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    INTERVIEW – Masa[NOCTURNAL BLOODLUST]

    • Interview:Koji Kano
    • Photo:nonseptic inc. 

    規格外の重低音。
    その“最深部”に鳴る音。

    メタルコア/デスコアを軸に、国内最重量級のヘヴィ・サウンドを提示するNOCTURNAL BLOODLUST。彼らが約8年ぶりにリリースした3rdフル・アルバム『ARGOS』には、流動する世界のメタル・トレンドを的確に捉えた、“ノクブラ流”の最新メタルコア・サウンドが凝縮されている。6弦ベースを駆使した超重量級の低音を響かせるMasaは、戦慄のアンサンブルを確かに支え、ときに躍動し、コンポーザーとしてもバンドの中核を担っている。2020年10月に新ギタリストの2名が加入し、完全なる“戦闘体制”のコンディションで制作された今作に、Masaはどういった思いを込めたのか。そして彼らの思い描く未来とは。Masaの鋭い眼差しの先には“海外”への熱い思いがあった。

    誰も出したことがないような、最新の重低音サウンドを出したい。

    ――今作『ARGOS』はフル・アルバムとしては約8年ぶりの作品になりました。この間はメンバーの脱退、活動休止、そしてギタリスト2名の加入など、バンドにとって大きな転換期でもあったわけですが、振り返ってみていかがですか?

     正直、気づいたら8年が経っていたって感じです。メンバー・チェンジだったりコロナだったり、バンドを取り巻く環境は変わりつつも、やること自体はそんなに変わってないんですけど、気づいたらアルバムのタイミングが空いちゃったなって感じですね。シングルとかEPのリリースはちょこちょこありましたけど、アルバムを出すタイミングはずっと探っていて、それがやっと今、来たんですよね。

    ――新ギタリストのおふたりについては前回のインタビューでもお聞きしましたが、新体制になって初のフル・アルバムということで、どのような作品にしようと思ったのですか?

     新ギタリストのふたりも各々ずっとバンドをやってきて、自分たちもいろいろなジャンルを経て、みんながそれぞれ違う方面でキャリアを積んできたなかで、ちょっと玄人向けな作品にしたいなという思いがあって。メタルコア・シーンってフレッシュなバンドはたくさんいるので、そこで玄人っぽいテイストの作品にできれば、ほかと違っておもしろいんじゃないかと思ったんです。だからあんまり商業商業せずに、各々のルーツである音楽をストレートにやってみたのが今作なんです。

    ――今作を聴いた率直な感想は“圧巻”のひと言で、“国内最重量級”と言っても過言ではないヘヴィ・サウンドでした。Masaさんはバンドのコンポーザーでもありますが、この“重さ”という部分はやはり意識するのでしょうか?

     “重さ”と言ってもいろいろな意味がありますけど、誰も出したことがないような最新の重低音サウンドを出したいとは思っています。例えばメタル系ってジャンルや時代によって重さとかサウンドって変わるじゃないですか? 特にベースはとにかく“下”を出すことが流行ることもあれば、ギターみたいなガリガリしたサウンド感が流行ったりとか、そういう時代の変化を見つつ、今作では最新の重さ、重低音感が落とし込めたんじゃないかなと。国内外問わずメタルコアのバンドがサブスクで並んだとき、違和感がないように、劣らないレベルのところまでサウンドを持っていきたいっていうことは考えています。

    『ARGOS』
    MAVERICK/DCCA-97

    ――確かにメタルは時代によって音楽性やトレンドが激しく流動しますよね。例えば近年では、“ニューコア”とか“メタルコア第三世代”という表現も生まれていますし。

     新しいジャンルが生まれて、それに付随してまた新しいサウンドができていく、みたいなね。改めてメタルっておもしろいシーンだと思います。

    ――それに応じてバンド・サウンドも変化していると思いますが、NOCTURNAL BLOODLUST(以下略称、ノクブラ)もヨーロッパやアメリカにおける近年のメタル・トレンドを自分たちなりに昇華したサウンドだと感じます。

     そうですね。自分だけじゃなくて、ギターのふたりも最新のメタルをよくディグっているんですよ。Valtzはプログレッシブ系のトレンドを抑えつつ、Yu-taroは最新のメタルコア系を詳しくチェックしているので、全ジャンルのメタルを各々で網羅しているってイメージですね。

    ――では、昨今のメタルにおけるベース・サウンドやプレイにはどういった傾向があると考えていますか?

     まず今のメタル系ってめちゃくちゃベースの音量がデカいんですよ。昔のメタルはとにかくギターが前面で鳴ってて、ベースは引っ込んだサウンド感だったと思うんですけど、今はベースもめちゃくちゃ歪ませてガンガン前に出る感じがブームになっていますね。最近はギターよりベースのほうがデカいミックスのバンドも増えていますし、かなり特殊な音作りをしているので、そういう傾向はちゃんとチェックして取り入れるようにしています。

    ――近年のメタル・シーンは、チューニングがまたもう一段階下がったようにも思います。前回のインタビュー時には“チューニングはドロップF”と言っていましたが、今作でもそれは変わらず? 

     最近のメタルは考えられないくらいダウン・チューニングですよね。僕らは今作だとドロップFからまた下がって、ドロップD♯、さらにはドロップCとかまで落としています。少し前のメタル・バンドの多くがドロップCだったと思うんですけど、そこからまた1オクターヴ下げているって感じですね。

    ――もうすごいことになっていますね(笑)。

     はい(笑)。“ダブル・ドロップD♯”みたいな。こうすることでギターのエグいニュアンスが出て、より強力な重低音になるんですよ。

    ――話を戻しまして、今作はメタルコアやデスコアといった従来のノクブラらしさのなかにシンフォニックさが加わって、バンドの新境地を感じる内容でした。まさにノクブラが提唱してきた“エクストリーム”な一枚ですね。

     作品を作る前に3人のコンポーザーの共通認識として、こういう曲がやりたいっていうすり合わせをするんですけど、今回は“ドラマチックかつシネマチックな作品にしたい”っていう意見が出たんです。今回はストリングスや管楽器をガンガン入れてみたりとか、そういう方面でのドラマチックさを出して、映画音楽みたいなものを作りたかったんですよね。

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