PLAYER
“5秒もらったら勝てるバンド”を目指していきたいと思っています。
━━トゲナシトゲアリの楽曲だと、「理想的パラドクスとは」や「誰にもなれない私だから」 など、歪んだベース・サウンドも印象的ですが、ライヴではどのように音作りをされていますか?
足下はチューナー(TCエレクトロニック製Polytune 3)とプリアンプ(ダークグラスエレクトロニクス製Microtubes B7K Ultra V2 Mirror)のみです。ダークグラスは基本的にかけっぱなしで、ずっとディストーション・スイッチをオンにして歪ませています。むう(Suspended 4th)さんがオススメされていて、まんまと買ってしまったんですけど(笑)、この歪みの音がすごく好みなんです。今後はマルチ・エフェクターが欲しいなと思っていて、(Line 6製)Helixとか、(Neural DSP製)Quad Cortexあたりを試してみたいなと思っています。
━━「極私的極彩色アンサー」でのスラップなど、ベース的にも見せ場が多くありますよね。
この曲が来ると“私の出番だ”って気持ちになりますね。トゲトゲのなかで一番ベースが激しい曲なので緊張はするんですけど、会場全体に一体感が出てすごく盛り上がる曲で、私もこの曲のときはセンターに出ることが多いんです。お客さんのリアクションが一番見える曲でもあるので、テンションも上がります。
━━次回以降のワンマン・ライヴのスケジュールも続々と解禁されていますが、今後どんなプレイを披露していきたいですか?
しっかりと成長を感じてもらえるようになりたいというか、“ライヴの度にうまくなっているな”って思ってもらえるようにプレイしたいです。あと、ステージ上で飽きられないベーシストになりたいです。
━━8月28日には2ndフル・アルバム『棘ナシ』がリリースされますが、どのようなアルバムになりましたか?
個性の強い曲が揃った一枚だと思います。オープニングの「雑踏、僕らの街」は疾走感のあるナンバーで、「誰にもなれない私だから」はトゲトゲのなかでもいちばんしっとりとした楽曲。「空の箱」はダンス・ミュージックっぽいリズムだったり、いろいろなキャラクターが入った、バラエティに富んだ一枚になっていると思います。
━━『棘ナシ』のなかで朱李さんが特に好きな楽曲を伺えますか?
「声なき魚」が好きなんですけど、「空白とカタルシス」や「運命の華」もすごく好きで……。なかでも「運命の華」はちょっとロックンロール系でウワモノがキラキラしていて、バンドとしても一体感のある曲なので、みなさんにもぜひ聴いていただきたいです。
━━『棘ナシ』における“ベース的聴きどころ”を伺えますか?
「心象的フラクタル」は、アニメの6話で登場した、ルパとキーボードの智ちゃん(海老塚智/cv.凪都)のユニット“beni-shouga”の楽曲なんです。だからベースとキーボードが特に目立つ楽曲で、このアルバムのなかでも一番ベースの動きが楽しめる楽曲になっているので、そこに注目して聴いてほしいです。必然的にライヴでも私に注目が集まると思うので、もう今からめちゃくちゃ緊張しています(笑)。
━━今後のバンドとしての目標を教えてください。
日本武道館でライヴをしてみたいと思っています。あと、“5秒もらったら勝てるバンド”を目指していきたいと思っています。
━━“5秒もらったら”とは?
2小節を聴いただけで惹き込まれる、魅了してしまうバンドになりたいという意味です。2小節はだいたい5秒くらいなので、それだけの魅力を備えたバンドに成長していきたいと思います。
━━朱李さんは野球観戦が趣味で、西武ライオンズのファンだそうですが、ベルーナドームにもよく足を運ばれるんですか?
けっこう行きます! 千葉県出身なのにライオンズ・ファンっていう奇妙な感じなんですけど(笑)。
━━特に応援している選手はいますか?
中村剛也選手です。やっぱり安定感・安心感がありますよね。それに絶対FAで出て行かないですし。『週刊ベースボール』みたいな回答になっちゃいました(笑)。
━━今年の西武ライオンズは今日現在(取材は6月13日に実施)苦戦を強いられているようですが、どのように戦況を捉えていますか?
『日刊スポーツ』みたいな回答になっちゃいますけど、仰るとおり今は厳しい状況なんです。でもシーズンはまだ半分ありますから。西武ライオンズはいつも夏から勢いが上がっていくので、これからが見どころじゃないかなと思っております!
ベース・マガジン2024年8月号(Summer)でも朱李(トゲナシトゲアリ)のインタビューを掲載中。オーディションの裏側のほか、ベーシストとしてのルーツ、使用機材など、BM Webとは別内容にてお送りしています!
同号の表紙巻頭企画は『亀田誠治・亀の60年』。
今年還暦を迎える亀田誠治を、ロング・インタビュー、愛聴盤や愛器の紹介、King Gnuの新井和輝との対談など、50ページ超の大ボリュームで深堀りします。亀田誠治の珠玉のベース・プレイが6曲収録されたベース・スコア小冊子も付属!
そのほか、奏法企画や注目のベーシストのインタビューなど、さまざまな記事を掲載しています。ぜひチェックしてみてください!
◎Profile
しゅり●2003年12月22日生まれ、千葉県出身。小学生の頃にユーフォニアムを始め、中学一年生でベースへ転向。2021年から実施されたオーディション“Girl’s Rock Audition”へ参加、ベーシスト部門で合格を果たす。2023年にガールズ・ロック・バンド“トゲナシトゲアリ”を結成、ミュージシャン/声優として歩み始める。トゲナシトゲアリは、アニメ『ガールズバンドクライ』の劇中にも登場する5人組バンドで、メンバーが声優も担っていることで注目を集めている。8月28日に2ndアルバム『棘ナシ』をリリースする。
◎Information
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