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    INTERVIEW – 高松浩史[THE NOVEMBERS]

    • Interview:Kengo Nakamura Photo:Susie(Live)

    アップライトを指で弾くのとは
    もう全然違うなって。

    ━━前作あたりから“曲がカッコよければ、ベースを弾かなくてもいい”という境地に達していましたが、今作で言うと、「Rainbow」や「楽園」には生ベースは入っていない?

     実はアップライトの弓弾きが入っているんですよ。馴染んでいるので少しわかりにくいですよね。

    ━━アタックがないからシンセの低音なのかなと思ってました。

     そうですよね。「Rainbow」はロング・トーンがメインで、「楽園」は16分のニュアンスで弾いています。

    ━━アップライトの弓弾きは高松さんのチョイスなんですか?

     いや、これはもう小林くんからのリクエストで。でも、けっこう自信をなくしましたね(笑)。こんなに難しいものかと。自分が指やピックで弾く場合って、ある程度、自分が弾いてから音が出るまでに時差がないんですけど、弓だとリズム感がわからないんです。

    ━━音の立ち上がりが緩やかだから、発音のタイミングが自分の思っているものとズレると

     そうなんですよ。そこはすごく苦戦しましたね。今までライヴでアップライトを指で弾いたりすることはありましたけど、もう全然違うなって。そもそも、レコーディング期間中かその直前くらいにアップライトの弓っていうワードが出てきたくらいだったので。

    ━━ヤバイですね(笑)。

     一応、YouTubeとかで、どうやって弾くのか、動画とかは観ましたけど、動画を観たところで、実際にやってみないと感覚はわからないですね(笑)。

    『At The Beginning』収録曲「薔薇と子供」

    ━━前作でも活躍していたフレットレスを使った曲は「New York」と「開け放たれた窓」ですか?

     今作ではそうですね。

    ━━「New York」はファンキーなハネのリズムとオブリっぽい遊びが混ざったフレーズがいいですね。

     小林くんから“フレットレスのフレーズを何個かください”と言われて、それに対して投げたものですね。一応キーを指定されて。

    ━━そういうときには、ドラムのリズム・パターンも提示されているんですか?

     いや、まったくなにもないです。僕が録音するときもクリックを聴いて、それに合わせて弾いただけですね。

    ━━高松さんって、ああいうファンキーな素養ってないと思うんですよ(笑)。

     ないですよ(笑)。僕、全然聴いたことないですもん、ファンクとか。

    ━━スタジオのセッションでも、“何かネタください”っていうときには、自分の引き出しにあるものを出すことが多いと思うんですね。そういう意味で、フリーのお題を渡されたときに、自分のなかにない要素が出てくるっておもしろいなと。 

     とは言っても、最終的にレコーディングしたものと比べると、僕が出した素材の段階では、もうちょっとノリはやんわりしてましたけどね。僕のフレーズに対して、ああいうドラムが乗ってきて、じゃあ本番というときにもうちょっとノリが出てきた部分もありますし。でも、ファンキーというか、あの手のノリのフレーズってこれまでなかったし、ちょっと新しいなと思って提出したところはありますね。あと、この曲では初めてスラップのサムピングをしてますね。今までプルの音はフレーズで入っていたりもしますけど、サムっていうのはなかったんじゃないかなぁ。サビの部分で使ってます。

    ━━サウンドも加工していますか?

     これは、同じフレーズを2回録ってダブルにしています。それとリア・ピックアップがハムのベースを使ったので、ちょっと真ん中に寄った音になっていますね。

    ━━「開け放たれた窓」は終始フィルターをかけた音色が印象的ですね

     LINE 6のHX Stompにミュートロンのモデリングが入っていて、それを使っています。さっきも言ったように、この曲は“昔のJポップ”というキーワードで、わりとあの年代の人たちって、生のベースというよりはシンベで代用していたりもして。そういうシンベの感じを狙ってみました。

    ━━ピッキング・コントロールとつまみの兼ね合いだと思いますが、フィルターの開かせ具合が絶妙な感じです。

     フィルターって難しいですよね。リアルタイムでフィルターをかけて録るっていうのは初めてだったかもしれない。今まで、あとがけでフィルターをかけてもらうということはありましたけど。なんとなく、弾いているときは、こういう風にピッキングするとフィルターがこうなるからこう弾こうという意識はあったのかもしれないですね。フィルターの音作りはひとりで作ったというよりかは、いろんな人にアドバイスをもらいました。

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