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【Sago New Material Guitarsが紡ぐベーシストの絆】田村明浩(スピッツ )× グレートマエカワ(フラワーカンパニーズ)

  • Interview:Koji Kano
  • Photo:Chika Suzuki

兵庫県尼崎市から高品位なオリジナル・モデルを世に送り出すSago New Material Guitars(サゴニューマテリアルギターズ)は、多くのトップ・アーティストの右腕として日本のロック・シーンを日々支え続ける国産ギター/ベース工房だ。

現在発売中のベース・マガジン2月号【WINTER】では、国内を代表するSagoユーザーであるスピッツの田村明浩が、盟友であるフラワーカンパニーズのグレートマエカワとともにSagoにて同タイプの“兄弟ベース”を製作したことを受け、改めてSagoの実力/魅力を再考しつつ、両者の対談から兄弟ベースに込められた思いを紐解いているが、BM Webでは対談の別内容をお届けしよう。

盟友同士が製作した“兄弟ベース”の真相を、Web/誌面の両記事から感じ取ってほしい。

“ちょっと色違いのベース作っちゃう?”みたいな
恥ずかしい感じがすごく切なくていいんだよね。
━━田村明浩

━━まずはおふたりの出会いや関係性から教えてもらえますか?

グレート 最初の出会いとしては、スピッツが大阪でやり始めたイベント“ロックロックこんにちは!”の第二回目にフラカンを呼んでくれたのがきっかけ。1998年だったかな。そのときの出演者にはサニーデイ・サービスとか、デビュー直前のくるりもいたよね?

田村 うん、そうだね。俺らが初めて話したのはその打ち上げ会場だったと思う。

グレート ちゃんとしっかり話をしたのは……フラカンじゃなくて、うつみようこ&YOKOLOCO BANDが2002年の“ロックロックこんにちは!”のなんばHatchに呼んでもらったときだ。フラカンはそのときインディに戻ってて、自分たちでDIY活動していたときだったから、“大丈夫? ちゃんとやれてる?”みたいな感じで田村くんが話しかけてくれたのを覚えてる。

田村 フラカンのライヴは草野(マサムネ/スピッツのvo,g)がよく観に行ってたよね。

グレート そうそう、90年代とか、マサムネくんがよく観に来てくれてた。だから当時一番顔見知りだったのはマサムネくんだったね。スペシャの番組にも出てくれたし。あとさ、2003年のライジング(RISING SUN ROCK FESTIVAL)にフラカンとスピッツが出演したとき、田村くんが俺らのステージを観てくれてて、終わったあとすごく褒めてくれたじゃん? アレは今でもよく覚えてるよ。

田村 フラカンってさ、ある意味時代の流れに翻弄されながらも頑張り続けてるバンドだと思ってて。翻弄されるとダメになっていくバンドってたくさんいるけど、フラカンは何ていうか、サバイブしててそれがすごくカッコいいし、リアルに感じるんだよね。

グレート 田村くんは同世代で、シーンとかバンドの売れ方とかは全然違うけど、ずっと同じ目線で僕らのことを見てくれている。それは同志として本当に嬉しいことなんです。

田村 2003年のライジングのとき、いろんなバンドを観たのを覚えているけど、フラカンには原点を感じたし、“こういうバンドがいるんだ”ってことを誇りに思えた。だから今でもずっとリスペクトしていますよ。

グレート 本当にありがたいね。そこからスピッツとは仲良くなって、イベントにもずっと出演させてもらっています。

田村 もう10年くらい出てもらっているのかな? もうお互い親戚みたいな感じだよね。年に一回、お盆の時期に会うみたいな(笑)。

━━古くからの付き合いであり、同志ということですね。ちなみにお互いをどんなベーシストだと認識していますか?

田村 俺の印象だと、グレートは本当に“ベーシストっぽいベーシスト”というか……ん、これは褒め言葉なのか?

グレート いいんじゃないの、褒めてなくても(笑)。というか俺を褒めるコーナーじゃないから(笑)。

田村 屋台骨っぽいというか、バンドを支えていますよね。ベースって意味だけじゃなくてフラワーカンパニーズというバンドの支柱になっていると思うし、もはや日本のロック・シーンを支えてるんじゃない?

グレート いやだから、褒めるコーナーじゃないって(笑)。90年代の頃から常々思っていたことは、単純にスピッツの凄さ。友達だからとか、お世話になってるからとかじゃなくて、ずっと第一線に居続けているし、それはなぜかと考えてみても自分たちに取り入れる力は僕らにはないんだけど、スピッツにはやっぱり普遍性があって、名曲がとにかく多いわけですよ。田村くんのベースは、ベースをやっている人ならわかると思うけど、下手したらその名曲たちをブチ壊しかねないようなプレイ(笑)。それをポップに聴かせてひとつにまとめるというのは革命的だし、邦楽/洋楽問わず、技術がすごいバンドってあんまりポップな音楽ではないことが多いと思うんですけど、そういう意味でもスピッツは唯一無二。こういうベース・プレイができる人は田村くん以外に挙げられないというか、ポップなメロディで聴かす音楽にあのベース・ラインを入れ込む感性は独特だし、そこの凄さを日に日に実感しています。

田村 あー、そんなこと言ってくれるんならもっとしっかり話せばよかったじゃん(笑)。ベーシストとしての俺らのプレイ・スタイルって違う部分も多いかもしれないけど、グレートは俺以上にいろいろな表情をうまく使い分けてるイメージなんだよね。

グレート 田村くんは芯からリード・ベース的でありつつ、ベースをメロディ/リズムの両観点でうまくコントロールしていますよね。どうやったらこういうポップな曲でそんなベース・ラインにできるのかがよくわからないけど……というか、難しくて俺には理解できないんですけどね(笑)。だからこそ僕は田村くんが言っている“ベーシストらしいベース”というか、ノリを出すことに注力するスタイルになっていったんだと思います。

田村 うん、スタイルもそうですけど、音色ひとつをとってもお互い好みの違いがはっきりしていると思いますね。

田村明浩【SB-55GT】

田村のモデル“SB-55GT”。アルダー・ボディ、メイプル・ネック、ローズウッド指板という木材構成で、20フレットの34インチ・スケール。ネック・シェイプは、メイン器である1962年製ジャズ・ベースの形状を踏襲している。ピックアップは納品後に田村の好みに合わせて新たに製作された2基のオリジナルのJタイプで、コントロールはヴォリューム、トーンというシンプルなレイアウトだが、トーン・ノブをプルすることで、リア・ピックアップがキャンセルされる。

グレートマエカワ【SB-53GT】

グレートのモデル“SB-53GT”。木材構成は田村と同様だが、ネックはメイン器の1966年製プレシジョン・ベースに合わせ、より太くシェイピングされている。また21フレット仕様で、半音下げでの使用を想定し、田村のモデルよりもスケールが長く設計されている。ピックアップは本モデルのために製作されたSagoオリジナルのスプリット・タイプで、パワフルかつ太く力強いサウンドがお気に入りとのこと。コントロールはヴォリューム、トーンというレイアウトだ。

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