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INTERVIEW – GEN[04 Limited Sazabys]

  • Interview:Koji Kano
  • Photo:Kai,Taku Fujii

希望で照らす、メロディックとしての誇り

04 Limited Sazabysの4年ぶりとなる新作『Harvest』は、混沌とした情勢が生み出した人々の鬱憤をかき消すかのような、果てしないパワーと疾走感を持ち合わせている。まさにこれこそが“メロディック・パンク”の魅力であり、本作を一聴すればそれを明確に再認識できるだろう。この4年間、フォーリミのような“ライヴ・バンド”にとっては厳しい状況が続いたうえ、GENの難聴の発症など、いくつもの困難に直面したわけだが、彼らは“収穫”へとつながる『Harvest』にどんな思いを託したのか。4年間にあった苦悩と、そこから導き出した“希望”についてGENが語ってくれた。

“俺たちは俺たちであれば大丈夫”って明確な答えを持っていた。

ーー前作『SOIL』からの4年間を振り返ると、GENさんは体調を崩したタイミングもありましたし、KOUHEI(d)さんのジストニア発症など、ある意味バンドの危機的な瞬間もあったと思います。そういった面も含め、どういった期間だったと振り返りますか?

 僕が耳の病気になったことで活動休止を決めて、2020年のYON FES(編註:バンド主催のロック・フェス)を最後に、しばらくバンドをお休みしようと思っていたんですけど、良くも悪くもコロナのタイミングにぶつかったんです。それは僕らにとって不幸中の幸いだったというか、“今は休む時期なんだ”って割り切ることができた。だからこそコロナ禍でもそこまでうろたえずにいれたんだと思います。でもコロナっていうものを受けて、休んでいる場合じゃないなっていう気持ちもあって、お世話になったライヴハウスの人たちが苦しんでいる姿を見ると、“なにかしなきゃ”って気持ちにもなったし、こういうときに行動して影響を与えられるバンドでありたいなって思いもありました。

――病を発症したときの心境を覚えていますか?

 やっぱり発症したときはけっこう落ちましたよ。一番好きなことなのに神様に味方されていない感じというか……けっこう胸に来るものがありました。でも職業病的な部分もあるし、自分のなかのチューナーじゃないけど、今疲れているんだなとか、ストレスが溜まっているんだなっていうモノサシでもあると思うので、今ではそこまで重くは捉えていないですね。

『Harvest』
コロムビア/COCP-41837
左から、RYU-TA(g)、GEN、KOUHEI(d)、HIROKAZ(g)。

――では今作『Harvest』には、そういった複雑な背景に対しての思いも込められているのでしょうか?

 アルバムの作り方とかは特に変わっていないですね。今までの僕らのメンタル的にはとにかく駆け抜ける感覚で作品を作っていたんですけど、この4年で自分たちがやってきたことを振り返る余裕ができたんです。それこそモッシュ&ダイブがないライヴであってもこれだけの お客さんが離れずについてきてくれたこととか、コロナでライヴハウスが苦しいとき、ライヴハウス・シーンの代表みたいな感じでリモート番組のゲストで呼んでもらったりとか、自分たちはシーンの顔になって先陣を切って旗を振れる存在になれていたんだなって思えるようになった。そういった自信はアルバム・タイトルの『Harvest』にもつながっていると思います。

――ライヴの状況も激変しましたが、それが自信にもつながったと。

そうですね。ライヴに関しても、昔はとにかくアグレッシブに、衝動的にやっていたんですけど、こういう状況も相まって落ち着いて演奏するようになったと思います。“今日のライヴどうだった?”ってまわりに聞いたとき、“貫禄が出てきたね”っていう捉え方をしてくれる人もいたりして、自分たちを自分で誇れるようになってきたようにも感じています。

――“貫禄が出てきた”という手応えを自分自身で感じることもある?

 やっぱりモッシュ&ダイブとか、コール&レスポンスがない状態でも僕らは僕ららしくいれたってことが一番の自信になったかなと思います。今の状況が正解ではないんですけど、それでもフロアのお客さんと一緒にライヴを作っている感覚はあったので、お客さんのできることが少なくなってもちゃんと成り立つバンドなんだなっていうのは発見でしたね。

――今作を聴いた印象として、フォーリミらしさ全開のド直球な一枚というか、1曲目「Every」からノンストップで進行するような疾走感を感じました。今作はどのような作品にしようと思っていたのですか?

  まず、“無理して新しいことをやらなくてもいいんじゃない?”ってことはみんなで話していました。4年もたっていればシーンの状況も変わっているし、コロナ禍で激しいバンドが苦しいなか、ポップス系のバンドが活躍している風にも見えたけど、無理にその流れに乗る必要はないと考えていました。“俺たちは俺たちであれば大丈夫”って明確な答えを持っていたので。

――作品を聴いていてもその考えはすごく伝わってくるというか、高速2ビートが満載な部分からも、フォーリミの原点には“メロディック”という核があるんだなということを改めて実感できます。

 そうですね。やっぱりそういうバンドであり続けたいなって思うし、得意な技で勝負しようって思いはあったと思います。例えば作品前半の“駆け抜け感”っていうのは毎回意識している気がします。まずは2ビートの疾走系を提示して自分たちがどこから来たのかを明らかにしたあとに、いろんな顔を見せていきたいんですよね。

『Harvest』trailer

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