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【フジロック2026】ベースが魅力の来日アクト10選|クルアンビン、TURNSTILE、アンジーヌ・ドゥ・ポワトリーヌほか
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- 文:辻本秀太郎(ベース・マガジンWEB)
- 写真:宇宙大使☆スター
2026年7月24日(金)〜26日(日)に新潟県湯沢町苗場スキー場で開催されるFUJI ROCK FESTIVAL ’26。タイムテーブルも公開され、今年の苗場を彩るラインナップの全貌が見えてきた。
今年は、GREEN STAGEのトリを務めるクルアンビンをはじめ、世界のフェスを沸かせるターンスタイル、FIELD OF HEAVENを濃密なグルーヴで満たしてくれそうなレタス、バッドバッドノットグッド、ゴーゴー・ペンギンなど、ベースや低音に注目したくなる来日アクトが多数出演。さらに、ダブルネックの特注楽器で微分音を操るアンジーヌ・ドゥ・ポワトリーヌ、トルコ民謡とファンクを結びつけるアルトゥン・ギュン、ハンガリー発の祝祭的ジプシー・パンクを鳴らすボヘミアン・ベチャーズなど、ジャンルを越えた“低音の聴きどころ”も豊富だ。
名前を知っているバンドはもちろん、まだ見ぬアクトにも、思わず身体を揺らされる低音が潜んでいるはずだ。ジャンルや国を越えてさまざまなグルーヴに出会えるのも、フジロックならではの醍醐味。ここでは編集部が選ぶ“ベースが魅力”の来日アクト10組を紹介する。
クルアンビン(KHRUANGBIN)
7月25日(土)GREEN STAGE
Bass:ローラ・リー
極上ミニマル・グルーヴがGREEN STAGEに響きわたる
クルアンビンは2010年にテキサス州ヒューストンで結成された、ローラ・リー(b)、マーク・スピアー(g)、ドナルド“DJ”ジョンソン(d)によるトリオ。タイ・ファンク、ダブ、サイケデリック・ロック、ソウルなどを取り入れながら、少ない音数でグルーヴを組み上げていくサウンドで知られる。ミニマルでありながらどこか妖しく、同時に驚くほどタイト。生楽器によるグルーヴの魅力を世界中のリスナーに伝え、近年のインストゥルメンタル・バンドの広がりにも大きな影響を与えている。フジロックには2019年のFIELD OF HEAVENのトリ以来の出演となり、今回は2日目のGREEN STAGEのトリを務める。
2024年には4thアルバム『A LA SALA』を発表。3人だけのアンサンブルに立ち返った作品として、クルアンビンらしいミニマルなグルーヴをあらためて印象づけた。さらに2025年には、1stアルバム『The Universe Smiles Upon You』のリリース10周年を記念して、同作を再録/再構築した『The Universe Smiles Upon You ii』をサプライズ・リリースしている。
ベースを担当するローラ・リーは、音数を絞った反復フレーズで楽曲のグルーヴを作るプレイヤー。ベース・ライン自体はシンプルだが、ドラムとギターの間で曲全体の重心を決める役割は大きい。2025年にはフェンダーから自身のシグネイチャー・モデル“Laura Lee Jazz Bass”が発表されたことも話題となった。
またリズム視点では、ドナルド“DJ”ジョンソンのドラミングにも注目だ。強く叩き込むのではなく、軽いタッチで細かなニュアンスを積み重ねながら、ローラ・リーのベースと一体になってグルーヴを作っていく。その驚異的なタイム感と音量のコントロールは、ベーシストにとっても大きな聴きどころとなるはずだ。ヘッドライナーとしてのスケール感と、3人のミニマルなアンサンブルがGREEN STAGEでどう響くのかに注目したい。
アンジーヌ・ドゥ・ポワトリーヌ
(ANGINE DE POITRINE)
7月26日(日)RED MARQUEE
Bass & Guitar:クン・ド・ポワトリーヌ
微分音とルーパーが生む、謎のデュオの異形グルーヴ
今年ネット上で演奏動画が話題となり、記念すべき初来日を果たすアンジーヌ・ドゥ・ポワトリーヌは、2019年にカナダ・ケベック州サグネで結成された実験的ロック・デュオ。こうした謎めいた個性派アクトをいち早く招聘するフジロックの嗅覚には、思わず拍手を送りたくなる。ギター/ベース/ルーパーを操るクン・ドゥ・ポワトリーヌと、ドラムのクレック・ドゥ・ポワトリーヌの2人組で、巨大なマスクと白黒の衣装に身を包んだ存在としても知られる。
本誌読者が注目すべきは、クンが使用するギターとベースのダブルネック楽器。映像を見ると、通常のギターやベースよりもフレットが多いことがわかる。これは微分音を演奏するための仕様で、微分音とは、一般的な半音よりもさらに細かい音程のこと。その独特の音階感を使ったフレーズは、ベース・ラインとして非常に新鮮に響く。
クンはこの楽器でギターとベースを行き来しながら、ルーパーでフレーズを重ねていく。ピック弾きによる輪郭のはっきりしたベース・リフと、クレックのドラムが噛み合うことで、複雑でありながら身体を動かすグルーヴが生まれる。微分音を交えた不思議な音階で反復されるリフは、一度聴くと耳に残る中毒性がある。映像だけでも十分に伝わるそのグルーヴは、生で体感すればさらに強烈に響くはずだ。初来日でどのような演奏を見せるのか、ぜひチェックしておきたい。
ターンスタイル(TURNSTILE)
7月24日(金)GREEN STAGE
Bass:フランツ・ライオンズ
世界のフェスを沸かせる、骨太グルーヴを体感せよ
現代ハードコアを更新してきた存在として、ターンスタイルの名前は欠かせない。2010年にアメリカ・メリーランド州ボルチモアで結成された彼らは、ハードコア・パンクを軸にしながら、オルタナティブ・ロック、ファンク、ポップ、シューゲイズ的な質感まで取り込み、シーンの枠を大きく押し広げてきた。2025年には4thアルバム『NEVER ENOUGH』をリリース。近年はプリマヴェーラ・サウンドやグラストンベリーをはじめ、世界各地の重要フェスでも存在感を示している。
2024年のフジロックではWHITE STAGEのトリを務めたが、今回は初日の夕方にGREEN STAGEへ登場。筆者も前回のライヴを目撃したが、観客を巻き込むエネルギーと、バンド全体のグルーヴの強さは圧倒的だった。GREEN STAGEのあの大きなステージで彼らの骨太なグルーヴがどう響くのか楽しみだ。
ベースを担当するフランツ・ライオンズは、フェンダーのプロモーションにもアイコンとして起用されるなど、現代を象徴するロック・ベーシストのひとりとして注目を集める存在。プレシジョン・ベースの太い中低域を、力強いピッキングで前に押し出すサウンドが印象的で、ハードコアのスピード感のなかでも音の輪郭がはっきりしている。ダニエル・ファングのドラムと一体になってバンドのリズムの芯を支える、タイトな低音に注目したい。
レタス(LETTUCE)
7月24日(金)FIELD OF HEAVEN
Bass:エリック“マーヴェリック”クームス
名手たちが奏でる、圧倒的ファンク・グルーヴ
レタスは1992年にアメリカ・ボストンで結成されたファンク・バンド。バークリー音楽大学周辺で出会ったミュージシャンたちを中心に始まり、ファンク、ジャズ、ソウル、ヒップホップ、ロック、サイケデリアなどを取り込みながら、圧倒的な演奏力と即興性の高いライヴで世界中の支持を集めてきた。2025年には8年ぶりの来日公演を行ない、ソールドアウトを記録。直後にリリースされた新作アルバム『Cook』も注目を集めており、再び日本でその熱を体感できる機会となる。
ベースを担当するのは、エリック“マーヴェリック”クームス。アダム・ダイチのドラムと組むリズム体は、レタスのグルーヴの核だ。太い音色でボトムを支えながら、細かな16分のニュアンスやゴーストノートで曲を前へ転がしていくプレイは、ファンクの語法を知り尽くしたプレイヤーならでは。ホーン隊や鍵盤が華やかに動くなかでも、ベースとドラムのポケットが揺るがないからこそ、バンド全体の即興が成立している。
メンバーそれぞれが個々のプロジェクトでも活躍する実力者でありながら、レタスとして鳴らすときの一体感は別格。FIELD OF HEAVENで、エリックのベースとアダム・ダイチのドラムがどのようなグルーヴを生み出すのか、ファンク好きのベーシストなら見逃せない。
ヒョゴ(HYUKOH)
7月24日(金)RED MARQUEE
Bass:イム・ドンゴン
アジアを代表するインディ・バンドの低音
ヒョゴは2014年に韓国で結成された4人組バンド。オ・ヒョク(vo,g)、イム・ドンゴン(b)、イム・ヒョンジェ(g)、イ・インウ(d)による編成で、韓国インディ・シーンを代表する存在として、日本でも高い人気を集めてきた。フジロックでは2019年にWHITE STAGEに出演し、昨年は台湾出身のSunset Rollercoasterとのコラボレーション・プロジェクト“AAA”としてGREEN STAGEにも登場。今回は久しぶりのHYUKOH単独でのフジロック出演となる。なお今年のフジロックでは、ORANGE ECHOに出演するBongjeinganやCADEJOといった韓国勢も、ベーシストの存在感という意味で気になるバンドだ。
ヒョゴのベースを担当するイム・ドンゴンは、低めに構えたベースをピックで鳴らし、ゴツゴツとした存在感のあるラインを繰り出すプレイヤー。その立ち姿の格好良さも含めて、ライヴで実に目を引くベーシストだ。「Tokyo Inn」や「Wanli」のように強力なベース・リフがアンサンブルを牽引する曲もあれば、「Comes And Goes」のような軽快なファンク・ベース、「LOVE YA!」のようなビートルズライクでメロディアスなベース・ラインも印象的だ。
ヒョゴの楽曲は、歌やギターの余白を生かしたアンサンブルが魅力だが、そのなかでイム・ドンゴンのベースははっきりと存在感を放っている。シンプルなようで、曲のノリや温度感を大きく左右するフレーズが多い。AAAでの大きな編成を経て、HYUKOHとしてどのようなグルーヴを聴かせてくれるのか楽しみだ。
ユーフ(YUUF)
7月25日(土)FIELD OF HEAVEN
Bass:アンソニー・ボートライト
ベースの弓弾きにも注目、ユーフの瞑想的リズム
ロンドンを拠点に活動する4人組インストゥルメンタル・バンド、ユーフが初来日。アンソニー・ボートライト(b)、ヒューゴ・コッツ(g)、アンドリン・ハーグ(per)、オリバー・オーバーガード(d)による編成で、世界各地の音楽的要素を取り込みながら、国境やジャンルを越えたサウンドスケープを描き、世界各地のフェスティバルで支持を集めている。2025年には〈Ninja Tune〉傘下の〈Technicolour〉と契約し、EP『Alma’s Cove』と『Mt. Sava』をリリース。瞑想的でありながら有機的なグルーヴを持つサウンドは、クルアンビンやグラス・ビームズ周辺の音楽に惹かれるリスナーにも届きそうだ。
ベース目線で注目したいのは、アンソニー・ボートライトの独特なスタイルだ。ギブソンSGベース系の太く丸い音色で、ゆったりと流れるようなファンク・ベースを聴かせる一方、チェロ弓を使った弓弾きも多用。弓弾きに空間系エフェクトを組み合わせることで、低音が持続音として漂い、ユーフならではのアンビエント的な広がりを生み出している。なお、日本では2枚のEPをまとめた初のCD化作品『Alma’s Cove / Mt. Sava』が、日本独自企画盤としてリリースされている。
アルトゥン・ギュン(ALTIN GÜN)
7月24日(金)FIELD OF HEAVEN
Bass:ヤスパー・フェルフルスト
トルコ民謡 × ファンキーなピック弾きベースに注目!
アルトゥン・ギュンは、2016年にオランダ・アムステルダムで結成された多国籍バンド。トルコ民謡やアナドル・ロックを現代的に再解釈し、そこにファンクやディスコの感覚を加えたサウンドで国際的な評価を集めてきた。日本では2022年のフジロック出演でも大きな話題を呼び、2019年作『Gece』はグラミー賞にもノミネート。2026年2月には、トルコを代表する民謡詩人/音楽家、ネシェット・エルタシュの楽曲に取り組んだ最新作『ガリプ〜ネシェット・エルタシュに捧ぐ』(原題:GARIP)をリリースした。
注目したいのは、バンドの中心人物であるベーシストのヤスパー・フェルフルスト。スウェーデン発の老舗ブランド、ハグストローム製と思われるベースを多くのステージで使用しており、太く丸い中低域が印象的だ。ピック弾きによるミュート気味のポコポコとした音色で、思わず身体が動いてしまうファンキーなベース・ラインを生み出している。バグラマなどの伝統楽器がウワモノとして鳴るなか、エレキ・ベースがファンク/ディスコ由来のグルーヴを担う。その混ざり合いが、アルトゥン・ギュンの大きな魅力と言えるだろう。
少ない音数で印象的なリフを刻み、バンド全体のグルーヴを組み上げていく感覚は、2日目ヘッドライナーのクルアンビンにも通じるところがある。トルコ音楽由来の旋律やリズムと、ヤスパーのピック弾きベースがFIELD OF HEAVENでどのように響くのか楽しみだ。
バッドバッドノットグッド(BADBADNOTGOOD)
7月25日(土)FIELD OF HEAVEN
Bass:チェスター・ハンセン
ジャンルを横断するジャズを2日目FIELD OF HEAVENで
2010年にカナダ・トロントで結成されたインストゥルメンタル・バンド、バッドバッドノットグッド。ジャズを軸に、ヒップホップ、ソウル、サイケデリックな要素を取り込み、ジャンルを横断する現代的なサウンドで支持を集めてきた。これまでにゴーストフェイス・キラーとの共作『Sour Soul』(2015年)を発表したほか、ドゥーム、ダニー・ブラウン、ケンドリック・ラマー、タイラー・ザ・クリエイターらとも接点を持ち、近年はブラジル音楽の巨匠アルトゥール・ヴェロカイを迎えた『Talk Memory』(2021年)でも注目を集めている。2024年には最新作『Mid Spiral』を発表した。
ベースを担当するチェスター・ハンセンは、往年のソウルやジャズ・ファンクを思わせる極太の中低域で、バンドのグルーヴを牽引するプレイヤー。バッドバッドノットグッドのアンサンブルではベースの存在感が大きく、太く温かい音色で全体を支えながら、要所では印象的なフレーズで前にも出る。そのバランス感覚に注目したい。
この日のFIELD OF HEAVENは、ロンドン出身のココロコによるアフロ・ジャズからの流れも楽しみ。どちらもジャズを出発点に、ソウル、ヒップホップ、アフロビートなどを横断する現代的な存在で、“踊れるジャズ”の現在形を、FIELD OF HEAVENでたっぷり体感できる時間になりそうだ。
ボヘミアン・ベチャーズ
(BOHEMIAN BETYARS)
7月24日(金)CRYSTAL PALACE TENT
7月25日(土)WHITE STAGE
Bass:ガーボル・フェヘール
とにかく踊れる、ハンガリー発ジプシー・パンクの低音
ハンガリー出身のボヘミアン・ベチャーズは、ジプシー・パンク、スピード・フォーク、バルカン音楽、スカ、サイケデリック、ハンガリーのルーツ音楽などを混ぜ合わせたサウンドで知られる6人組バンド。これまでに日本でもたびたびライヴを行なっており、2022年には朝霧JAMにも出演。今回のフジロックでは、7月24日(金)深夜のCRYSTAL PALACE TENT、翌25日(土)のWHITE STAGEと、2ステージに登場する。
ベースを担当するのは、ガーボル・フェヘール。メインのフェンダー・ジャズ・ベースを手に、ピック弾きを中心に、ときに指弾きも交えながら、ハネるようなリズムをパンキッシュに刻んでいく。ヴァイオリンやトランペットが飛び交う狂騒的なアンサンブルのなかでも、ベース・ラインは驚くほどタイトで、踊り出さずにはいられないグルーヴを生み出している。
ボヘミアン・ベチャーズの魅力は、バンド全体で祝祭的なグルーヴを作り出すところにある。笑って、歌って、踊れるライヴのなかで、ガーボルのベースがどのようにバンドの熱量を押し出していくのか。深夜のCRYSTAL PALACE TENTでも、昼のWHITE STAGEでも、とにかく身体で体感したいアクトだ。
ゴーゴー・ペンギン(GOGO PENGUIN)
7月26日(日)FIELD OF HEAVEN
Bass:ニック・ブラッカ
コントラバスで鳴らす、人力エレクトロニカの推進力
ゴーゴー・ペンギンは、2012年にイギリス・マンチェスターで結成されたアコースティック・エレクトロニカ・トリオ。クリス・イリングワース(k)、ニック・ブラッカ(b,syn)、ジョン・スコット(d)による編成で、ピアノ、ベース、ドラムという形を取りながら、テクノ、ドラムンベース、エレクトロニカ、ミニマル・ミュージックの感覚を生演奏で表現している。2025年には最新作『Necessary Fictions』をリリース。バンド史上初のヴォーカル・トラックやストリングスとの共演曲も収録し、新たな広がりを見せた。
ベーシストのニック・ブラッカは、コントラバスを軸に、ときにエレキ・ベースやシンセも扱うプレイヤー。ウォーキング・ベース的に支えるのではなく、反復するリフやパターンで曲を駆動していくところが大きな魅力だ。強いアタックと輪郭のある低音で、ピアノのミニマルなフレーズとドラムの細かなビートをつなぎ、クラブ・ミュージック的な推進力を生み出している。
アコースティック楽器でありながら、シーケンサーやベース・シンセのような質感も感じさせる反復フレーズを、人力ならではの揺れや粘りで鳴らしていく。FIELD OF HEAVENで、その躍動するコントラバスのグルーヴを体感したい。
FUJI ROCK FESTIVAL ’26 開催概要


FUJI ROCK FESTIVAL ’26
2026年7月24日(金)〜26日(日)新潟・苗場スキー場
公式サイト:https://fujirockfestival.com/
チケット詳細:https://www.fujirockfestival.com/ticket/index
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