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【第100回】“ウラをオモテとして感じる”裏技 第3部 Part 2 石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

  • Text:Jun Ishimura

5拍子でファンキーなグルーヴを作るアプローチ、パート2です!

2020年5月、ベース・マガジンWEBの誕生と同時に連載が始まった『石村順の低音よろず相談所』。なんと今回で100回目を迎えました! いつもご視聴ご愛読いただきありがとうございます! と言いつつ、今回もいつもどおり淡々と地味で本質的な練習を続けます(笑)。

はい、前回の続きです。【ex.7】は、前回やったパーツ①〜③を順番に並べたものです。
|タンタンタ|タンタンタ|タタタンタン|
という、5/8拍子が2小節、6/8拍子が1小節、とプログレみたいな変拍子になっていますが、慣れてしまえば難しくないので、ぜひチャレンジしてください。これまで同様Fのところで足をタップして、そこをオモテだと感じます。(F)は省略してもOK。 ゆっくりから始めて、いろんなテンポで練習します。

【ex.7】が楽に自然にできるようになったら【ex.8】です。【ex.7】の2小節目の最後のC音と3小節目最初のC音をタイでつないだものです。6/8に変わったときのオモテの音を弾かないので少しトリッキーかもしれません。ゆっくりから始めて、いろんなテンポで練習します。

この【ex.8】は、実は元のフレーズ【ex.9】と同じことを弾いています。【ex.9】のような普通の書き方だと、拍ごとに区切られているように見えます。視覚の影響は大きいので、見えたとおりに“このフレーズは拍ごとに区切れている”と認識しがちで、その認識が演奏に反映されがちです。

僕はこれを“目の錯覚”と呼んでいますが、これを逆手にとって、同じフレーズを別の区切り方で区切って書いたのが【ex.8】です。元の譜面のウラの音がオモテになっているので、確信を持って演奏できます。

ここで、
【ex.8】を見ながら演奏

演奏を続けながら【ex.9】に目を移し、でも【ex.8】の感じ方をキープ

①に戻る
というのを繰り返し練習しましょう。

慣れたら、【ex.9】だけを見て演奏しつつ【ex.8】の感じ方ができるよう鍛錬します。“拍との関係性でリズムをとらえる”という一般的な感じ方と、今回の【ex.8】のリズムの感じ方、この両方を同時に感じながら演奏できるようになると、4/4のなかをポリリズミックに動くので、普通に拍だけで感じているのでは出てこないグルーヴが出てきます。

さらに、今回の第3部のリズム解釈とは別に、第2部のシリーズ(第96回第97回第98回)では7/8拍子を使ったリズム解釈に取り組みましたよね。

第3部のリズム解釈 |タンタンタ|タンタンタ|ンタタンタン|
第2部のリズム解釈 |タンタンタタン|タンタンタタン|タン|
一般的なリズム解釈 |タンタン|タタンタ|ンタンタ|タンタン|

これら3種類の譜面を、それぞれ何回かリピートしては次の譜面に移る一巡して戻る、という風に練習して、フレーズは同じだけどリズム解釈が変わっていくと感じ方がどう変わるか、観察して身につけましょう。

最終的に、元フレーズの譜面を見て拍で足をタップしながら演奏しても、今回の解釈や第2部の解釈で演奏できるようになってくると、グルーヴが今までとは全然違ってくると思います。ぜひ根気よく取り組んでください。石村順でした!

石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

◎Information
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