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INTERVIEW − 又吉“SEGUN”優也 [SPECIAL OTHERS]

  • Interview:Tomoya Zama

素直な音をちゃんとそのまま出すってことをしたい。

━━「Session 317」はどのような制作過程だったのでしょうか?

 僕はこの曲の制作には参加していなくて、鍵盤とギターとドラムで何曲か録ったんです。これには理由があって、これもグリン・ジョンズ方式の延長線上なんですけど、マイクを立てる場所とかの関係で僕は先に機材を片づけちゃったんですよね(笑)。でも、僕がいなくてもちゃんとカッコいい曲はできて、どちらかというとトリオの感じっていうのをみんなに聴いてほしいっていうのがあったんですよ。そういうのがあって、改めて僕がパッと曲とかに入っていくってことで、曲の差別化が図れるんです。そういうのでもいいのかなって思いますね。

━━そうなんですね。この曲はライヴ感を強く感じました。

 うん、ちゃんと“ライヴ”ですよね。ただ、これももともとアルバムに入れる予定はなくて、当初は全9曲の予定だったんです。マイキングの試しでカッコいいドラムが録れて、じゃあ「Yagi & Ryota 2」も含めて2曲足しちゃえってなって“せぇの”で録ったって感じ。ボーナス・トラックみたいなことだったりするんですよ。昔のCDとかでも、最後に曲が終わって何分後かに曲が始まってみたいなのもあったじゃないですか。そういうニュアンスでもいいのかなって思ったんです。だからすごく長く入っているし。で、たぶんなかなかそういう曲を入れる人たちもあんまり今はいないんじゃないかなって思ったりもするんで、こういうのやっちゃってもいいよねっていう。

━━ある意味、遊び心的な?

 そうですね。どうせ作るならやりたいことやって、ちゃんと作品にするっていうふうにしたほうがいいですよね。

6月11日に行なわれた“SPECIAL OTHERS & Billboard Live 15周年記念Tour 2022”の2nd Stageのアンコール「THE IDOL」演奏の模様。

━━ライヴといえば、SPECIAL OTHERSは曲の演奏前にインプロを挟むことがありますよね。

 あれは事前に決めているときと決めていないときがあって、ほとんどは決めてないです。僕がエレキとアップライトを持ち替えるときに時間がかかるじゃないですか。そういうときにやっていたりしますね。ライヴ会場によっては時間制限もあるんで、それによってざっくりは決めていますけど、雰囲気によりますね。

━━そもそもエレキとアップライトの起用はどのような決め方をしているんでしょうか?

 楽曲を作るときに決まるんですけど、フレーズだったり曲が持っている雰囲気というか、“この曲はアップライト、この曲はエレキ・ベース”っていうが僕のなかでなんとなく決まるんですよね。それでやってみるとメンバーも特に何も言わない。

━━又吉さんの感覚とメンバーの意見が一致していると。

 そうですね。もちろん両方試したりして、感覚に合うほうを選んでいます。

━━又吉さんのメイン・ベースはファンド・フレットを採用したストランドバーグのBoden Bass Prog 4ですよね。いつから使い始めたのですか?

 前作『WAVE』の途中、2年前くらいですね。まず見た目が僕の好みで、あとほんと、超絶に軽いんですよ。同じヘッドレスでも重たいものあるんですけど、軽いうえに運指もしやすいんですよ。ただ、慣れるまでには時間がかかりました。ハイ・ポジションのところがいつもどおりやっているとちょっとズレるみたいな(笑)。ライヴも本数が増えてくると、ちょっとずつですけど体に負担がかかってくる。エレキだけだったらクセがつくと思うんですけど、僕の場合エレキとアップライトの両方を弾くので、力のかけ方がライヴ中に変わるんです。なので、ちょっとでも負担が少ないほうがいいなって。もちろん試奏して決めたので音も好きですけどね。

━━なるほど。では音作りの点でなにか意識していることはありますか?

 僕が今のところ一番大事にしているのは、“オーディオから出てくる音”。素直な音をちゃんとそのまま出すってことをしたいんですよ。これがけっこう難しくて、いまだに探っているんです。僕らのバンドの機材っていうのは、ドラムも鍵盤もギターも特注だったり、ヴィンテージだったりして、それぞれかなりクセがあるんですよ。なぜ僕がヴィンテージのベースを弾かないのかというと、ちょっと曲が古臭くなる可能性があるから。だから僕は新しい機材で普通にキレイなベースの音を出すことで、アンサンブルとしてバランスを取っているんです。

━━さて、今後リリース・ツアーも始まりますが、どのようなツアーにしたいと考えていますか?

 コロナ禍で僕らも大変でしたけど、みんなもライヴに行けなかったというのは大変だったのかなと思いますね。趣味が1個できなくなったようなものなので。もうちょっと良くなればライヴハウスもフルでお客さんを入れてお酒も販売できるみたいなので、もう少しの間頑張ってほしいんですけど。僕らは本当にライヴができるということだけでも助かっていて、来てくれるお客さんにはありがとうを伝えたいですね。感謝の気持ちを込めたツアーにしたいです。

メイン器である、ストランドバーグ製Boden Bass Prog 4。ファンド・フレット、ヘッドレス、中心がロー・ポジションからハイ・ポジションにかけて斜めにずれる“エンデュアネック”など、人間工学に基づいたユニークなデザインが特徴だ。ピックアップはノードストランド製Big Rig Humbucker、プリアンプはダークグラスエレクトロニクスのTone Capsuleを搭載。重量は2.73kgという驚愕の軽量さを実現している。

【お知らせ】
7月19日発売予定のベース・マガジン2022年8月号にも又吉のインタビューを掲載! Bass Magazine Webとは違った内容でお届けします!

◎Profile
またよし・ゆうや●1979年4月生まれ、横浜市出身。高校の同級生である芹澤”REMI”優真らとともに1995年にSPECIAL OTHERSを結成。クラブやレストラン・バーなどで精力的にライヴ活動を続け、2006年にミニ・アルバム『IDOL』でメジャー・デビューを果たす。これまで8枚のフル・アルバムと2枚のコラボ・アルバム、またSPECIAL OTHERS ACOUSTICとして2枚のアルバムを発表。2021年6月にデビュー15周年を迎え、2022年8月の日比谷野外音楽堂を皮切りに、全13都市をめぐる『Anniversary』リリース・ツアーを予定している。

◎Information
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