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    maya ongaku 高野諒太

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    高野諒大(maya ongaku)インタビュー【『Nothing Space Music』前篇】「ノリすぎない、スウィングしすぎない」

    • Interview : Shutaro Tsujimoto (Bass Magazine Web)
    • Photo : Hiroki Obara

    2026年8月に2ndアルバム『Nothing Space Music』をリリースした、神奈川県・湘南を拠点とする3人組バンド、maya ongaku。

    2021年に結成され、2023年5月に1stアルバム『Approach to Anima』を発表。アコースティックな響きと電子音、反復するリズムが溶け合うサイケデリックな音楽を奏で、アメリカやヨーロッパでツアーを行なうなど、国内外で支持を集めている。

    その独自のアンサンブルを低音から支えるベーシスト、高野諒大がベース・マガジンWEBに初登場。取材の舞台は、彼らが今年、神奈川県・平塚に完成させた新しいスタジオだ。新たな制作拠点で、3人はどのように音を重ね、最新作を形にしたのか。

    ビートルズやピンク・フロイドとの出会いを含む音楽的なルーツから、音数や音の重なりを吟味したベース・ライン作り、アルバムの制作背景まで、じっくりと話を聞いた。レコーディングはもちろん、彼らのライヴを支える機材とその使い方にも迫った。

    高野の音楽的なルーツに迫った、【ルーツ篇】のインタビューはこちら。

    みんなで考えながら、ひたすらベースの演奏と録音を繰り返して、“今のいいね”とか話しながら入れていく

     実際に録り始めたのは2026年の4月からなんです。その前にメンバー各自がライヴ活動を一時休止して、行きたい場所へ旅に出ていました。抄英(池田抄英/k,sax,fl)はブラジルへ2月から1ヵ月間、僕はインドへ2週間ほど、努もバリへ1〜2週間ほど滞在していました。時期は少しずれていたのですが、アルバムを作るスケジュールが決まっているなかで、努がこの期間にアルバムのコンセプトや元となるデモ曲を考えてきてくれたんです。

     みんなで集まって“どうしていこうか”と話し合い、努が作ってきたデモを聴きました。その時点では正直僕はアルバムのコンセプトや曲についてのアイディアを持っていなかったので、“どうしよう、間に合うのかな?”と思ってたんですけど、それを聴いて“これなら全然大丈夫だな”と思っていました。3月末くらいに集まって話して、4月からすぐに録音を開始した感じですね。

     セッションで作るときもありますけど、努が作ってくるデモにはコードと歌と、ベースが入っているときもあるし、ある程度曲の要素が入っていて、どういう曲かがわかる状態になっているんです。それに対して僕と抄英がそれぞれの音楽観からどういうアプローチをするかを考えながら、実際に“じゃあベースを入れてみよう”となったらベースを弾きながら、“こういうアプローチがいいんじゃないかな?”っていうのを弾きながら相談していきます。
     
     みんなが“いいな”ってなったら採用しますし、正解というかベストがまだわからないときは、みんなで考えながらひたすら演奏と録音を繰り返して、“今のいいね”とか話しながら入れていく。フレーズが決まったら通しで演奏していく、という感じですかね。

    maya ongaku 高野諒太

     去年(2025年)の11月に契約したんですけど、そのときは壁が取り払われていたり、床のクッションフロアも剥がれてボロボロな状態だったのを、うちの親父が内装屋なんで相談して。僕も手伝ったりしながら、親父と僕で壁を新しく作り直して平らにしたり、2ヵ月くらいかけてゆっくり進めながらやって、1月中旬くらいに今の形になって。そこから家具を買いに行って完成させました。

     完全にそうです。ここはもともとヤマハ音楽教室だった場所で二重窓があったから選んだんですけど、以前使っていた、努の親父が経営する自動車修理店の倉庫は本来音が出せる環境ではなかったんです。自分たちで1.5畳くらいの簡易的な防音室を作って、アンプだけ入れて外にケーブルを出して録ったり、サックスも抄英が狭い防音室に交互に入って、イヤフォンで音を聴きながらやる大変なやり方だったので。

     ここに来てからは、空気感を含めていろんなマイクの試し方の自由度がすごい上がりましたし、“じゃあ次はパーカッションを録ろう”となってもマイクだけ置き換えればどこでも録れる状況なので、効率も音の意味でも自由度が上がったなと思います。

     同時に録れるようにはなったんですけど、まだ機材的に整っていない部分もあるので、それは今後やっていけたらおもしろいなと思っています。今は基本的に1トラックずつですね。

    maya ongaku 高野諒太 手元写真

    最初は、リズムマシンに合わせてベースを弾くことがすごくやりづらかったんですよ

     多いのは、アコギと歌があって、その次にベースを乗せる形。僕がクリックを聴きながらベースを弾いて、そこにパーカッションを乗せて、トラックができたら、そこに鍵盤を重ねる、というやり方が多かったです。曲によって違って、“これはピアノが最初かな”ということもあるんですけど。ベースはけっこう早い段階で入れていましたね。全部入れ終わってから“やり直したい”と言って、最後に弾き直すこともありました。

     そうですね。曲によっては、クリックとアコギだけだったり、アコギもなかったりするかな。ベースのリフが多いので、それをひたすらクリックに合わせて演奏する、ということもあります。

     でも、クリックを聴かない曲もあります。アコギと歌は、たぶんクリックを入れて録っているんですけど、ベースを録るときは、そのときのやりやすさで。“これはないほうが良い”と思ったら消してもらって。キックだけ先に入っていたりもするので、そこの位置が合っていればいい、という考えが僕のなかにはあります。キックとベースが気持ち良くなっていればいいな、という感じで録っています。

     場合によっては、あとからベースの位置にキックをずらすこともあります。ベースは変えず、むしろベースの揺らぎにキックを合わせることが、けっこう多いのかな。キックは一度録ったものを貼ることもあれば、曲を通して演奏することもあります。バスドラムだけ置いて、マイクを立てて、それだけを録る形ですね。

     レコーディングもそういうやり方ですし、ライヴもリズムマシンに合わせて演奏することが多いので、ここ2〜3年で慣れてきたところはあります。最初は、リズムマシンに合わせてベースを弾くことがすごくやりづらかったんですよ。でも、そればかりやっているうちに、機械的な、一定のリズムに合わせて弾くことがうまくなったというか。

     そういう意味では、今回のレコーディングも前回よりうまくなっていたと思います。あとからベース・ラインに合わせてキックをズラすことも、今回はあまり必要なかったようなので。

    maya ongaku 高野諒太

     そうですね。基本的には、演奏しながら合わせにいっているので。キックとアコギを聴きながらベース・ラインを入れて、自分としてはそのリズムに合わせている感覚です。

     デモには入っていなかったです。この曲だけは先にある程度できていて、レコーディング前に、去年のツアーなどで何度かライヴでやっていたんですよ。努が歌っているのに合わせて、そのときの感じで演奏していく形で。ライヴごとにフレーズも変わっていて、みんないろいろ試しながらやっていました。

     そのなかである程度決まってきた土台はあったんですけど、ちゃんとレコーディングするなら考え直そう、という話になって。特にベース・ラインは、ライヴでやっていたものとは全然違いました。一番最初に録った曲で、一番時間がかかったかもしれないですね。

    ノリすぎない、スウィングしすぎない、というイメージはありました

     はい。ただ、全曲録り終わってから“ちょっと違う”となって、テンポを少し遅くして録り直したんです。ベース・ライン自体は変わらないんですけど。最初に録って、結局一番最後にも録った曲ですね。

     曲全体を通して意識しているのは、音数です。ドラムがいないので、ベースの音数とノリが、曲全体のノリに直接影響する。そのなかで、ノリすぎない、スウィングしすぎない、というイメージはありました。ライヴでもやっていたので、そういうグルーヴのアプローチはできていたんですけど、もっと良いフレーズがあるなとも思っていて。

     そこは、みんなでけっこう考えましたね。コードのどの音を使ったら良いか、邪魔にならないか、いろいろなスケールやフレーズで何パターンも演奏し続けて。“その音はないほうがいい”というものを、どんどん消していくなかで決まったフレーズでした。

     そうですね。そのフレーズにたどり着くまでが、一番……(次の記事に続く)

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