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SPECIAL TALK SESSION – YUKKE(MUCC) × JIRO(GLAY)

  • Interview:Kengo Nakamura
  • Photo:Yosuke Komatsu(ODD JOB LTD.)

フリーには人間的に影響を受けている。
“自分の10年後がこういう感じなのかな?”って。━━JIRO

JIRO
◎Profile
じろう●10月17日生まれ、北海道出身。1992年に同郷でありすでに東京にて活動していたGLAYに加入。1994年にメジャー・デビューし、1996年には初の武道館公演を、1999年には初のドーム・ツアーを開催し、1999年に幕張メッセ駐車場特設ステージで開催した“GLAY EXPO ’99 SURVIVAL”では20万人を動員した。最新アルバムは2021年10月に発表した16thアルバム『FREEDOM ONLY』。2022年9月21日には60枚目のシングルとして『Only One,Only You』をリリースした。2023年3月からは、7年ぶりとなる“HIGHCOMMUNICATIONS TOUR”を全国32公演という規模で開催する。JIROはthe pillowsの山中さわおらとTHE PREDATORSとしても活動し、2021年11月には約3年半ぶりとなるアルバム『Go back to yesterday!』を通販限定でリリースした。
Official HP
『Only One,Only You』
ポニーキャニオン/PCCN-00051(CD only)

━━YUKKEさんがベーシストとしてJIROさんから影響を受けた点は?

YUKKE 高校生の頃とかに一番コピーした曲もGLAYだったりするので、ベーシストとしての自分の基盤というか基準というか、そこが自分の血としては絶対あると思う。JIROさんのベースって、すごく人柄が出ていると思うんです。人を知れば知るほど余計にそう思う。ものすごく遊び心もあるし、力強くノリも作るし、そのノリの作り方っていうのが、フレーズとか音符の数っていうことももちろんあるんですけど、パフォーマンスでノリを出せるベーシストだと思っていて。それはすごいなって思いますね。

━━YUKKEさんの最初のベースは青いジャズ・ベース・タイプだったそうですね?

YUKKE そう、JIROさんのTopDogに憧れて、試奏も何もせずに、“青いベースをください”と言って買ったのがムーンのベースで。長年弾いてきたから、今、けっこう鳴るようになって、レコーディングで使ったりしていますよ。当時、JIROさんがボディの裏側にレッチリのステッカーを貼っているのを知っていたので、そのステッカー欲しさに俺もレッチリのアルバムを買ってマネしたりしました。でも、今日実物を見たら、貼る位置を間違えてましたね(笑)。

JIRO あのステッカーは当時の自分のなかでの宝物だったんだけど、やっぱり自分のベースに貼るのが一番いいんじゃないかなと思って、初号機を作ってもらった瞬間に貼ったね。僕自身はレッチリに音楽的な影響を受けているかっていうとそうじゃないんだけど、フリーには人間的に影響を受けている。遊び心のある人でいたいなと思って。ちょうどフリーは俺より10歳上で誕生日も1日しか違わないから、“自分の10年後がこういう感じなのかな?”って想像しながらずっと育ってきているんですよ。僕は当時からするとヴィジュアル的にも落ち着いてきたけど、フリーはまだまだイキまくっていて、やっぱりすげぇなって思うよね。

YUKKE レッチリはJIROさんの影響で聴いていたんですけど、高校3年生のときはあんまりわからなくて(笑)。ただ、ベースがすげぇなとは思ったし、いまだにフリーの人間的な魅力はすごいなって思います。でも、いいですよね。そうやって、“自分の10年先の未来”という人が活躍しているのを見ると、すごくあと押しされる気もしますし。

━━現在のプレイ・スタイルで言えば、YUKKEさんは指弾きがメインだったり、5弦だったりと、JIROさんとは違うプレイ・スタイルですよね。まっすぐ追いかけずに自分の道で追いかけているのがおもしろいと思います。

YUKKE それは最初の頃から意識していました。ベースを始めてからMUCCに入る前、コピー・バンドをやっていたときには、JIROさんがやっていたことを真似したりして、やっぱり単純にJIROさんをまっすぐ追いかけていたんです。でも、自分でオリジナルのバンドをやるとなったときに、自分は自分でいこうっていうラインには最初から乗っていた気はします。MUCCの音楽性もGLAYとは全然違っていたし、例えばアンプ選びにしても、もともとはトレース・エリオットに憧れがあったけど、アンペグを最初に買ったのもそういうところで。

JIRO うんうん、なるほどね。

YUKKE JIROさんはJIROさんなんですよ。そこを真似して追いかけたところで、JIROさんが一番なので。自分は違うところで自分のスタイルとかをやっていけたらいいなっていうのは、意外と22、3年前から考えていたことかもしれないですね。

JIRO 所属しているバンドが違うとやっている音楽も違うしね。今のYUKKEだったら4弦ベースじゃなく5弦ベースだったりアンペグっていう選択は正しいと思う。僕の場合は、憧れのベーシストっていうのがいなかったんですよね。ギタリストだったら布袋(寅泰)さんとかがいましたけど、ベースは流れ上やることになったので、独学で覚えていったりギターからのキャリアをもとにしてやっていたんです。だから、ベーシストとして直接的に影響を受けたというと、やっぱり佐久間正英さんですね。佐久間さんの指導を受けて、佐久間さんに“この曲にこんなベースをアプローチしてみたんですけど、どうでしょうかね?”っていうので、“いいと思うよ”とか“もうちょっとこうしてみようか”って指導してもらいながら成長していったところがあるんです。

YUKKE 俺はそういった様子をインタビューで読んで育ってます(笑)。JIROさんが紹介する名盤を聴いてみたりもしたし。

━━JIROさんはMUCCの音楽やYUKKEさんのプレイをどう見ていますか?

JIRO 今回、改めて最近の作品や過去の作品を聴いてみたんですけど、ベース・プレイはすごくシンプルになったよね?

YUKKE  そうですね。昔は必死すぎたり余裕もそんなにない感じというか。

JIRO どういう心境の変化があったのか聞きたいなと思ったんだけど?

YUKKE 昔、指弾きになったばかりの頃って、1曲を通して弾くこと自体が目標になっていて、アタックを出すとかの細かいことなんて考えられずに、とにかくはちゃめちゃに弾いていたんです。

JIRO 自分のできることを全部やるみたいな?

YUKKE そうですね。それが時間が経ってだんだんできることも増えてくると、また違ったものが見えてきたりもするじゃないですか。ただ、今、昔のアルバムの再現ツアーもやっているんですけど、昔の音源を聴くと粗さもあるけど、そこにカッコいいかもって感じるところもあって。昔の荒々しさというか、ちょっと頭が悪い感じだけど頑張っているっていうところを捨てたくない気持ちもあるんですよね。

JIRO 僕も昔のほうがやっぱり無茶苦茶弾いていたから、そのあとに逆アングル・ピッキングを教わって、それができるフレーズとできないフレーズっていうのがあって。昔のフレーズを逆アングル・ピッキングで弾こうと思うとまず無理だったり。

YUKKE ベースの位置の高さを変えてもですか?

JIRO そうだね。低かったからこそ、雑にできたからこそ、うまく弾けたみたいなところもあって、今のしっかりとしたポジションでちゃんと逆アングルで弾こうと思うと、弦に引っかかっちゃって弾けなかったりとかね。

対談の続きは、2023年1月19日発売のベース・マガジン2023年2月号で!