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    ローラ・リー

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    “創作の過程にこそ美しさがある” ローラ・リー(クルアンビン)がフジロック後に語った表現への姿勢【インタビュー前篇】

    • Interview : Shutaro Tsujimoto(Bass Magazine Web)
    • Translation : Tommy Morley
    • Photo : Jackie Lee Young

    FUJI ROCK FESTIVAL ’26 2日目、GREEN STAGEのヘッドライナーとして登場したクルアンビン。ファンクやサイケデリック、世界各地の音楽を結びつけながら、踊れるインストゥルメンタル・ミュージックの可能性を広げてきたテキサス出身の3人組だ。今年のフジロックには“クルアンビン以降”を感じさせるアクトも多数出演するなか、彼らは独自のグルーヴと確かな演奏力で、パイオニアとしての堂々たる存在感を示した。

    なぜ、ローラ・リーのベースはこれほどまでにオーディエンスの身体を揺さぶるのか? 来日中、本人にインタビューする機会を得た。デビュー作を10年の歳月を経て録り直し、昨年リリースした『The Universe Smiles Upon You ii』の制作背景から、音価を大切にするベース・プレイ、最新の機材事情まで、その低音の秘密に迫った。

    ローラ・リー(クルアンビン)

    アルバムの最も美しい部分は、完成した作品そのものではなく、作っている過程

     (記事を見ながら)ああ、私だわ(笑)。そうだったわね!

     またお話しする機会をくれて、本当にありがとう。これ、もらってもいいかしら?

     すごくかっこいいわね。ありがとう。今は紙のベース専門誌も少なくなってしまったものね。寂しいことだわ。

     より成熟したステージになったと感じているわ。2019年のパフォーマンスには、もう二度と再現できないような若々しいエネルギーがあった。でも今回は、自分たちの意志や、自分たちが何者なのかをより深く理解したうえで戻ってこられた。そこに、とても特別な意味があったの。

     1曲目に、私たちの曲のなかでも最も静かな「A Calf Born in Winter」を演奏するのは、大きな決断だったわ。普段ならフェスでは絶対にやらない曲なの。多くの人は耳を傾けてくれないと思うから。でも、日本では何度も演奏してきたし、お客さんのこともわかっていた。だから、これまでで最大級の観客を前に、一番静かな曲から始めても、きっとみんな聴いてくれると信じていたの。

     今の私たちを表現できて、自分たちでもいい演奏ができると思える曲を選びたかった、というのが大きいわね。それに今は、ステージでさまざまな楽器を演奏してくれるウィル・ヴァン・ホーンが、4人目のメンバーとして加わっているの。彼と一緒に演奏してきた曲を披露する機会でもあったし、まだ彼とは演奏したことのなかった、よりスケールの大きな曲をさらに発展させる機会にもなったわ。

    左から、ローラ・リー、ドナルド・“DJ”・ジョンソン(d)、ウィル・ヴァン・ホーン(Pedal Steel/サポート・メンバー)、マーク・スピアー(g)。

     最初にこのアルバムを作ったとき、そこまで深く考えていたかというと、どうかしらね(笑)。失うものが何もなくて、自分たちの音楽がどうなるかも期待していないときに生まれる音楽には、特別なものがあると思うの。ただ自分たちのために作る。それは、とても遊び心に満ちた時間だったわ。アーティストは、いつも最初の作品を作ったときの自分を追いかけているんだと思う。

     でも、もう二度とそこには戻れないのよね。だからこそ、今回こうして曲を振り返ることができて素晴らしかったし、アルバムの最も美しい部分は、完成した作品そのものではなく、作っている過程だったんだと気づいたの。今回は、ただ完成させることだけに集中するのではなく、その瞬間に起きていることを楽しもうという意識が、以前よりずっと強かったと思うわ。

    今の自分の演奏に対する自信を、きちんと大切にしたかった

     今の自分の演奏に対する自信を、きちんと大切にしたかったんだと思うわ。もちろん、完全に自信があるという意味ではないの。まだまだ学ぶことはたくさんあるけれど、成長の過程にある今の自分を、ちゃんと受け入れられるようになったのね。

     それから、今回は別のベースも使っているの。1年半くらい前にヴィンテージのヘフナーを買ったんだけど、本当に美しい音がして、このアルバムや演奏のアプローチにもすごく合っていたわ。木製のホロウ・ボディの楽器で、マークがボディのあちこちにコンタクト・マイクを取り付けてくれたの。それによって、指が弦に触れる音や、普段なら聴こえないような細かなニュアンスまで拾うことができたのよ。

     レコーディングでは使っていないけれど、ライヴでは使っているわ。アルバムではおもにヘフナーと、私がもともと使っているベース(SXのジャズ・ベース・タイプ)、それからマークのプレシジョン・ベースも使ったと思う。複数のベースを使い分けてレコーディングしたのは、今回が初めてよ。

     ずっと使ってきた私のベースと、まったく同じフィーリングがあるところかしら。フェンダーは本当に素晴らしい仕事をしてくれたわ。ルックスも弾き心地も、私のオリジナルのベースと同じになるように、何度もやり取りを重ねたの。誰が手に取っても、すぐに自然な感覚で、快適に弾けるベースになっていたら嬉しいわ。

     アンペグのB-15だけよ。アンプに直接つないで、その前にマイクを立てただけなの。

     そうね。本当に美しいサウンドのアンプだから。

     当時は、私のフェンダーのBassman 10を使っていたわ。これも本当にいい音のアンプよ。でも最近は、スタジオではできるだけアンペグを使いたいと思っているの。あのアンプの真空管が生み出す温かみは、ほかではなかなか得られないものだから。それに、いいベースをいいアンプにつなぐだけでも、いろいろな音色を引き出せると思っているわ……(インタビュー後篇につづく)

    後篇では、音の長さやミュート、ドラムとの関係についてローラ・リーが語る。ライヴで使用したベースとアンプも紹介。続きはプレミアム会員限定で公開。

    PROFILE
    ローラ・リー●米国テキサス州の3人組、クルアンビンのベーシスト。2015年に『The Universe Smiles Upon You』でアルバム・デビューし、『Con Todo El Mundo』(2018年)、『Mordechai』(2020年)、『A LA SALA』(2024年)を発表。レオン・ブリッジズとの共作EP『Texas Sun』(2020年)、『Texas Moon』(2022年)、ヴィユー・ファルカ・トゥーレとの共作アルバム『Ali』(2022年)なども手がける。2025年にはデビュー作の発表10周年を記念した再録盤『The Universe Smiles Upon You ii』をリリースした。
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