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INTERVIEW − 白玉雅己

  • Interview:Kengo Nakamura

ベースならではの癒しと楽器としてのおもしろさが共存するインスト作品が完成

ポルノグラフィティのオリジナル・ベーシストであったTamaこと白玉雅己が、ベース・インストゥルメンタル・アルバム『HEALING & FUN BASS』を配信リリースした。自らが“ベースそのものの心地よさや楽しさを伝えたかった”と語るように、音数を抑えたシンプルなアレンジのなかでベースが表情豊かなメロディを奏でており、さりげないテクニックの忍ばせ方にも白玉のベース愛が存分に感じられる。自身の活動としては久しぶりに表舞台へと登場した白玉にその思いを聞いた。

今思えば一度見つめ直す時間が必要だったのかなと思います。

━━先日(3月10日)のアルバム・リリース記念の無観客配信ライヴはいかがでしたか?

 当日はバックトラックを流して、ひとりで演奏するという形だったんです。普段YouTubeの動画を撮ったりもしているので、撮影しながらのライヴっていうのは、まぁ大丈夫かなというところだったんですけど、カメラを観ながらMCをやるっていうのは、ライヴ中も全然慣れないし、やりにくかったりはしましたね(笑)。でもライヴ自体は楽しくできましたし、トラブルもなくできたので良かったと思います。

━━白玉さんは2010年以降、2019年にTwitterを開設するまではあまり表立った活動がなかったようですが、どのような期間だったんですか?

 ソロ活動はベスト・アルバム『SUPER SESSIONS-Best of 2005~2009-』を出して一段落して、そこからはプロデュースのお話をいただいたりしていました。でも自分的に、ちょっとスキル面で追いついていないなと思ったので一旦仕切り直しにして……という風に何年か過ごしていましたね。そこまでのバンドからソロまでの活動っていうのは、ずっと勢いでやってきた感じがあったので、今思えば一度見つめ直す時間が必要だったのかなと思います。

『HEALING & FUN BASS』
配信


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━━2019年にTwitterを開設して、本名での活動を開始しましたが、何かきっかけがあったんですか?

 これは当時、ほかのアーティストさんとお仕事をさせていただいたんですけど、その宣伝も兼ねてTwitterをやることになったんです。だからそのときには自分の活動をすることが目的ではなく、あくまでも人の活動のために始めた感じでした。

━━同年9月にはオフィシャルYouTubeチャンネルを開設して演奏動画などを公開してますが、YouTubeをやろうと思ったきっかけは?

 自分の活動というものを模索していたときに今回のアルバムのプロデューサーに相談したら、“YouTubeとかもいいんじゃない?”と勧めていただいたんです。自分はベーシスト兼コンポーザーなので、ベースと作曲に焦点を当てた活動ができたらいいなと思って、演奏動画を撮り始めたんです。

━━ベースを中心に音源を構築するのは、いわゆる普通の歌モノとはまたちょっと違う思考が必要になるのかなと思うのですが、アレンジや作曲はスムーズに進められましたか?

 最初はそこまで詰めた感じではなく、ざっくりと“ベースで何か曲を作る”ということを考えていました。それで2005年に出したインストのソロ・アルバム『Great Pleasure』の収録曲をベースに置き換えてやってみようと思って、YouTubeでは「Drift」などを演奏動画にしたんです。やってみたら“あ、これいけるな”という感触だったので、その頃から自分の今までの作曲を大きく曲げない形でベースのインストを作ってみようと思い始めたんですよね。

「Drift」の演奏動画

━━では、最初からアルバムを視野に入れてYouTubeを始めたのではなく、やっていくうちに手応えを感じて進んでいったと。

 まさにそんな感じです。最初の頃に“これはきっと自分らしさが出るな”と思ったので進めていきました。

━━曲を作っていくなかでアルバムとしてまとめようと思い始めたんですか?

 いやぁ、正直なところ、僕は何曲か配信リリースをしようかなぁとは思っていたんですけど、アルバムまでは考えていなかったんですよ(笑)。でもプロデューサーから“せっかくこれだけ作ってるんだから、作品として出そうよ”とお話をいただいて。やってみたら自分でも納得できるアルバムになったので、“じゃあ出しましょう”という流れになりました。

『HEALING & FUN BASS』全曲ティザー
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