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    INTERVIEW − パーシー・ジョーンズ

    • Interview:Koji Ishizawa
    • Photo:AVRAHAM BANK

    インプロで紡ぐフレットレスの妙技

    1975年に結成され、フィル・コリンズ(d)が在籍していたことでも知られる、英国の老舗ジャズ・ロック・グループ“ブランドX”のベーシストとして名を上げたパーシー・ジョーンズ。当時、フレットレスと言えば真っ先にジャコ・パストリアスの名があがるなか、ヨーロッパからフレットレス名手として切り込んで来た希有かつ貴重な存在だった。そのブランドXは1980年に一旦休止符が打たれるも、1992年にジョン・グッドソール(g)とパーシーの中心人物ふたりによって蘇ると、1999年まで活動。さらに2016年から再始動と2度にわたる復活劇をみせた。同時に個人名義のアルバムをリリースし、自身のバンドのトンネルズやMJ12などを率いるなど、リーダー・プロジェクトにも力を注いで来ている。そのパーシーが2020年10月にブランドXを脱退。昨年、ギターのアレックス・スコルニックとティム・モッツァー、ドラムのケニー・グロホフスキーとの4人名義でアルバム『PAKT』をリリースした。ということで、現在はNYに住まいを構えるパーシーをキャッチ。その新作などについて聞いた。

    ブランドXが私とジョン・グッドソールのバンド
    だという思いは変わってない。

    ──近年のパンデミックではどんな生活を送っていましたか? 現在はNYにお住まいのようですが。

     そう、スパニッシュ・ハーレム地区に住んでいるよ。ほかのあらゆるアーティスト同様、私もツアーやライヴ・ギグがことごとくキャンセルになってしまったけれど、いい機会だと思って作曲に励んだ。それから、ベースを録音して、ほかのミュージシャンとリモートでデモ・トラックを録音したり。もし世の中にインターネットがなかったら、状況はまったく違っていただろうね。

    ──ベースの練習は今でもするんですか?

     もちろんさ。怠るとプレイ・クオリティは目に見えて下がるからね。ライヴがないからなおさらだよ。いくつかのスケールを用いたエクササイズがあって、ストレッチ運指、イントネーション、連続させて弾くことで耐久力も維持できる。これらは音楽的ではないけれど、ベースのプレイに要求されるものに適しているから、ローテーションでやっているんだ。それから、いろいろな曲のベース・ラインをもっとうまく弾けるように練習したりもする。

    ──あなたは2020年の10月でブランドXを脱退しましたね。今となっては、ジョン・グッドソールが亡くなってしまったので(編注:2021年11月11日に68歳で死去)、お聞きするのもなんなのですが、理由はなんだったのでしょうか。

     バンド自体には問題なかったんだが、マネージメント側がちょっとね……運営面で透明性がなく、しかもそれに対してなんら説明責任を果たさないというか……そういう人と仕事をしたくなかったんだ。いずれにしても、私とジョン・グッドソールのバンドだという思いは変わってない。ジョンが肺炎を患って9月頃から入院したというのは聞いていた。けれど、まさか亡くなるとは思っていなかったから、とてもショックだよ。

    PAKT
    June Dream

    IACD10645〜6
    左から、パーシー・ジョーンズ、アレックス・スコルニック(g)、ケニー・グロホフスキー(d)、ティム・モッツァー(g)。

    ──心中お察しいたします。ブランドXを辞めたあなたは、アレックス・スコルニック(g/もともとはサンフランシスコのヘヴィ・メタル・バンド“テスタメント”のギタリストで、2001年頃からジャズもプレイしている)、ケニー・グロホフスキー(d/2003年にベーシストのロニー・プラキシコに見出され、その後はフェリックス・パストリアス(b)のヒップスター・アサシンズやブランドXにも在籍)、ティム・モッツァー(g/トニー・レヴィンやパット・マエストロ、ジャマラディーン・タクマなど多くのベーシストと共演し、2018年にはジャズ・ギタリストのカート・ローゼンウィンケルのバンディッド65でも来日)の4人の頭文字を冠した『PAKT』を昨年9月にリリースしました。数多くのミュージシャンのなかから彼らを選んだ理由は?

     Moonjune Recordsのオーナーで、アルバムのエグゼクティブ・プロデューサーのレオナルドのアイディアだった。これまでも自身のレーベルで数多くの企画を打ち出してきていて、ほかの3人もそれぞれMoonjune Recordsと関わりを持っていたからね。

    ──レオナルド氏は2006年からアラン・ホールズワース(g)のマネージメントを亡くなる2017年まで務めたことでも知られています。

     そうだね。私も長い付き合いだが、彼の嗅覚は実に鋭くて、誰と誰を組み合わせたらうまくいくかが直感的にわかるみたいでね。それまでのプロデューサーやプロモーターとしての長い経験と勘もあるんだろう。

    ──あなたはグロホフスキーとはブランドXで一緒にプレイしていましたが、ほかのふたりとは?

     確かにグロホフスキーとは少なくとも1年半は演った。スコルニックとは2〜3年前に、女流ギタリストのジェーン・ゲッター・バンドでプレイしていたギグの会場で初めて会ったけれど、一緒に演奏するのは今回のアルバムが初めてだ。モッツァーもそうだ。初めて会ったのはかなり前で、私が自分のバンド“トンネルズ”でフィラデルフィアでギグをやったときだった。けれど、今回のレコーディングまで一緒にプレイしたことはなかったね。

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