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SPECIAL TALK SESSION – YUKKE(MUCC) × JIRO(GLAY)

  • Interview:Kengo Nakamura
  • Photo:Yosuke Komatsu(ODD JOB LTD.)

新世界を切り開く、リスペクトとマイ・ウェイの交錯

サポート・ドラマーを迎えた新体制にて2022年6月にリリースしたアルバム『新世界』に連なるミニ・アルバム『新世界 別巻』を12月21日にリリースするなど、結成25周年のアニバーサリー・イヤーを邁進しているロック・バンド、MUCC。そのベーシストであるYUKKEが最も影響を受けたベーシストに挙げるのが、GLAYのJIROである。今回、MUCCの節目の年を記念して、YUKKEからの熱烈なオファーにより、ふたりの特別対談が実現! プライベートでも親交があるというふたりだが、じっくりとベースについて話す機会はなかったということで、ふたりの出会いから、お互いのベース・プレイ、サポート・ドラマー、ソングライティング、使用楽器についてまで、多角的に存分に話してもらった。なお、本記事は対談の前半。続きは、2023年1月19日発売のベース・マガジン2023年2月号に掲載となるので、そちらもあわせてチェックしてほしい。また今後、MUCCのオフィシャルYouTubeチャンネルにて対談の模様を動画で一部公開。こちらもお見逃しなく!

自分の根本ですよね。
一番多感な頃にいろんな影響をもらった。━━YUKKE

━━まず、YUKKEさんがGLAYやJIROさんを知ったきっかけは?

YUKKE 最初は、「Yes, Summerdays」のシングルを聴いてGLAYをすごく好きになったんです。近所のCD屋さんでポスターかなんかを観たのかな。8cm CDを買いましたよ。それが高1くらいの頃で。そこからアルバムを聴くようになって、JIROさんというベーシストを知って、映像でプレイを観たり研究して。

━━JIROさんが登場した時代は、日本のロック・シーンにおいて、ベーシストにより多くの注目が集まっていった時期というか、いわゆる既存のベーシスト像が変革していった時期だと思うんです。それまでは、やはりバンドの花形というとヴォーカルやギターだったのが、ある意味ヴォーカリストよりも主張の強いベーシストも出てきたりして。

YUKKE そうですよね。俺はギターやヴォーカルにはあんまり興味がなかったというか、単純にベースの音にひかれて最初にやってみたいと思った楽器がベースではあったんですけど、ベースを始めてからわりとすぐにJIROさんに出会ったんです。そこから、“ベーシスト”っていう概念が180度くらい変わって。それまではやっぱり縁の下のというか、どちらかというと一歩引いた立ち位置の人が多かったような気もしてましたし、ドンと背中を押された感じでしたね。そこからですね。だから、高校生のときに俺を狂わせたJIROさんというか。

JIRO 狂わせた(笑)。

YUKKE いやいや、本当に女子高生かっていうくらい好きで。『キャラメルブックス』(編註:1998年に発売されたJIROによる単行本)が俺のバイブルだったんです。だから、ベーシストとしてはもちろん、“JIROさん”っていう人間像にもすごく興味を持って好きになって。JIROさんが青が好きだから青が好きになったし、カップヌードルではチリトマトが好きだから俺も食べて好きになったし。

JIRO わはは(笑)。

YUKKE だから自分の根本ですよね。当時のヴィジュアル系って短髪で金髪でっていう人はあまりいなくて、自分がずっと短髪で明るい色の髪でやっているのはJIROさんからの影響ですね。一番多感な頃にいろんな影響をもらったと思います。

━━JIROさんは当時、自分をベーシストとしてどう見せていこうとしていたんですか?

JIRO 僕はもともと高3までギタリストだったので、どこか目立ちたい精神があったと思うんです。GLAYにはギターがふたりいますけど、そのふたりに負けたくないっていう気持ちがあって、派手にできるところはとことん派手にしようっていうところはありましたよね。それに若さも手伝って無茶苦茶だったっていうことだと思うんです。当時、例えばアー写を撮ったときとそれがリリースされるときでは、もう髪型も色も変わっていたので、最初は事務所にもすごく怒られていました。でも、そこで自分の楽しさのほうを優先してしまったというか、もうまわりの言葉も右の耳から左の耳へ抜けていく感じで(笑)。そうやっていたら、“JIROはそういうやつだよね”みたいな感じで定着したので、これはとことんまで行ってみるのもアリかなっていう感じのキャラ設定だったと思います。

YUKKE
◎Profile
ゆっけ●11月5日生まれ、茨城県出身。高校1年でベースを始め、1997年から活動していたMUCCへ、幼馴染であるミヤ(g)の誘いで1999年に加入する。ヘヴィロックと歌謡曲の匂いをミックスした独特のサウンドでインディーズ・シーンにおいて確固たる地位を築き、2003年にメジャーへ進出。作品ごとにさまざまな音楽性を取り込みながら、国内はもとより海外でも人気を博す。2021年10月にSATOち(d)が脱退して3人体制となり、サポート・ドラマーを迎えた新体制で2022年6月9日にアルバム『新世界』を発表。2022年12月21日に、ミニ・アルバム『新世界 別巻』をリリースする。2023年2月6日(月)には神奈川県 CLUB CITTA’、2月14日(火)には大阪府 GORILLA HALL OSAKAにて、“MUCC 25thAnniversary Special Liveムック試験導入公演その5.暴れて、感じて、声出しOK。「咆哮」”を開催する。
Official HP
『新世界 別巻』
朱/MSHN-173(CD only)

━━JIROさんがMUCCを知ったのはいつ頃?

JIRO いつ頃だろう? すごくアンダーグラウンドな人気のあるバンドっていうことで名前は耳にしていたんです。最初、音楽は全然知らなかったんですけど、ヴィジュアルからしてどんな音楽をやっているのかっていうのは想像がつきますよね(笑)。逹瑯(vo)くんとかも見た目は超怖いし、かなりコアな音楽をやっているんだろうなっていう気はしていて、実際に聴いてみたらまさにそのとおりだった。

━━おふたりが初めて会ったのは?

YUKKE ちゃんとお話をしたのは、VISUAL JAPAN SUMMIT(2016年に開催されたフェス)だと思うんです。

JIRO その前に、横須賀のライヴを観に来てくれたよね?

YUKKE そうです! 一番最初にご挨拶をしたのは、知り合いのスタッフが誘ってくれた横須賀の芸術劇場でのGLAYのライヴで。終演後にご挨拶ができるタイミングがあったんですけど、ちょっと待てと。1対4なわけじゃないですか(笑)。それはヤバいなと思ってめっちゃ緊張して待っていたら、JIROさんひとりでもヤバいのに、GLAYが4人で一緒に来たんですよ。そのときはロクにちゃんと挨拶もできていなかったと思うし、じっくりとお話はできなかったんですけど、認知はしてもらえたのかなって。

JIRO そのときは僕も怖い人だと思っていたので(笑)。“今日はMUCCのYUKKEっていうメンバーが来ている”ってスタッフから言われて、僕たちも、“え、何が起こったんだろう?”と思って。

YUKKE どんなイメージだったんですか(笑)。

JIRO でも実際に会ってみたら、すごく物腰が柔らかくて。やっぱり、しっかり実力をつけてここまで来ているから、ちゃんとした人なんだなって思いました(笑)。

YUKKE そのあと、VISUAL JAPAN SUMMITで出演者みんながステージに上がるセッションがあったんですけど、俺が出た日にJIROさんもいたんです。そのとき、JIROさんとJさんが肩を組んでいたんですね。これ、昔、俺の部屋に貼ってあったポスターのふたりで、JさんとJIROさんのポスターがくっつくということなんです!

JIRO わはは(笑)。

YUKKE これはすごい光景だと。それをずっと観ていたかったんですけど、なぜか、“いったれ精神”みたいなのが俺の背中を押してくれて、寄って行って“JIROさん、肩組んでいいですか?”って言っちゃって。そうしたら、“いいよ!”って言ってくれて、一緒に写真も撮って。

JIRO そう、なんかニヤニヤしながら来るなと思って(笑)。でも、あのときって、僕もそんなに知り合いがいなかったんですよ。だから、そうやって慕ってきてくれるのは助かるというか。それで、その打ち上げのときだよね、連絡先を交換したのは。それからしばらくしてから食事に行ったりして。

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