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    SPECIAL TALK SESSION – TOKIE × 浅井健一[AJICO]

    • Interview:Masayoshi Kondo
    • Photo(AJICO):Shunya Arai

    抽象的ロック表現を拡張する低音流儀

    スーパー・ヴォーカリストUA、元BLANKEY JET CITYの浅井健一、RIZEのTOKIE、腕利きセッション・ドラマーの椎野恭一の4人で2000年に結成され、オルタナティブ・ロックをさらに拡張した独自のセンスで鮮烈な印象を残しながらもわずか1年で活動を休止したスーパー・グループ、AJICO。この度、5月26日に新作EP『接続』をリリースし、約20年振りに活動を再開する。ベースのTOKIEは、この期間にシーンの最前線でセッション・ベーシストとして活躍し続け、幅広い対応力と演奏力に磨きをかけていった。20年前と比べてさらにパワーアップしたAJICOのアンサンブルの核となるのは、TOKIEのベースと言えるだろう。今回は、久しぶりに活動を開始したAJICOの現在地を明るみにすべく、TOKIEと浅井健一の対談をお届けしよう。

    ちょっと一旦休憩かな? そんな感じだった。
    気がついたら20年経ってた(笑)。

    ――AJICOは2000年当時、インタビュー記事などがほとんど残っていなくて謎だらけなんです。閃光の如く現われて嵐のように去っていったというイメージなのですが、AJICOとは一体どのようなベクトルを持ってシーンに登場したのでしょうか?

    浅井 その前から、UA(vo)の歌が好きだったんだよね。俺のなかではBLANKEY JET CITYでの激しい曲だけじゃなくてソフトな曲ができはじめてて、それを彼女が歌えばカッコよくなるんじゃないかって思って。1999年に彼女のアルバムに2曲を提供することになりました(『turbo』収録の「ストロベリータイム」「午後」のこと)。そのあと俺がUAにバンドを組もうって誘ったんだ。UAにはバンド内のヴォーカリストに徹してもらって、俺が細かいところまでコントロールしたかったんだけど。いざ始まってみるとUAはどえらい自分の意思が強いのでダメでした。逆にこっちがコントロールされそうになってます……(笑)。そんななかで、みんなヒヤヒヤしながらも反応し合って、必死で前へ進めていっています。

    TOKIE 私はそのときは知らない人ばかりのところに飛び込んだ状態。RIZEでメジャー・デビューした頃で、ベンジー(浅井)もUAも私のことは知らなかったんじゃないかな。AJICOの話が来るタイミングで、川村カオリちゃんのライヴで弾いていたのを観たのが初めてなんだと思う。

    『接続』
    AJICO

    ビクター/VICL-65462

    浅井 ドラムはUAが自分のバンドから、椎野(恭一)さん絶対いいからって連れてきた。ベースは、トッキー(TOKIE)は可愛いしベースもうまいからって、確かUAが誘ったのかな?

    TOKIE 普通のエレベだけじゃなくて、アップライトを、さらに弓でも弾ける人を探しているって言われたような気もする。よく憶えてないけど(笑)。今回、曲を思い出すために聴き直してみると、アップライトを弾く比率が高くてちょっとビックリしてます。

    浅井 それで、1年くらい経ったところで、もう思いっきりやったからちょっと一旦休憩かな? そんな感じだった。楽しかったんだけどね。そしたら思ったより休憩が長くなって、それぞれまた忙しくなって、気がついたら20年経ってた(笑)。

    ――2001年の活動休止から約20年振りに活動を再開するわけですが、そうなった経緯を教えていただけますか?

    浅井 今、海外に住んでるUAがちょうど日本の音楽が気になる時期だったみたいで、ストリーミングでかかっていた「深緑」を聴いて自分の曲にえらく感動したらしくて……それでもう一回やろうって、俺に電話してきた。それが2019年の話。その翌年がたまたまUAの25周年だったから、盛り上げるためにもAJICOを復活させようということになったみたいです。だから本当は去年やるはずだったのが、コロナ禍で全部流れて今年やることになったんだわね。そこで、さあ今回こそ俺がコントロールしてやろうと思ったけど、ダメやった(笑)。長嶋茂雄さんじゃないけど、彼女の言うことが抽象的過ぎて理解するのが大変だったりすることもあるんだわ(笑)。

    TOKIE UAは自分が表現したいことが明確なので、彼女の頭のなかで鳴っている音を形にしてあげられるように考えながらベースを弾いてます。20年経って、わたしもそれなりに引き出しが増えたので、昔よりは対応できるようになったと思う。

    「深緑」 (Live from AJICO SHOW)

    ――それでは新作『接続』についてですが、シングルでもフル・アルバムでもないEPというスタイル、さらに鈴木正人さんをサウンド・プロデューサーに迎えたことについて聞かせてください。

    浅井 初めに8曲くらい候補曲があって、それをUAに聴かせて4曲に絞った。さらにそのなかから2曲に絞ろうと思ってたんだけど、最終的にはみんなの意向で4曲ともやることになったんだよね。そこからは、今のAJICOの4曲をどう聴かせるか?という作業。正人くんの参加を提案したのはUAかな、俺も正人くんはとても信頼してるし好きなので。たまには自分とは異なる世界が見てみたいとも思ってたかな? 「地平線 Ma」のクラヴィネットなんて俺のなかからは絶対出てこないんで、正人くんがいなかったらまったく違う曲になってたと思う。今回の正人くんの仕事は流石だと思うし、一緒にやってよかったと思う。

    TOKIE ベーシストである正人くん(編注:サウンド・プロデューサーとしてだけでなく、バンドLITTLE CREATURESのベーシストとしても活躍。また、レキシ、salyu、DAOKOなどのサポート・ベースも務める)のことは昔から知ってるし、プレイもずっと見てきたから、彼の前でベースを弾くことに緊張するのかと思ったけど、実際にやってみるとそういうこともなく自然にプレイできました。彼のアイディアはセンスが良くて、レコーディングも楽しく進行しました。今回のツアーも一緒に回れるので、楽しみにしています。

    AJICO – 地平線 Ma (Official Video)

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