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INTERVIEW- 鳴瀬喜博、IKUO、村田隆行[THE CHOPPERS REVOLUTION]

  • Interview:Kengo Nakamura

俺もまだ勉強しているんだよ、モータウンは。(鳴瀬)

━━鳴瀬さんが作曲した「Funk On」は、フィルター系音色のリフから始まり、R&Bっぽさもありつつ、ロック的な歪みセクションを経てラップをフィーチャーした曲展開になりますね。

鳴瀬 最初のベースはね、アレ、シンベなのよ。

IKUO そう、ベースが3人もいるのにシンベっていう(笑)。

鳴瀬 それがいいんじゃないか(笑)。それに乗っかって3人が交代でソロをやるっていうのがやりたくてね。あと、この曲のサビのメロディはタカが弾いてるんだよ。レコーディングのガイド用に弾いたんだよな?

村田 そうなんですよ。ナルチョさんが“「Funk On」はあまりベースを弾きたくないんだ、弾くための曲じゃない”っておっしゃっていて。それでなんとなく僕がこそっと入れておいたんです。普通、ナルチョさんの曲で8弦でメロディを弾いているのってナルチョさんだと思うじゃないですか。だから、あそこは嘘ナルチョなんですよ(笑)。

鳴瀬 クレームの嵐だな(笑)。まぁ、俺も弾いてはみたんだけど、タカが入れてくれたやつを聴いたら、タカのほうがいい感じだったんだよ。それで、“採用!”って。

『FAN×K』Special Trailer
IKUO
Profile
いくお● 9 月24日生まれ、島根県出身。1996 年からEx-iT、Lapis Lazuli、CUBE-RAY といったバンドで活動し、2004 年からはT.M.Revolutionをはじめ、数多くのアーティストのレコーディング/ライヴでも活躍する。現在、自身のバンドとしてはBULL ZEICHEN 88、Rayflower、THE CHOPPERS REVOLUTIONに所属する傍ら、精力的なセッション活動も展開。村田とはI.T.R.として2021年6月にアルバム『Bass Life Goes On』をリリースした。自身のソロ・アルバムも『R.E.D. ZONE』と『Easy come,easy core!!』の2作を発表している。
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━━トリプル・ベース+ツイン・ドラムの「Cat’s Power ~Pileup Effect~」は低音リフの重厚感がすごいですね。

IKUO これはドラムのすごさもありますよね。坂東くんと(川口)千里ちゃんっていう、菅沼(孝三)さんの遺伝子のおふたりのプレイが音源になるっていうのはトピックですよ。

村田 コロナが始まった頃に、トリプル・ベースとツイン・ドラムっていう企画でライヴをやって、坂東くんと千里ちゃんに来てもらったんです。

鳴瀬 もうね、ライヴが本当にすごかったのよ、あのふたり。俺らが出る幕がなくてさ。どっちが主役なんだって感じでね。

村田 アルバムを作るのは決めていたから、絶対にこのトリプル・ベースとツイン・ドラムは入れようと思ったんです。この曲はふたりの縦の合わせ方も完璧だし、かつ、それぞれのカラーも出ていますよね。そこにからむトリプル・ベースとしては、僕がシンセ・ベースと一緒に“ドッドッドッドッ”て縦のラインを弾いて、その両サイドでおふたりが鬼のチャチャを入れるというもの。IKUOさんはいつもの速弾きをやって、ナルチョさんが歪ませた音でギタリストがチョーキングで攻めるみたいな感じで、すごくやんちゃなフレーズなんです(笑)。それで、全部がハマったときにちゃんと印象的なものとして抜けてくるんですよね。あの低音の鬼の渦のなかで、ふたりの音がちゃんと聴こえてくるっていうのが、やっぱり普通じゃないなって思いました。

━━「Chop-Chop」は鳴瀬さんがバッキングに回っているんですよね? ダブル・ストップを入れたフレーズやIKUOさんと村田さんのかけ合いのソロでの徐々に加速していくような展開、女性ヴォーカルのバッキングのラインと、非常に聴きごたえがあります。

鳴瀬 嬉しいね。日本のジェマーソンと呼んでくれよ(笑)。

村田 この曲は、ナルチョさんに“ボトムを俺にやらせてくれよ”って言われたのが印象的でしたね。ナルチョさんはPhoenixのBomber BassっていうPBタイプのベースにフラット・ワウンドを張って弾いていました。IKUOさんと僕は、ずっとローBの下のほうを、ここは僕、ここはIKUOさんみたいに分けて弾いていて、その上でナルチョさんがダブル・ストップのフレーズを弾いているんです。あと、いかにもモータウンなベース・ラインはナルチョさんで。今回、“ファンク”っていうテーマにしていますけど、僕なんかは後追いで70年代、80年代の音楽を勉強しているんですけど……。

IKUO ナルチョさんはリアルタイムだもんね。すごいっすよね。

村田 ジョージ・デュークとかと一緒にやっているとか。“歴史”じゃないですか。

IKUO もう、歴史上の人物ですよ。織田信長と一緒ってことですよね(笑)。

鳴瀬 おい、焼き討ちするよ?(笑)

村田 ナルチョさんのプレイって、今風のモータウンのベース・ラインの作り方じゃなくて、ちゃんとあの時代のっていう動きだから、すごく勉強になりましたね。

鳴瀬 いやいや、俺もまだ勉強しているんだよ、モータウンは。コロナ禍でサブスクがあってよかったなと思ってさ。聴きたかったアルバムとかを毎日のように聴き漁ってるんだけど、やっぱりディスコとファンクばっかりなのよ。いろいろ聴いたなかで、ウィルバー・バスコムがすごく良くてさ。ガル・マックダーモットっていう「Let The Sunshine In」とかを書いた作曲家のバンドでバーナード・パーディ(d)とバスコムが一緒にいるのがすごくいいんだよ。それってモータウンとかそこらへんのサウンドだから。それ、ベーマガでジミー(前田“JIMMY”久史)が取り上げてたのよ(編註:本誌2021年8月号の“最強のリズム・セクション”特集)。それでジミーから、“アレがもっとすごいですよ”って教えてもらったりして勉強になったし、すごくいい時間を過ごせたなと思ってさ。ジミー、ありがとう(笑)。

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