    今回はスピードを目標にして作ったんです。

     本当に1年くらいですね。“セカンドも、このまま勢いで作っちゃったほうがいいよ”とみんなでなって、今回はスピードを目標にして作ったんです。

     そうですね。ほぼそうだと思います。もともと作っていた曲も何曲かあるんですけど、アレンジを変えたりもしているので、ファーストが終わってから作り始めたと言っても過言ではない、という感じですかね。

     僕はあまり記憶力がなくて、こういうことはだいたい音(福原音/vo,gt)くんが喋ってくれるんですけど、2026年5月にはほぼ完パケになっていたのかな。2月くらいにレコーディングを始めたので、作曲自体は去年の11月くらいからだと思います。制作期間としては半年ほどかかっていますね。

    シャッポ
    シャッポ。左から、福原音(vo,gt)、細野悠太(b)。

     山本は大学からの付き合いで、CHO CO PAでもドラムを叩いてくれているんです。僕がやりやすいというのもあるし、遠征に連れていくと楽しいやつなので、それを音くんにプレゼンして。“じゃあ、山本とちょっとやってみるか”という感じで引き入れました。ライヴは基本的に山本とやっていますね。高橋くんは、音くんがインプロをやるときによくデュオで一緒に演奏していて。“おもしろいやつだよ”と、逆に僕が紹介されて、やってみたという感じです。

     高橋くんは、もともとシャッポで叩いていた海老原(颯)くんと雰囲気が若干近いんです。ジャズ上がりなんですけど、ジャズだけじゃない感じも、一緒にやっていてすごくわかりますね。もともとのシャッポの雰囲気と合っているんです。山本は逆に、けっこうロックっぽい感じで叩くので。ライヴとかは、山本が入って変わったなという感じがします。2ndアルバムでは、そういう感じを曲にしたものもありますね。

     「かくしごと」とかですかね。「どうも」も、山本がいなかったらちょっと雰囲気が変わっていたかなという感じがします。「やってくる!」もそうですね。というか、山本が叩いている曲は、大体全部そうかもしれないです。

     先にシングルで出した「より良い人生」があって、そのときはSTUDIO Dedeで録ったんです。studio MSRは、エンジニアの奥田泰次さんのスタジオですね。あとは、祖父の細野晴臣が使っているスタジオ(Daisy Bell Studio)を使ったり、STUDIO NOAHを使ったり、音くんの家で録ったりもしました。

     藤枝のAPPLE VINEGARのスタジオ、MUSIC inn Fujiedaにも行きました(※「どうも」の録音で使用)。あとクレジットにある“羽鳥宅”(※「近況報告」の録音で使用)というのは、僕の友達でCHO CO PAでギターを弾いている羽鳥慶の家のスタジオで、そこでも録りました。

     「より良い人生」を録ってくれたのが奥田さんで、そこからのお付き合いですね。ちょうどそのときにドラマーも変わって、初めて録ったものを奥田さんにミックスしてもらったんですけど、それがすごくハマったというか。わりと“テンション感だけでいけた”みたいな感じがあったので、そのままお願いしてみたんです。

    「やってくる! 」は、もともと僕がAbleton Liveで作ったデモを膨らませていった曲。

    細野悠太

     先にライヴがあって、ライヴでやっていた曲をレコーディングに持っていく、という流れが基本でした。いろいろな作り方があったんですけど、「Dad Rock」「かくしごと」「Pipeline=ABSOLUTE EGO DANCE」「ありきたり」「ツービート」は、ライヴでやりながらアレンジを考えていった感じですかね。

     そうですね。例えば「やってくる! 」は、もともと僕がAbleton Liveで作ったデモを膨らませていった曲なので、まさにそうです。最初のコードの音とかは、Ableton Liveの内蔵音源をそのまま使っていると思います。だいぶDTMっぽい作り方ですね。繰り返しが多くて、“コマンド+D”ばかり押しているような感じです。

     「やってくる! 」に関しては、ほぼDAWで完結しています。ドラムとパーカッションを入れたんですけど、そのあとのポスト・プロダクションもけっこうDAW上でやっているので、この曲はあまりバンドという感じがしないかもしれないですね。

     ベースを入れるタイミングは、この曲に限らず、どの曲でもけっこう最初のほうに音くんとふたりで何となく決めていたかなと思います。初めてバンドで合わせるときには、ベースの方向性が9割方決まっていることが多いですね。そこからライヴをやるごとに試行錯誤しながら少しずつ変えていくので、けっこう変わったりもするんですけど。基本形は、一番最初にみんなで合わせたときに決まる感じですかね。

     あまり分担はないかもしれないですね。ふたりとも、思いついたものをその場で入れる。それをプログラミングと呼んでいるような感じなので。DAW上のアイディアを思いついたら入れる、という感じです。

     前作よりも、家で作業することが多かったかもしれないです。前は細野晴臣のスタジオでやっていたんです。もともとドラムが置いてあるスタジオではないので、ドラマーと一緒にやる場合はドラムを組み立てなければいけないんですけど、ふたりで集まって音を出すことはできる。音量は出せるので、ドラムを入れてもできるんです。でも今回は、音くんの家に集まって、パソコンを開きながら小さい音で“こういうのもいいんじゃない?”とアイディアを出す作業が多かったですね。

     わりとお任せですね。そのあたりは投げっぱなしなことが多いです。

     そうですね。今回は、データでもらったものはあまりないかもしれないです。「近況報告 (feat. Neibiss)」のNeibissのラップくらいかな。レコーディングのときは、かなり“バンド”という感じでした。ベースとドラムに加えて、ギターもセパレートで録れる場所があったので、一緒に録りました。ほぼ一発録りみたいな曲もありますね。

    シャッポでやるんだったら、こっちのプレベのほうが音は合っているなという感じがします。

    細野悠太

     ありがとうございます。基本的にはプレベですね。前作の取材のときは、サンドバーグをメインで使っていた気がします。そのあとに買ったのかな。僕は左利きなので、全然選択肢がなくて。プレベは欲しかったので、谷口楽器に行って良さそうなものを探したら、結局フェンダーになったんです。重いので、あまりライヴでは使いたくないんですけど、これしかないので。サンドバーグは軽いんですけどね。でも、このプレベは音が好きです。音がいいから弾いていて楽しいですね。

     はい。モデル名にはあまり詳しくないんですけど、新品で買った現行のものです。レフティ用のプレベがあるのは、本当にありがたいです。

     そうですね。どれか切れたらフラット・ワウンド弦に変えようかなと思っているんですけど、切れるまではこれにしようと思っています。

     そうですね。ピックアップはPJで、あれはあれでかなりおもしろい音なんですけど、シャッポでやるんだったら、こっちのプレベのほうが音は合っているなという感じがします。

     僕は基本的に、トーンをあまり上げないタイプなんです。上げて録った曲もあったかもしれないですけど、基本は下げ気味で、半分以下だと思います。ミックスしづらかっただろうな……。

     ベーシックはVolta Studioで録ったんですけど、今回はスタジオのDI(SongBird製DIT-1 )を使ったはずです。ベース・アンプは使っていないですね。

    細野悠太

     聴いた時点でスっと入ってくる感じの音だったので、あまりディスカッションというディスカッションはしていないかな。奥田さんがいいようにやってくれたものを聴いて、“これでいけるな”という感じでした。もともとトーンを絞り気味で録っているので、そんなに大きく変動もないのかもしれないです。適当なことを言っているかもしれないですけど。

     サンドバーグも持っていったんですけど、あのスタジオでは全然使っていなかったですね。別の場所で録った「近況報告」はサンドバーグです。それ以外はプレベですね。あと、「より良い人生」でちょっとだけ出てくる音は、そのどちらでもなくて。もう1本持っているアイバニーズのフレットレス・ベースを少しだけ使っています。

     そうですね。一番最初に使っていたベースはフェンダー・ジャパンのジャズベで、それが壊れて、その次に使っていたものです。

    “絶対そこで叩かないだろう”というようなことをやられると、こっちも“変なことをしてやろう”という気持ちになる。

    細野悠太

     この曲だけ、すごく昔からあるんです。ファーストにも入れようとしていたけど、入れなかった曲で。かなり初期の曲なので、ベース・ラインはわりと音くんが決めています。“こういうふうに弾いてください”というのを、8割方は忠実に守っている感じですね。でも、この曲もライヴで何回もやっているので、その間に“こっちのほうがいいな”と思って、勝手に変えたりはしています。初期の曲は、音くんがベース・ラインまで考えてきてくれたものが多いです。

     これはあまり時間がかかっていないですね。高橋くんが、この曲を叩くのがめちゃくちゃうまくて。海老原くんがいた頃からの曲で、彼もわりと得意とするタイプの曲だなと思っていたんですけど、高橋くんが叩いたときが一番自然に聴こえたんです。“これは高橋くんの曲だったんだな”という感じがしました。わりとスっとできた感じはありますね。

     どうだろう。でも、さすがに変わりますね。僕はドラムが聴こえてからベースを弾くような感じなので。山本はライヴ中に異常なフィルを叩いたりするんですよ。“絶対そこで叩かないだろう”というようなことをやられると、こっちも“変なことをしてやろう”という気持ちになるし。高橋くんは高橋くんで、ライヴ中にすごくニコニコしているんです。そういうときには、“この人が喜ぶ感じで弾けたらいいな”と思う。抽象的ですけど、そういう感じで、たぶん変わっていると思いますね。

     僕と音くんと高橋くんの3人で集まって、セッションする日があったんです。そのあとに3人でやるライヴがあったので、その準備として一度集まろうということになって。そのとき、セッションしているうちに“7拍子のブルース”みたいな瞬間があったんです。高橋くんはすごく特殊な人で、最初は普通に8でやっていたのに、勝手に7拍子にしたり、“7から5はスムーズにいけるんだよ”と言って5拍子にしたり。“5から3もいけるんだよね”と、3拍子になったりするんです。

     そこで生まれたアイディアを、音くんが膨らませた曲ですね。まず“7拍子のブルース”というものがあったんですけど、音くんのギター・フレーズは“7より8のほうが合うな”となって、基本は8にすることになった、と記憶しています。

     まさに、あそこのオクターブ上を弾いているのが、この曲だけで使ったフレットレスです。

     レコーディングの現場に持ってきていて、“これ、合いそうだな”と思ったんです。もともとオクターヴ上を重ねたいとは思っていたんですけど、最初に録っているときは忘れていて。ちょうどフレットレスを持ってきていたので、“やってみよう”とみんなに提案したら、“それは絶対おもしろいから、やったほうがいい”となったんです。それでやってみたら、けっこうハマりましたね。

     ライヴでは、普通に人力で頑張っています。でも、100%成功したことは、たぶん2回くらいしかないです(笑)。本当に難しいですね。

     これはもう、音くんの得意な領域ですね。“ライヴでやる曲を増やしたい”という動機で、音くんが作った曲だったかな。“こういうのは作れますよ”みたいなスタンスで作って、いい曲だし、“じゃあセカンドに入れようか”というノリだったと思います。ベース・ラインも、“これしかないだろう”というものを入れられた感じがしますね。

     音価はさすがに気にしていますね。伸ばすところは伸ばすという、本当に初歩的なところですけど、そういうことは気にしています。

     そうですね。これはハマりましたね。アイディア勝ちです。いいフレーズだなと思いますし、気に入っています。ライヴでも、弾いていてめちゃくちゃ楽しいです。“あ、ベーシストだな”と実感する曲ですね。

     そうです。一番最後だけハチロクになるんですけど、それまではずっと7で通す曲です。ベースは、同じフレーズを4回弾いたものを、ずっとコピー&ペーストしているんですよ。こんなことを言っていいのかな(笑)。あまり知られないほうがよかったかもしれないですけど……(次の記事に続く)

    Information

    【LIVE INFO】
    シャッポ ワンマンライブ
    『Commonplace』VINYL Release Party “近況報告”

    チケット一般販売中
    受付URL:https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2670245

    <京都公演> 
    2026年10月10日(土)
    京都 磔磔
    OPEN 18:00 / START 19:00

    <東京公演> 
    2026年11月8日(日)
    東京 晴れたら空に豆まいて
    OPEN 18:00 / START 19:00

    主催:カクバリズム
    企画・制作:カクバリズム
    INFO:カクバリズム

    【RELEASE INFO】

    シャッポ『Commonplace』(LP)

    
2026.11.11(WED) Release
    Catalog No.: KAKU-260

    Price: ¥5,000(+tax)

    Label: KAKUBARHYTHM
    Streaming: https://ssm.lnk.to/commonplace

    <収録曲>
    
SIDE A
    
01. ツービート

    02. より良い人生

    03. ありきたり

    04. やってくる!

    05. commonplace
    06. どうも

    SIDE B

    01. Pipeline=ABSOLUTE EGO DANCE
    02. Dad Rock

    03. かくしごと
    04. 山笑う
    05. 近況報告 (feat. Neibiss)

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