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    【Sago New Material Guitarsが紡ぐベーシストの絆】田村明浩(スピッツ )× グレートマエカワ(フラワーカンパニーズ)

    • Interview:Koji Kano
    • Photo:Chika Suzuki

    ━━今後が楽しみです(笑)。田村さんがこれまでSagoで製作した3本のベースはすべてマッチング・ヘッドでしたけど、今回もマッチング・ヘッドの仕様ですね。

    田村 今回は特にカラーリングに力を入れたんですよ。だからマッチング・ヘッドもそうなんだけど、まずこのヘッドの形状に注目してほしい。これはオリジナルのOPBのヘッドを今風にデザインしたもので、高山くんが自信満々に“このヘッドどうですか?”って提案してきたもの。ある意味オリジナルのOPBよりもカッコいいよね。

    グレート うん、これは俺もすごく気に入ってる!

    田村 だからせっかく高山くんがカッコよくデザインしてくれたし、ヘッドにも色を乗せちゃおうかなと。これも同じく、最初にSagoがマッチング・ヘッドとそうじゃないものを画像でシミュレーションして送ってくれたんですよ。それを見比べたらOPBでマッチング・ヘッドって見たことないし、おもしろそうだなと思ったんです。

    グレート 可愛らしさも出せたよね。やっぱり田村くんはマッチング・ヘッドが好きなんだね。

    田村 うん、好きだね。それにせっかくこだわった色にしたんだから、マッチング・ヘッドにしたくなるよね。

    ━━完成した兄弟ベースはすでにライヴでも使用しているようですが、サウンドの印象などはいかがですか? 

    田村 もちろん今でも良い音なんだけど、使っていくなかでこれからもっと良い音になっていく気がします。どんどん成長していく余地があると思うし、もっと自分好みになっていくんじゃないかな。自分好みになってくれるのか、もしくは自分の好みがこの音に近づいていくのか、楽しみですね。

    グレート そうなんだよね。それがおもしろいと思っていて。俺なんか最後に新品のベースを手に入れたのって、高校2年のときにアイバニーズのベースを買ったときだもん。ずっと中古とかヴィンテージのベースしか使ってきていないわけだから、“ゼロからベース育てていく”っていうことはそれ以来なかったわけ。だからここから10年、20年はこのベースと頑張っていきたいと思います。そのときにこのベースがどんな音になっていて、自分がどんな音が好みになっているのかが楽しみですね。この前出たアルバム(『ネイキッド!』)のレコーディングでも最後に一曲だけこのベースを使ったんですよ。“コレで弾いたらどうなるのかな?”って。レコーディングで弾いたことでまた違った良い部分も見えたし、もっとイメージが見えました。

    ━━では最後に、今回の製作を振り返ってみた所感を教えてください。

    田村 そもそもさ、俺らってもうベースを弾いて長いじゃん? 長く演奏していると、“楽器はこういうものだ”とか“こういう形がカッコいい”とかって固定概念にとらわれちゃってると思うんですよ。でも今回はそういう考えを極力排除して製作できたと思います。

    グレート うん、そうだね。今までの俺なんて典型的なそれだったわけだけど(笑)。

    田村 だからこのベースにはそういう固定概念がなくて、楽器の音とかルックスをシンプルに感じ取ってくれるような人たちから特に評判がいいんですよ。“色がキレイ”とか“可愛いね”とかって言ってくれて、楽器って本来こういうものなのかもって思ったりして。そういう感覚が新鮮だったし、今回このベースを作ってみて、そういう純粋な気持ちを思い出せました。

    グレート そうだね。今までいかに固定観念にとらわれていたか。もちろん王道スペックの楽器の音や見た目も好きっていうのもあるんだけど。まぁ……このベースもすべてが新しいってわけじゃないけどね(笑)。

    田村 元はOPBなわけだからね。言ってみれば一番歴史のあるベースなわけだし(笑)。

    グレート でも改めてヴィンテージ楽器と新品楽器の違いを感じられるいい機会でした。それにフル・オーダーの魅力を理解できるきっかけにもなったと思います。新しいベースを持つと新鮮な気持ちでベースと向き合えるし、何より楽しいですよね。

    田村 いやー、ホントに50歳を超えたおっさんが色違いのベースを作ってさ。ベースとギターとかだったらZZトップみたいな例もあるけど、ベースだからね!?(笑)。

    グレート まずそこだよね。全然違うバンドのベース同士で、しかも50オーバー。こんなこと世界初なんじゃない? こんないい企画考えてくれて、もう田村くん様様だよ。

    田村 “ちょっと色違いのベース作っちゃう?”みたいな、恥ずかしい感じがすごく切なくていいんだよね。あ、でももちろん実戦でちゃんと使える楽器になっているので!

    グレート うん、そこは声を大にして言いたいというか、見た目とかはどれだけ遊んでもいいと思うけど、音だけは遊んじゃいけない部分ですからね。ぜひ皆さんにこのベースの音をライヴで聴いてほしいと思います。

    【お知らせ】
    現在発売中のベース・マガジン2月号【WINTER】でも、田村明浩(スピッツ )とグレートマエカワ(フラワーカンパニーズ)の対談記事を掲載中。“兄弟ベース”の製作に至った背景のほか、こだわりのスペックなどがより詳細に語られた、BM Webとは別内容でお送りしています! またSagoのブランド紹介に加え、Sago製のベースを使用する国内ベーシストも紹介しています。

    同号では、特集『革新された低音解釈 70年代クロスオーバー』を70ページで展開! 1970年代に既成ジャンルを横断する新しい音楽ムーブメントとなった、“クロスオーバー・シーン”で活躍したベーシストたちの功績を再検証しています。

    そのほか、フェンダー・アメリカン・ヴィンテージIIや小型コンボ/ヘッドフォン・アンプといった機材企画、来日公演が来月に迫ったレッド・ホット・チリ・ペッパーズの最新作『Return of the Dream Canteen』でのフリーの奏法分析など、さまざまな記事を掲載しています。ぜひチェックしてみてください!