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INTERVIEW – Masa[NOCTURNAL BLOODLUST]

  • Interview:Koji Kano
  • Photo:nonseptic inc. 

頭の悪い発言になっちゃいますけど、やっぱりフィジカル面、パワーですね(笑)。

左から、Yu-taro(g)、Masa、尋(vo)、Natsu(d)、Valtz(g)。

――例えば「Cremation(feat. PK of Prompts)」はストリングスや管楽器といったサウンドが入ることで、シンフォニックかつ幻想的な世界観が表現されていますよね。まさにMasaさんが先ほど言った考えが体現された楽曲だと思いました。

 壮大なものを作りたかったんですよ。スパッと短い曲が流行っている昨今の流れの真逆を行くというか、あえてぶち込みまくった長い曲をやりたいなっていう。MVにもこだわっていて、その映像との兼ね合いもあって、今一番イメージしているノクブラっぽさが出たのがこの曲になったなと。

――管楽器やストリングスといった生のウワモノが入ることで、サウンド感やアンサンブルに変化が出た部分はありましたか?

 ストリングスとかのオーケストラ部分だけで100トラック以上あって、そこにギター、ベース、ドラムが重なるので、どの楽器を生かして、どの楽器を引くかっていう割合を調整するのが大変でした。でもベースはそんなにやることは変わらずで、あくまでも一番下にいることを意識しました。やっぱり上で鳴っている情報量が多いので、ストリングスとギターとの兼ね合いは工夫しましたね。

「Cremation (feat. PK of Prompts)」Music Video

――ジェントやプログレ的要素を含んだ「Dagger」など、Masaさんのプレイはギター・リフにユニゾンする部分と、ルートで“最下部”を支える部分を見極めているようにも感じます。それらはどのように弾き分けているんですか?

 リフを押すか、ヴォーカルのメイン・コーラスを押すかで変わってきますね。リフを押す系だとユニゾンのほうがリフが立つので、何をやっているのかがわかりやすい。ルートで下を弾くと全体が立ちやすくて、ヴォーカルが目立ちやすくなる。だからセクションによって、リフを立たせたいのか、ヴォーカル・ラインを立たせたいのかによって分けています。イントロとかの印象に残したい部分はユニゾンすることが多いですね。どっしりバンド全体を聴かせたいときはルートを弾くことのほうが多いと思います。

――なるほど。昨今のメタルコアはそういったベースの押し引きも顕著ですよね。

 レコーディングでは両方試したりもしますよ。試しながら録ることが多いので、結果的に肌感としていいほうを生かすって感じで、セオリーみたいなものは意識してないです。リフだからユニゾンしなきゃ、みたいな教則本に書いてありそうなことはリセットしたほうがおもしろいものができるって考えなんですよね。

――中盤には高速のブレイクダウンもありますが、6弦をあのBPMで鳴らすのは驚異的です。ピッキングのコツってありますか? メタル・ベーシストの読者へアドバイスをお願いします!

 頭の悪い発言になっちゃいますけど、やっぱりフィジカル面、パワーですね(笑)。あと自分はめちゃくちゃ分厚いピックを使っています。多分普通のピックって1.0mmとかだと思うんですけど、自分は2.2mm、モノによっては3.0mmのものを使うので。じゃないと弦のゲージが6弦で.170なのでピックが割れちゃうんですよね。

――数値がいろいろと異次元です(笑)。

 ははは(笑)。ピックはぶっといものだと、ピック自体の跳ね返りが弱いので、余計な力を入れなくても高速で弾けるメリットがあるんです。なので、速く弾きたいならみなさんも分厚いピックを使ってみるっていうのも手かもしれないです。ちなみにアイバニーズから2.2mmのものが出ていますよ。

――“フィジカル”という話も出ましたが、ノクブラと言えば“筋肉”ですよね。Masaさんも強靭な肉体をお持ちで、筋トレを欠かさないとか。超ヘヴィ・サウンドを生み出すには筋肉も必要なんだなと。

 いいおじさんになりたいので(笑)。まぁどうしても弦が増えればベースの重さも増えるし、弦が太い分、握力も必要になってくるので、フィジカルは切っても切れなくなるってことですね。ここまで太くしなけりゃ考えなくていいことかもしれませんけど。

――なるほど。

 ネックも太いしピックも分厚いので、身体も楽器に合わせていく必要があるというか、人間も楽器に合わせてフィジカルを作っていくことで、いいプレイができるんじゃないかなと思います。

――「Straight to the sky(feat. Luiza)」はイントロやサビなどでベースが浮き出た動きのあるフレーズが耳に残ります。こういった細かいプレイもフックになっていると思いますが、動きを取り入れるのはどういった瞬間なのでしょうか?

 これは僕の持論なんですけど、ベースを動かせば動かすほど邦楽っぽく、動かさなければ洋楽っぽくなると思っていて。日本の音楽ってポップス系をはじめ、ベースがやたらウネウネ動きますよね。でも洋楽だとファンクとかジャズは別として、基本的にロック系だとほぼベースは動いていないんですよ。だからJ-Rockに寄せたいときは動きを入れたりします。この曲はLuizaさん(ヴォーカルでゲスト参加)の声もあるので、そこまで洋楽っぽくしなくてもいいのかなっていう考えもありました。

――「Life is Once」の2番Aメロでもベースが際立って抜けてくる箇所がありますよね。

 ここはフレーズというより、ベースの存在感で際立たせている部分なんですけど、こういうやり方は海外のバンドがよくしますね。単体のフレーズではなくて、全体のアンサンブルとして際立たせるみたいな。

――この曲のベースは過激な歪み方ではなくて、あくまでも太さとロー感を意識した音作りに感じました。そういった意識もあったのでしょうか?

 曲とかチューニングによって音作りも変えているんですけど、この曲はベースというよりはリズム・セクションを際立たせたいって意図があったので、ベースの音はそんなに過激にしてないですね。さっきのベースを押し出している部分も、全体で鳴ってる音がそのまま聴こえるようにしたかったんです。

「Life is Once」(Official Visualizer)

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