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    【ベース初心者のための知識“キホンのキ”】第15回 – ゴーストノートを使いこなそう

    • Text:Makoto Kawabe

    ここでは、“ベースを始めたい!”、“ベースを始めました!”、“聴くのは好きだけど僕/私でもできるの?”というビギナーのみなさんに《知っておくと便利な基礎知識》を紹介します。今回はゴーストノートについて学びましょう!

    はじめに

    ゴーストノートはグルーヴやノリを感じさせるために不可欠な音です。生演奏の醍醐味、ベース演奏の決め手とも言えます。そこまで言われたらマスターするしかない! 前回の“スラップ奏法”にも欠かせないテクニックです。自由かつ的確にゴーストノートを入れて演奏しよう!

    ゴーストノートとは? なぜ入れるの?

    音程感のない音、弾いてはいないけど弾いた音、それがゴーストノートです。譜面上では“×印”で表記されます。音程感のない音ではありますが、筆者が譜面を表記する際は奏者がゴーストノートを弾いたであろう弦やポジションの音程に×印を入れていますので“ポジション”は5線譜を、“弦”はタブ譜で確認してください。後述しますが、鳴らす弦によってゴーストノートのニュアンスは変わります。

    ゴーストノートの表記方法

    ゴーストノートを入れる理由はプレイヤーによってさまざまですが、一番の理由は“ゴーストノートを入れたほうがカッコよく聴こえるから”。では、“なんでカッコよく聴こえる?”というと……いろいろ理由はありますが、ひとつは“リズムが細分化されるから”でしょう。例えば16分のノリ(16ビート)で4分音符を弾くとき、直前にゴーストノートを入れることによって、ノリを感じさせつつ4分音符のたっぷりとした雰囲気も演出することができます。

    ゴーストノートを使った演奏例

    もうひとつ、ゴーストノートを活用する理由に “ゴーストノートを入れたほうが弾きやすいから”という面もあると思います。例えば指弾きでウラ拍を感じながらオモテ拍から弾き始めるとき、直前のウラ拍で弦に指を置くことでゴーストノートを鳴らすわけです。指弾きは当連載第5回でも書いたとおり、弦に指を置いた状態からピッキングするパターンと、(鳴っている弦を連続して弾く場合など)弦から離れた地点から指を振り抜いてピッキングするパターンがありますが、指を置くタイミングをイン・テンポ(拍やリズムに合わせて)のゴーストノートとしてタイミングを調整するわけですね。これはむしろ演奏者都合のゴーストノートであり、“聴こえなくても効果があるゴーストノート”です。つまり、ゴーストノートは“意図的に聴かせるゴーストノート”のほかに“聴こえちゃったゴーストノート”も存在するのです

    ゴーストノートの入れ方

    ゴーストノートの発音方法は多数ありますが、筆者の場合はその必要性や聴かせたい音量レベルなどによって3種類ほどを使い分けています。

    ①:強めのゴーストノート

    はっきりと認識できるレベルのゴーストノートで、指弾きの場合は指先を揃えて弦を強めに叩き、スラップと同じ要領で弦とフレットがぶつかるバズ音を出します。“バズ音をゴーストノートにする”わけです。弦を叩いた直後に指先を弦から離すと開放弦が鳴ってしまうので、指先は弦に触れたままの状態にします。ピック弾きの場合はピックを強めに弦に当てる、スラップの場合はサムピングに近いフォームで手首ごと弦に押し付ける、といった方法でもバズ音が出せるかと思います。

    ちなみに、サムピングで弦を叩き、そのまま指を弦から離さなければ(遅ければ)必然的にゴーストノートになりますね。サムピングで実音がキレイに鳴らない原因(サムピングの失敗例)でもあります。

    ②:中強度のゴーストノート

    中程度の強さで演奏するゴーストノートで、使用頻度がいちばん高い方法です。演奏方法は“左手で弦をミュートした状態でピッキングする”のが一般的ですが、指弾きの場合は“弦上に2本の指を乗せた状態から指1本で弦をハジく(右手指先でミュートしつつ別の指でピッキングする)”という方法でもゴーストノートが出せます。

    ③:弱めのゴーストノート

    弦に触れたときにやむを得ず出てしまう程度の弱めの強さのゴーストノートです。鳴っている音を止める際にもゴーストノート的に音が出てしまうこともありますね。

    余談ですが、音の長さをコントロールする際に無音で音を止めるのが“休符”です。音を止めたときに音が出たらそれは休符ではなく“ゴーストノート”です。本来は休符なのにそれを意識しすぎるあまり意図的にゴーストノートで弾いてしまうと、必要以上にせわしない、やかましい演奏になりがちです。特に休符の多い楽曲を演奏する際に無意識にやってしまいがちですので注意しましょう。

    ゴーストノートを使い分ける

    ゴーストノートの具体的な使い分け方を紹介します。

    Ex-1

    Ex-1は2種類のゴーストノートを使い分ける例です。連続するふたつのゴーストノートをそれぞれ別の方法で鳴らしています。具体的には3拍ウラの連続するゴーストノートをひとつ目は2本の指で弦を叩くように鳴らし、ふたつ目で弦上に指を1本残して鳴らしましょう。

    実音を弾く→ミュートついでにゴーストノートを鳴らす→ゴーストノートを明確に鳴らす→実音、という流れですね。1拍ウラの休符もゴーストノートに近いニュアンスになりますが、ゴーストノートとして意識的に鳴らすかどうかで聴こえ方がかなり変わると思います。

    ゴーストノートを2連続で鳴らすときの右手の動き。①2本の指で弦を叩く(ゴーストノートひとつ目)→②弦上に中指を残したまま人差指で弾く(ゴーストノートふたつ目)→③中指で実音を弾く。

    Ex-2

    4ビートのウォーキング的なベース・ラインでゴーストノートを使うとスウィング感を演出しやすいですが、Ex-2上段のように実音と同じ弦でゴーストノートを入れると実音が必要以上に短くなり、せっかちで落ち着かない雰囲気になりがちです。

    そこで下段のように実音とは異なる弦でゴーストノートを入れると、この問題は解消します。むしろ実音をほとんどミュートせずにゴーストノートを重ねるように弾いてもいいと思います。

    スラップでゴーストノートを活用する

    Ex-3

    スラップではゴーストノートが欠かせません。特にプルの前に休符を置くようなフレーズの場合には、“ゴーストノートが必然的に鳴ってしまう”と表現したほうが実情に近いかもしれません。特に親指が下向きのフォームでこの傾向が強いと思います。

    Ex-3の前半は休符で忠実に無音をキープするのはほぼ不可能かと思いますが、後半のように休符をゴーストノートに置き換えればラクに弾けるでしょう。ゴーストノートを意図的に鳴らすかどうかはセンス次第です。

    スラップのサムピングでゴーストノートを鳴らす際の動かし方。左手で弦に触れ、ミュートしておくことが必要だ。

    左手の複数の指先で、鳴っている弦に触れて音を止める方法を“LHM(レフトハンド・ヒッティング・ミュート)”などと言いますが、LHMの際にもゴーストノートが鳴ってしまうことがあります。

    特にスラップではLHMのフォームを応用したゴーストノートが多用されます。LHMの要領で弦をフレットに打ち付けバズ音を出すわけですね。

    譜例前半は、実音→LHMでゴーストノート→(左手で弦をミュートしたまま)サムピングでゴーストノート、この3音を繰り返します。左手がリズムに関わってくるので左右のコンビネーションが重要です。後半はこの3音を組み合わせたフレーズ例です。慣れてくるとこの組み合わせだけでもリズミカルなスラップ・ソロができますよ。

    LHMでは複数の指先をそろえて同時に弦を叩き、“パチ”というバズ音を鳴らす。

    最後に

    ゴーストノートを含んだベース・ラインは魅力的な演奏に欠かせないテクニックですが、それだけに無意識にゴーストノートが鳴らせるくらいに体に馴染まないと効果を発揮しないかもしれません。普段練習している楽曲でも“隠れゴーストノート”があるかも。“ゴーストノートを鳴らす”ことに主眼を置くことよりも“ゴーストノートを織り交ぜてニュアンスを高める”ことを主眼に練習してみてください。

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