PLAYER

UP

【BM web版】歪みベーシストという生き方①━━松本駿介[Cö shu Nie]

  • Interview:Kengo Nakamura

聴くぶんにはサンズアンプがめちゃくちゃ好きだったんですよ。
でも、自分で使ってみると“あれ?”って。

━━Cö shu Nieでは作詞作曲は中村未来(vo,g,k)さんが手がけていますが、ベース・ラインはどのように作っていくのですか?

 中村が作っているデモは、僕が自分の色を出したかったから、ルートの白玉以外は何も入れないでおいてくれっていうところからスタートして、ほぼ全部、僕が好きなように作っていたんです。ただ最近はコード感を重視して作りたいという気持ちが強くて、ある程度のイメージは打ち込んでもらうようにしています。

━━ベースがどういう音で鳴っているのかって、楽曲のイメージにも関わると思うのですが、中村さんから音色についてのリクエストもある?

 基本的には最初から“こうして”とは言われないです。デモを渡された段階で、“この曲は多分こういうことなんだろうな”って想像してやりますけど、基本的にそれが間違うことはなくて。

━━3ピースになってから歪みサウンドを取り入れたということですが、今となっては、ベースは歪みでやるのが前提ですか?

 そうですね。基本が歪みで、それをどういう種類の歪みにするのかっていう。昔とは人が変わったように歪みが大好きになりました(笑)。

━━歪ませる手法としてはアンプとエフェクターがあり、それぞれで質感が違ってきますが、松本さんはどのようにしていますか?

 歪ませるようになった最初はエフェクターくらいしか考えがなくて、どうしたらいいのかなって思ったんですけど、エンジニアさんの意見も聞いて、アンペグのアンプの歪みがありつつ、そこにそのとき手元にあったフルトーンのOCD(オーバードライブ)を足してザラザラにしようっていう感じから始めました。OCDはベース用ではないですけど、歪みエフェクターを探していたときに薦められたもので、低音が損なわれずに出てくれるので気に入っています。ライヴとレコーディングではまた違ってくるんですけど、レコーディングだとまずはアンプで歪ませて、そこにエフェクターの音色を乗せていくっていう感覚ですね。好みで言えばアンプの歪みのほうが好きなのかもしれません。そのほうが生音にも近いし。だからアンプだけで好きな歪みができれば100点かなと思うんですけど、なかなかライヴでは反映されにくいですよね。

「asphyxia」(Live)

━━アンプの歪みでも、真空管とトランジスタではテイストが違いますよね?

 確かに。僕は真空管のものしか使っていないかもしれない。“真空管でないと!”っていうイメージではないんですけど、気づいたらそこをチョイスしていますね。

━━エフェクターの選択はどのように?

 好みとしては、聴くぶんにはサンズアンプがめちゃくちゃ好きだったんですよ。ライヴハウスで聴くサンズって無敵だなって思っていて。“このベースの音、めっちゃカッコいいな”って思って足下を見たら基本的にサンズがあるんですよ(笑)。でも、自分でいざ使ってみると全然違って、“あれ?”って。それで今、自分的にハマったなって思うのはダークグラスですね。ザラッとしている質感があって。ダークグラスのサウンドって現代的で今の音楽に合っているっていうか、聴いて“カッコいい”って素直に思える。今は、Microtubes B7K Ultraが基本の歪みになっていますね。

━━現在はどのように歪みサウンドを使い分けていますか?

 3タイプくらいに分けています。ダークグラスのザラッとしたナチュラルな歪みが基本にあって、スラップとかフレーズを出したいときなど攻撃的な色づけをするときにOCDみたいなオーバードライブを使って、あとは完全に異次元に連れていくっていうところでファズを使っていますね。

━━ファズは何を?

 ふたつ使っていて、エバ電子の GERMASOUND OVERDRIVEはオーバードライブなんですけど、どっちかというとファズみたいな印象で、上品で飛んでいくような音がするタイプ。フェンダー・ブレンダーは別次元に連れて行くタイプで、1stアルバム『PURE』に入っている「inertia」で使いました。遠くで雷鳴が鳴っているような、静けさからの轟音みたいな感じで、イーブンタイドのH9 Maxのギャラクシー系のエフェクトとマッチしましたね。

▼ 続きは次ページへ ▼