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    細野悠太が語る“クリックに縛られない”グルーヴと、細野晴臣バンドでの経験【『Commonplace』インタビュー後篇】

    • Interview : Shutaro Tsujimoto (Bass Magazine Web)
    • Photo : Hiroki Obara

    記事の前篇はこちら。

    同じフレーズを4回弾いたものを、ずっとコピー&ペーストしているんです。

     そうです。一番最後だけハチロクになるんですけど、それまではずっと7で通す曲です。ベースは、同じフレーズを4回弾いたものを、ずっとコピー&ペーストしているんですよ。こんなことを言っていいのかな(笑)。あまり知られないほうがよかったかもしれないですけど……いや、大丈夫です。そのほうがいいので。

     確かに。ちょっとサンプリングっぽくなっていくというか。ギターもそうなんですよ。弾いたフレーズを繰り返しているので、生っぽいんですけど、そのあたりでおもしろくなっているんじゃないかなと、個人的には思います。

     でも、かなりぱっと出てきたものを、軽い気持ちでずっと使い回している感じなんです。ループを聴きながらだったかな。最初にDAW上で、オルガンのコードの“パパパパパ”という音を入れて、ドラムも入れて。それに合わせて、たぶんギターかベースを入れたんです。どちらが先かは覚えていないですけど、“とりあえず入れてみよう”と入れたものが、そのまま今の状態になっています。ベースとギターは、本当に最初から変わっていないですね。

     これは一番最初のライヴからやっていますね。「Pipeline」と「ABSOLUTE EGO DANCE」を合わせるという構想自体は、最初のライヴよりも前から音くんのなかにあったみたいなんです。それを1回目のライヴでやって、そこからずっとやっています。

     本当ですか? 嬉しいです。もともと参考にしている音源があって、細野晴臣がロンドンで「ABSOLUTE EGO DANCE」を演奏している動画が、YouTubeにあるんです。

     この動画、おもしろいですよね。途中で坂本(龍一)さんも出てきて。これが映像として残っているのは、すごく嬉しいことです。

     そうですね。ベースは、そんなに難しいというわけではないんです。僕のなかにある感じというか、スッとできましたね。

     そうですね。ただ、「Pipeline」のところはパーム・ミュートで、「ABSOLUTE EGO DANCE」から2フィンガー、という分け方はしていたかもしれないです。アルバムを通して、右手の弾き方は2フィンガーかパーム・ミュートの親指弾きのどちらかですね。

    細野悠太(シャッポ)

     もともと音くんが、細野晴臣のジャケットなども手がけている岡田崇さんと親交があって。岡田さんが“マエストロはもう自分では使わないから”と、半永久的に貸してくれることになったんです。実は1stアルバムでも使っている曲があるんですけど、今回も“じゃあ使おうか”と、とりあえず鳴らしてやってみた感じですね。

     「どうも」は一番最後にできた曲で、音くんの家にマエストロがあったので、それとギターだけでデモを作ってきたんです。それをみんなに聴かせて、聴いた1週間後くらいにはレコーディングしていたと思います。

     普段、音くんが作るデモは、歌メロをハミングしたり、もにゃっと歌ったりしていることが多いんです。だから、しっかり歌われたものを聴きながらベースを付ける機会は、あまりなくて。でも「どうも」のデモには、最初から最後までしっかり歌が入っていたんです。最初から最後まで、完全に歌っている状態で。そこにベースを合わせるのは、新鮮だったかもしれないですね。

     あれも、その場のノリなのかな。ドラムに反応した感じですね。ドラムがそうなったから、ベースもそうなったんだと思います。

     ONE OK ROCKの「完全感覚Dreamer」とかの後ろでベースを弾いたりはしていました。僕がやりたかったわけではないんですけど。本当に、それくらいしかないですね。CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUINも歌モノではありますけど、ベースを入れる段階では、歌がないことがほとんどなので。

    クリックを聴いている曲はあまりないですね。曲の途中でテンポや拍子が変わることが多いので。

    細野悠太(シャッポ)

     これも1stアルバムを作っている頃には、もうあった曲です。仮タイトルは“おとっつぁん”だったんですけど、「Dad Rock」に変わっていましたね。

     このイントロは、実は難しいんですよ。音くんはわりとタイムが揺れる人で、僕は“聴いてから弾くタイプ”なので、ふたりだけで始めると、どうしても僕がうしろにいくんです。すると音くんも僕を聴いて後ろにいくので、どんどん遅くなってしまう。そういうことがライヴで頻発して、ちょっと気をつけようと思った曲ですね。ドラムが入ってしまえば、もう大丈夫なんですけど。

     人から言われて、“確かにな”と思ったんです。バランスだと思いますね。まわりの音にちゃんと合わせていくという、いいところでもあると思っているんですけど、単にタイム感がないとも言えるので。本当にバランスかなという感じです。

     これも、ファーストくらいのときにはあったかもしれないです。まさにライヴ用にこしらえた曲で、音くんが勢いだけで作ったんですけど、最初にやっていた頃とは、形がけっこう変わっています。でも、ベース・ラインの基本的なリフは変わっていないですね。たぶん海老原くんがコードチェンジに対して1拍早く叩いているのに反応してできたリフだった気がしますね。

     そうですね。あとは本当に初期の頃は、尺を稼ぐためというか。“とりあえず長い曲がないとやばい”みたいな。ライヴっぽい曲はあったほうがいいですね。僕らのメンタル的にも、ずっとシリアスにやっていると、しんどくなってくるので。

     シャッポの初期のライヴは、3人で演奏する時間が長かったんです。3人で30分くらいやって、そのあと5人になる、ということをやっていたんですけど、3人のときの曲は、全員の音がすごくよく聴こえるんです。室内楽っぽいというか、“聴かせる”状態になっていて。それが1曲くらいならいいかもしれないですけど、3、4曲となってくると、演奏する側も聴く側も張り詰めてしまう時間があって。“お互いのためによくなさそうだな”と思って、「コンボ!!!!!!!!!!」を作ったり、ライヴでのアレンジを変えていったりしていました。

     本当に怖かったですね。今でも、ライヴの最初のほうでやる3人の曲は怖いです。ミスをするとわかってしまうので。

     まさにこれが、さっきシリアスと言っていた曲ですね。これもパーム・ミュートかな。ベース・ライン自体は、音くんに指示されている曲です。だいぶ初期の曲なので。これをライヴでやるのは、本当に怖いですよ。

     そうですね。1拍から次の1拍までの間がすごく長く感じるので、早くいったり、遅くいったりしてしまうんです。アイコンタクトもシリアスになる要因というか、“この人たちは、今音楽をやっているんだ”と思われる行為でもあるので。

     そうです。鑑賞される曲ですね。ライヴでは、もうやりたくないです。怖すぎるので。でも、曲としてはすごくよくできているなと思います。

     いや、クリックを聴いている曲はあまりないですね。「どうも」は聴いたかな。「かくしごと」はDTMで作っていますし、「近況報告」もクリックを聴きながら弾いたと思いますけど、アルバム全体では、ほとんど聴いていないと思います。「Pipeline=ABSOLUTE EGO DANCE」は、途中から聴くようなことをやったかな? ちょっと、あまり覚えていないんですけど。

     曲の途中でテンポや拍子が変わることが多いので。もちろん、クリックがあったほうがレコーディングは絶対にやりやすくなるんですけど、音くんの曲は、そもそも構成としてクリックがあると難しくなってしまうものが多いんです。でもクリックに合わせてないと、間違えたときに毎回全員で録り直すようなことになるので難しいですよね。特にドラマーは大変だと思います。ドラム以外は、最悪パンチインもできますけど。

     そうですね。でも、これもDTMで作っていて、バンドで録ったという感じはあまりないです。ドラムは羽鳥宅で録りました。ベースも録ったかな? この曲はノリが難しくて。ディラ・ビートっぽいというか……ノリはレイドバックしてるんですけど、でもビートはニューオーリンズっぽいというか。慣れるまで、ちょっと難しかったですね。

     やりすぎると、これ見よがしになってしまうし、グリッドに沿っているわけでもないので。その中間あたりを狙うのが難しい感じがします。

    おじいちゃんはその場で変えちゃうんですよ。たぶん無意識だと思うんですけど。その対応力は、すごく付きますね。

    細野悠太(シャッポ)

     細野晴臣が直接何かを言うことは、あまりないんです。みんなに“こういう感じで”と軽く言うことはありますけど、ほとんど指示はなくて。“こういう感じにしたらいいかな”と、バックバンドのみんなで試行錯誤していくので、教えを受けるようなことはないですね。学びがあるとすれば、その時々で構成が違うことです。おじいちゃんはその場で変えちゃうんですよ。たぶん無意識だと思うんですけど。その対応力は、すごく付きますね。

     そうです。怖いですよ。最初のバリ島でのライヴ(※2024年7月)からそれがあって、本当に死ぬかと思いました(笑)。

     だいたいは、細野晴臣のセンスですね。もともと、今のバンドの前の編成でくくく(原田郁子、角銅真実)のふたりと3人でやっていたときがあって、そのときの曲をそのままやったりもしています。あとは、“この曲はやったほうがウケるだろう”というものも入れていると思います。たぶんマネージャーの意向もあるのかな。「薔薇と野獣」とか、“やったほうがいい”という曲も含めて。やっぱりポップスの人ではあるので。

     「AIWOIWAIAOU」は、シャッポで角銅さんと対バンしたときに、初めてやったんです。2日間の公演で、その2日目に細野晴臣をシークレットで呼んで。それでこの曲のことを思い出したのか、“自分のライヴでもやろう”となって、演奏している感じですね。

    細野悠太(シャッポ)

     本人です。でも、どうしてやろうと思ったのかは、ちょっとわからないですね。

     そうですね。元の曲をもとにして。あれもいいですよね。

     ないですね。ただ、最近1曲だけあったんです。「AIWOIWAIAOU」のアレンジがまた変わって、少しアフリカンっぽくなったんですけど、“こうかな”と思って弾いたら、“そうじゃないよ”ということがありました。リズムの解釈の部分で、説明するのは難しいんですけど。

     ここにきて、基礎練習を全然していないので、ちょっとやってみようかなというくらいですけど。僕は最近まで、アポヤンドが何なのかもわかっていなくて。弦に対して縦に弾く、横に弾くというようなことも、本当は初心者のうちに通る道だと思うんですけど、そこをあまり通らずにきてしまったんです。

     アポヤンドに限らず、そういう知識を身につけたいですね。楽器のパーツの名前なども、あまりわかっていないですし。楽器をやっている人って、みんな楽器に詳しいじゃないですか。僕はあまり知らないなと思うので、そういうことも含めて知っていきたいです。“自分はわかっていない”ということがわかってきたので、そこを打破していきたいですね。

    Information

    【LIVE INFO】
    シャッポ ワンマンライブ
    『Commonplace』VINYL Release Party “近況報告”

    チケット一般販売中
    受付URL:https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2670245

    <京都公演> 
    2026年10月10日(土)
    京都 磔磔
    OPEN 18:00 / START 19:00

    <東京公演> 
    2026年11月8日(日)
    東京 晴れたら空に豆まいて
    OPEN 18:00 / START 19:00

    主催:カクバリズム
    企画・制作:カクバリズム
    INFO:カクバリズム

    【RELEASE INFO】

    シャッポ『Commonplace』(LP)

    
2026.11.11(WED) Release
    Catalog No.: KAKU-260

    Price: ¥5,000(+tax)

    Label: KAKUBARHYTHM
    Streaming: https://ssm.lnk.to/commonplace

    <収録曲>
    
SIDE A
    
01. ツービート

    02. より良い人生

    03. ありきたり

    04. やってくる!

    05. commonplace
    06. どうも

    SIDE B

    01. Pipeline=ABSOLUTE EGO DANCE
    02. Dad Rock

    03. かくしごと
    04. 山笑う
    05. 近況報告 (feat. Neibiss)

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