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    『スーパーマリオRPG』気の利くイチゴにご用心【クリープハイプ長谷川カオナシのレトロゲーム喫音堂】- 第24回

    • バナードット絵:石田芙月(株式会社.AC)
    • 挿絵:長谷川カオナシ

    毎回、レトロゲームの音楽の魅力を、独自の視点で伝えるこのコーナー。今回は、2023年11月にNintendo Switchにてリメイク版も発売された、『スーパーマリオRPG』の音楽を紹介します。

    直前に捻りを加えて、直後のインパクトをより強くする

    お世話になっております。

    年度末ですね。

    早いもので、当コラムも今回で24回目。

    2年目最後の回となります。

    連載初回はスーパーマリオワールドを取り挙げましたね。

    SFCのローンチ・タイトル、つまり最初のゲームソフトでした。

    今回はSFC最後のマリオのゲームのBGMを喫音しようと思います。

    『スーパーマリオRPG』(1996年/任天堂)(※1)

    RPGやったことない人も〜

    任天堂とスクウェアが共同開発した名作RPG。

    昨年11月にNintendo Switchでリメイクされたことも記憶に新しいですね。

    ダンジョンではジャンプ・アクションが求められたり、戦闘画面ではボタンを押すタイミングでダメージが変動したりと、RPGながらマリオらしいアクション要素が豊富なのも特徴的でした。

    SFC最後期の作品ということもあり、映像も音楽も実にハイクオリティです。

    さて、今回喫音する曲は序盤のダンジョン“ハナちゃんの森”のBGM、

    「森のキノコにご用心」(※2)です。

    木管楽器風の旋律と脇を固めるストリングスが美しいですね。

    曲のキーは嬰ハ短調(C#m)から始まります。

    短調というのは暗い響きの音階(※3)ですが、F#、E、A、Bなどの明るいコードを多用することにより、曲の雰囲気は暗くなり切らず、なんとも妖しくて不思議な旋律になっています。

    ベース・ラインはド、ソ、ド、ソ、といった感じで、1度→5度→1度→5度と交互に繰り返します。

    ただ曲中一箇所だけ、真ん中の間奏のような部分。

    ここではド、ソ、ソ、ド、といった、1度→5度→5度→1度の流れになります。

    これにより、テンポは変わっていないのに、ノリが若干ゆっくりになったように感じさせられます。

    この直後、曲中で最も印象的な移調があり、曲のキーが嬰ヘ短調(F#m)に変化します。

    大事な場面の直前にちょっとした捻りを加えることで、直後のインパクトをより強くする。

    とても気の利いたベース・ラインですね。

    さて、今年度も様々なレトロゲームBGMを喫音して参りました。

    来年度からは更新頻度を隔月に落とさせて頂きますが、その分内容の濃いものを作って参りますのでよろしくお願い致します!

    それではまた次回までご機嫌よう。

    (※1)
    ^ 音楽は下村陽子先生。
    カプコン、スクウェアを経て、ゲーム音楽のみならず、映画やアニメなどの作品にも携わっておられます。
    主なゲームでは『ストリートファイター2』『キングダムハーツシリーズ』など。


    (※2)
    ^ 2006年頃、この曲を題材にした動画がネット界隈で人気を博し、ほぼミーム化しました。
    人々の心を打つ二次創作がされるということは原曲が名曲だということだと思います。


    (※3)
    ^ 長調と短調の話は喫音堂第22回をご参照ください!

    ◎Profile
    はせがわ・かおなし●1987年9月23日生まれ。小学生でピアノとヴァイオリンを手にし、高校1年でベースを始める。クリープハイプは2001年に尾崎世界観(vo,g)を中心に結成。2009年に長谷川、小川幸慈(g)、小泉拓(d)を擁した現編成となる。2012年にメジャー・デビューし、2014年には日本武道館にてライヴを行なう。2023年3月29日に新作EP『だからそれは真実』をリリースした。長谷川はティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズのグッズ収集家でもある。

    ◎Information
    長谷川カオナシ
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    クリープハイプ
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