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【動画&誌面対応!】ULTIMATE SLAP SESSION 日野“JINO”賢二 × KenKen[SLAP THE WORLD]

  • Interview:Zine Hagihara
  • Photo:Yoshika Horita
  • Shoot & Edit:MINORxU
  • Sound Recording:Hozumi Suzuki

我が道をゆく稀代のスラップ・ベーシスト、奇跡の邂逅

国内のさまざまなアーティストをサポートし、海外アーティストとの共演も多い日野“JINO”賢二そしていくつものバンドに参加しながら、その枠をも超えてテレビCMなど多方面で活躍するKenKen。国内でも屈指の存在感を誇るふたりのスラップ・ベース・ヒーローのスペシャル・セッションが実現した。彼らは巨匠ミュージシャンを親に持ち、幼少期から音楽が身近にあった。そんなふたりの最大の共通点といえば、やはりスラップを巧みに使った表現力だろう。自身の根底にあるブラック・ミュージックという要素をさまざまな音楽ジャンルに昇華するこのふたりが、スラップというひとつの手段をどのように捉えているのか。即興で繰り広げられたスラップ・セッションの様子をキャッチしたドキュメンタリー映像や奏法解説などをとおして、我が道をゆく稀代のベーシストたちのスラップ哲学をひも解きたい。

まずは対談のドキュメンタリー映像をチェック!

本記事は『ベース・マガジン 2021年5月号 Spring』の表紙巻頭特集“SLAP THE WORLD”と連動しています。巻頭特集では、日野“JINO”賢二×KenKenに加えて、鳴瀬喜博×フクダヒロム(Suspended 4th)、かわいしのぶ×上ちゃん(マキシマム ザ ホルモン)の豪華対談インタビューのほか、スラップ・ベーシストへのインタビューやアンケート、スラップに関するさまざまな知識、スラップのための機材・セッティング、世界のスラップ・ベーシストの奏法分析など、あらゆる角度から“スラップ奏法”をとことん追求します! ほかにも、フェンダーの最新シリーズ“Made In Japan Hybrid Ⅱ”の特集など、盛りだくさんの内容ですので、ぜひチェックしてみてください!

JINO’S SLAP STYLE

 JINOは、例えばコード・トーンを的確に拾ってウワモノや歌唱を支える伴奏的アプローチや、アンサンブルを牽引しながら楽曲の主旋律を奏でるリード・プレイまでをこなし、そういった幅広いベース・アプローチを高次元の演奏力で繰り出す、まさにオールラウンダーと言えるベーシストだ。そのなかで特徴的なのが、伴奏もリード・プレイもスラップで行なうことができる高い柔軟性だ。もちろん、2フィンガーやミュート弾き、タッピングなどそのほかの奏法も駆使するが、スラップでのアプローチの幅がものすごく広いのである。

 サムピングのフォームから見ていこう。親指は上向きの形で、弦にヒットした直後に跳ね返るパターンと、ピッキングした弦を振り抜き次の弦で親指を止める2タイプとなる。写真①は跳ね返り型の直前だ。そこから思い切り手を回転させて、ネック・エンド付近のボディ上で4弦をサムピングをしている(写真②)。

写真1
写真2

 写真③は振り抜き型の直前で、比較的軽めなタッチで4弦を振り抜いて3弦に着地(写真④)。そこからサムピング・アップにつなげることも多く、おもに親指のみを上方向に返して4弦をサムピング・アップする(写真⑤)。

写真3
写真4
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 プルのフォームはシンプルで、人差指の関節を折った状態で弦にセットし、跳ね返り型のサムピングとは逆方向の回転で引っ張ってプルする(写真⑥)。また、JINOのスラップ・プレイに欠かせないダブル・ストップでのプルについては、例えば1弦は中指、2弦は人差指にセットしている写真⑦のように、高音弦を中指でプルすることが多い。

写真6
写真7

KenKen’S SLAP STYLE

 KenKenのスラップ・フォームは親指が下向きの形が基本となる。これはKenKenの長い腕が一因で、ベースを低めに構えた状態(少し前屈姿勢であることが多い)で右腕を伸ばすと手のひらがちょうどフロント・ピックアップ上に位置し、なおかつスラップのフォームにおいては親指が自然と下向きになる。ちなみにこの演奏フォームはスラップ以外の2フィンガーなどにも影響し、弦を上から叩きつけるようにピッキングして生み出す、バズ音の混じったスラップライクなフィンガー・サウンドもこのフォームが起因している。

 サムピングのフォームを見ていこう。写真①はサムの直前で、そこから弦に対して親指の関節部分を叩きつけてサムピングを行なう(写真②)。写真を見るとわかるがKenKenは手のひらがかなり大きく、その手の重みを乗せるように弦にヒットさせることでアグレッシブかつヘヴィな低音を鳴らしている。

写真1
写真2

 プルのフォームについては、サムピングの形のままで人差指の先をボディに軽く触れてセットし(写真③)、手首のひねりを少し加えつつボディから離れる方向にプルをしている(写真④)。

写真3
写真4

 また、派生フォームとしてパワー・コードなどの和音を鳴らす際の複弦プル(写真⑤)や、4弦でルート音を、1弦でコード・トーンを同時に鳴らすパターン(写真⑥)などの複数のプルを使い分け、いずれもアグレッシブに弦を引っ張って荒々しいサウンドを鳴らしている。

写真5
写真6

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