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INTERVIEW – Jun Yokoe[PLASTICZOOMS]

  • Interview:Koji Kano
  • Photo:Yuki Sugiura

アルバム作ったはいいけど、どうやってそれをライヴで表現するかは悩みどころですね(笑)。

Jun Yokoeのエフェクト・ボード。上段右から、Free The Tone/JB-21(ジャンクション・ボックス)、MXR/M237 DC Brick(パワー・サプライ)、Custom Audio Japan/ACDC Station ver.2(パワー・サプライ)、FURMAN/SS-6B(電源タップ)。中段右から、Miura guitars/M2(コンプレッサー)、ダークグラスエレクトロニクス/Vintage ULTRA(プリアンプ)、Tech 21/VT Bass(プリアンプ)、Shin’s Music/ACID BASS DRIVE(ディストーション)、Stomprox/BLACK LABEL FOR BASS(オーバードライブ)、ズーム/MS-60B(マルチ・エフェクター)、エレクトロ・ハーモニックス/Attack Decay(エンヴェロープ・フィルター)、ボス/BF-2(フランジャー)、ボス/DD-3(ディレイ)。下段は右から、デジテック/bass whammy(ワーミー・ペダル)、Free The Tone/ARC-3(スイッチャー)、コルグ/DT-10(チューナー)。

━━なるほど。ではシンベと生ベースだとプレイやフレーズの考え方も変わってくるのでは?

 そうですね。やっぱり生ベースは運指の問題も出てきますけど、シンベの場合は生ベースではできない無茶な弦跳びとか音のハネを表現できますからね。音色の違いも当然ですし。そういった意味で使い分けは必須になってくると思います。

━━シンベの音を生ベースで出すには音作りにも工夫がいるのでは?

 シンベの成分ってオクターヴだったり、何種類もの波形で構成されてるんですけど、それを全部網羅できるエフェクターは存在しないので、エフェクターを足し算する考え方で音を作ってるんです。例えばオクターバーを使うとアタックが思ったように出てこないことがあるので代わりにワーミー・ペダルを使ってみたりとか、そういう工夫は必要になりますね。

━━なるほど。ではエフェクター・ボードでの音作りを教えてください。

 メインの音作りはダークグラスエレクトロニクスのVintage Ultra、まれにTech 21のVT Bassを使います。Vintage Ultraは常にディストーション・チャンネルをかけっぱなしにしています。この上に曲によってはSTOMPROXやShin’s MusicのACID BASS DRIVEをかけることもありますね。飛び道具だと一瞬しか使わないようなモジュレーション系が多くて、コーラス、フランジャー、ディレイ、加えてそのほかの音をズームのマルチ・ストンプで補っています。なかでもエレハモのAttack Decayは僕にとってオンリーワンの一機です。

━━アンプは何を使ってるんですか?

 マークベースのアンプ・ヘッドを使ってるんですけど、あのふくよかで特徴的なローの安心感は絶大です。やっぱりアルバム作ったはいいけど、どうやってそれをライヴで表現するかは悩みどころですね(笑)。

━━ライヴでは同期がガンガン鳴っているなかでベースを抜けさせるには工夫も必要なのでは?

 同期もそうだし、ヴォーカルの声質とかほかの楽器のサウンドにも気をつかいます。Sho君の声はミッド〜ローの帯域なのでベースの気持ちいところがカブりやすいし、ギターも爆音で出すとベースの出せる周波数が限られてしまうので、歪みを使ったりすることで聴こえなくても抜けさせるポイントの余地を増やすというか。あとは音に存在感を出すためにPBタイプのベースを選ぶようにもしているんです。

━━なるほど。では今作で使用したベースは?

 Xoticの5弦のPBタイプです。軽いし、海外に持っていくことを想定した際、電池なしでもヴォリュームがしっかり出てくれるところは嬉しいポイントです。あと「Push n Drive」と「A Dot」はCrews Maniac Sound製のJBタイプを使ってます。パワー感ではなくて汎用性の利くいい音が欲しい際はJBタイプを使うようにしているんです。

━━最後に今後の目標を教えてください。

 まず第一に今作が世の中の人にどう伝わるのか、どう楽しんでもらえるのかワクワクします。僕らはニュー・ウェイヴとかポスト・パンクがルーツにあるけど、ジャンルに縛られるんじゃなくて、もっと広く何でもありなバンドになりたいんです。やっぱり幅広いリスナーに理解してもらえるアーティストじゃないと説得力がないですからね。あとはずっと高い完成度の楽曲を発表していきたいし、表現がカラフルで幅広いものにできたら何よりです。ベーシストとしては、いちプレイヤーとしてもっと多くの場所で表現できる機会をいただけるなら光栄ですね。最近はRAYというアイドルのサポートの現場もあるんですけど、素晴らしいプレイヤーがたくさんいるなかで、自分の何を評価してもらえるかは頑張りどころですね。でもいいプレッシャーです! 

メイン器であるXotic製の5弦PBタイプ“XP-1T”。アクティヴ/パッシヴの切り替えが可能なほか、3バンドEQ、ミッドの周波数スイッチを装備している。
シンセ・ベースのメイン器であるMoog製Subsequent 37。コントロール・パネルに40個のノブと74個のスイッチを有したパラフォニック・アナログ・シンセサイザーだ。
メイン・アンプはMarkbass製Little Mark Tube 800。チューブ・プリを内蔵した800Wのハイパワー・アンプ・ヘッドだ。

◎Profile
じゅん・よこえ●10月26日生まれ、神奈川県横須賀市出身。15歳でベースを始める。2009年にSho Asakawa(vo)を中心に結成されたロック・バンド、PLASTICZOOMSに2010年に加入。バンドは2009年にシングル「Under///Black」でデビュー。以降、精力的なリリースとともに、全世界を視野に入れた音楽とファッションを同列に捉えるプロジェクト/バンドとしてまったく新しい立ち位置を確立させた。2015年からは1年間ドイツ・ベルリンに活動拠点を移し、ヨーロッパ5ヵ国でのツアーも成功させた。“音楽(空気)とファッション(物)をより近い場所に”をテーマに掲げ、日本人離れしたサウンドを鳴らし続けている。2021年3月31日に5thアルバム『Wave Elevation』をリリースした。

◎Information
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