プランのご案内
  • ベース・マガジンWEBの「バックナンバー読み放題」は、2025年6月26日(木)21:00~21:30の間、メンテナンスのためご利用できなくなります。ご不便をおかけしますが何卒ご了承ください。
  • NOTES

    UP

    なぜあなたのスラップは“ヌケてこない”のか? <低音弦の余弦ミュート>【石村順の低音よろず相談所】第157回

    • Text:Jun Ishimura

    “約3分”でベース上達にまつわるさまざまなトピックを解説するYouTube動画連動の連載『石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜』。第157回は、前回に引き続き“音ヌケの悪さ”を改善”する左手のテクニックについてレクチャーしていきます!


    “低音側の余弦ミュート”の重要性

    今回も、全ベーシスト必須の基礎テクニックがテーマです。早速、スラップのフレーズをひとつ。

    このフレーズに限らず、余弦(弾いていない弦)をミュートせずに弾くと開放弦が共鳴してしまい、

    音が抜けない
    グルーヴがイマイチ
    コード感がおかしい

    などの問題が起きがちです。

    高音側の余弦ミュートを前回紹介しましたが、低音側の余弦ミュートについては、指弾きなら右手の親指を余弦に乗せればミュートできる(第18回を参照)し、ピック弾きなら右手の掌あたりでミュートできるので、“それができているなら左手のミュートは不要では?”と思うかもしれません。

    でも問題はスラップです。右手で余弦ミュートできる人もいるようですが、僕はできません。僕みたいな人は、必然的にスラップ時の余弦ミュートは100%左手が担うことになります。

    また、スラップしない人にも関係はあります。実は、指弾きやピック弾きでも運指的に“右手だけではミュートしきれない”場合があります。

    左手で余弦ミュートできれば、可能な場合は両手で、場面に応じて右手だけ/左手だけで、と、どんな場面でも確実に余弦をミュートできます。だから、左手での余弦ミュートは全ベーシスト必須の基礎テクニックというわけです。

    基本的には、使っていない指で余弦をミュートします。いろいろなケースを網羅すると複雑になるので、今回は【譜例1】みたいにスラップでペンタトニックのフレーズを弾いているケースで話を進めます。スラップをしない人は指弾きやピック弾きで取り組んでも構いませんが、“左手で余弦ミュートする”ための練習なので、この練習のときだけは“右手ではミュートしない”ように気をつけてください。

    さて、僕の場合、マイナー・ペンタやメジャー・ペンタは、ほぼ1(人差指)と4(小指)だけで弾きます。また、手が大きくないので、“ネックを握って親指で低音弦をミュートするやり方”は使いません。

    ということで、ここでは2(中指)と3(薬指)で余弦ミュートをするやり方を紹介します。これはあくまでも僕のやり方です。肉体もプレイ・スタイルも人それぞれなので、“自分に合ったやり方”を見つけてください。

    ex.1

    【ex.1】は、【譜例1】の16分音符を8分音符に置き換えて書き直した譜面です。このほうが1音ずつ丁寧に取り組みやすいのでこうしています。

    これはスラップの練習ではなく余弦ミュートの練習なので、もし余裕で速く弾けるとしても、最初のうちはテンポをかなり落として、1音ごとに確実にミュートできているか確認しながら取り組んでください


    の部分は、1拍目で鳴らした4弦開放を2の指と3の指で止めたら、そのままミュートし続けます(写真1)。


    の部分は、指先あたりで4弦を、指の中ほどで3弦をミュートします(写真2)。


    ❸の部分は、指先あたりで4弦を、指の中ほどで2弦・3弦をミュートします(写真3)。


    ❹の部分は、❷と同様です(写真4)。

    写真5のように指を無理にまっすぐにしないでください。指がリラックスして自然なアーチを描いている状態でミュートします。指は固めずに、フレーズの流れに応じて自然に動かします。どちらかの指だけでミュートしている瞬間があってもOKです。

    また、2・3・4弦を弾いているときは、前回取り組んだミュート方法で高音側の余弦もミュートしておきましょう。

    しっかり取り組んで余弦ミュートをマスターして、よりクリアで抜けの良いベース・サウンドを身につけましょう。石村順でした!

    ▼ 今回の動画はこちら ▼

    【石村順の低音よろず相談所】第157回

    ◎書籍版『石村順の低音よろず相談所』はこちらから!

    石村順
    ◎Profile
    いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

    ◎Information
    HP Twitter facebook Instagram 

    ■連載一覧はこちらから