プランのご案内
  • PLAYER

    UP

    INTERVIEW – 松本駿介[Cö shu Nie]

    • Interview:Kengo Nakamura

    さらにジャンルが広がって、
    好みの曲が必ず見つかると思う

    ━━ちなみに、楽曲のリズムの取り方は、ベーシストによって16分で細かく取ったり、4分などで大きく捉えたりといろいろあると思うのですが、松本さんはどのように捉えていますか? あれだけ瞬時に音を詰め込むとなると、普段からけっこう細かく感じているのかなと思うんですが。

     全体的にはざっくり捉えるのを基本にはしているんですけど、フレーズを弾いてるとどうしても最低16分くらいには分割するし、その前後を考えると32分くらいまでは分けて考えがちですね。かといって、すべてを32分に落し込みたいというわけではないんですけど。それで、その細かく分割したものを凝縮して遠目で見ると、ひとつのものになっているなくらいの感覚ですね。楽譜に細かく書いて分析するタイプではないんですけど。

    ━━意識としてはそれだけミクロのところまで見られるようにしているんですね。

     そうですね。自分のなかではめちゃくちゃ細かく取っています。でもすごい人って、細かいものを把握したうえでちゃんと4分や8分で取っています、っていうリズムの取り方をしていると思っていて。それを目指しているところはあります。

    ━━「undress me」の1Aはリズムを細かく取っていないと入れないところからフレーズが始まったり終わったりしますよね。

     ベーシストとしてはオイシイフレーズではありますよね(笑)。ああいうウラから入る感じとかは弾いていて、自分でも“らしいな!”って思いました。

    ━━2Aは細かいタッチ・ミュートが生むリズムや、弦を低音弦からかき上げるラスゲアードの逆っぽいニュアンスが入っているのが技アリな部分ですね。

     そこは1Aとの変化を持たせたかったというところですね。でも、ガラッと変えるというよりは、同じ雰囲気にはしたくて。かつ1サビからの流れでちょっと暗めにしたかったんです。ラスゲアードみたいなところは自分のクセというか、好きなやつです。ちょっとぐちゃっとするけどまとめる感じ。クセがうまくハマったかもしれないですね。

    ━━「undress me」は楽曲全体的にはジャズっぽい雰囲気がありますが、Aメロ、Bメロはベースがまったくジャズじゃなくて、そこにCö shu Nieらしさがありますね。そこからサビはわりとラテン・ジャズっぽい感じになって。

     ラテン系はもともと好きなので、それが出ちゃったのはあると思います。あとこの曲は、モワモワな感じを出したくてプレベを使ったんですよ。初めての4弦プレベで、ブラック・ナイロン弦を張りました。

    ━━それでちょっと音色が古めかしいんですね。ベース・ソロではオート・ワウを使っていますね。

     それもモワモワした感じにしたかったからですね。最初のイメージではサビにもちょっとワウをかけたいなって思ったんですけど、やりすぎて“おもしろ味”になっちゃうのでやめました(笑)。レコーディングではプラグインをかけたんですけど、ライヴでは、XoticのRobotalkを使っています。

    undress me(Official Video)

    ━━今作での使用機材は?

     いつもどおりでしたね。ベースはサドウスキー TOKYOのMetroline5弦がメインで、「undress me」だけ1966年製のプレベを借りました。アンプはアンペグのSVTの銀パネとキャビもSVT-810で、曲によってインプットのブライトとノーマルを挿し替えて、ロックな曲はブライト、バラードとかはノーマルにしています。足下はOCDとダークグラスのB7K Ultra、あとapiのTranZformer LXを借りました。アンペグのキャビの音、素のラインの音、エフェクトが入ったラインの音の3つをうまく混ぜて使ってもらっています。

    ━━「迷路 〜序章〜」はイントロからベースの和音奏法で、その後もハイポジでのコード・トーンでのプレイです。これはどういうイメージで作られたんですか?

     この曲自体はインディーズも含めてCö shu Nieの活動の最初のシングル曲だったんです。ベースでコードを弾くのって、カッコいいじゃないですか(笑)。この曲は“眠れない夜の歌”なんですけど、時計のカチカチという音とか部屋鳴りするようななんとも言えない空気感を出すために、和音をチョイスしたんです。展開としてはどんどんエモーショナルになっていくので、ベースもそれに乗りたいなぁと思ったのと、初期の頃は特にヴォーカルとの戦いみたいな感じでフレーズを弾きがちだったので、ハイ・ポジションで弾いていますね。

    ━━なるほど。次曲の「迷路 〜本編〜」は“序章”とは打って変わってローBの低いところから入っていて、前曲との対比になっていますね。

     あそこは低いところでのギターのディレイ・フレーズがすごく印象的なので、ベースはさらに低いローBの“ズー”っていうのを鳴らしたくて。厚みを出すためのフレーズですね。

    ━━この曲のサビは、1サビは前半のメロディと一緒にハイ・ポジションへ上がっていくような浮遊感のある感じから低いポジションへ。2サビは低いポジションで支えるのが最初で徐々に上がっていき、最終的にはかなりハイ・ポジションまで使ったフレージングにという逆の構成になっているのがおもしろいですね。

     ラスサビは“ズーン!”と聴かせたかったので、とにかくルートのアタックをしっかりと出そうと、気持ちがエグれるように、みんなの心に届くように弾きました。1サビのほうはちょっと明るくなった印象だったので、それに合わせて上昇して、教会みたいな感じの雰囲気を出そうと思ったんです。

    ━━「病は花から」イントロのパーカッシブでトライバルなリフはサムピングですか?

     そうですね、スラップですね。この曲はもともと中村と、サビはスラップでやろうという話になったんですけど、僕は研ぎ澄まされた音を狙うならピックのほうがいいかなと思ったんですね。でも、スラップっていうのを中村が譲ってくれなくて(笑)。結果スラップでやったら、微妙に温かい音というか、先が尖りすぎていない音になったので良かったなって思いました。

    ━━サビはまさに“早送りプレイ”ですね。

     あれ、難しいんですよ。けど、めっちゃ良いフレーズが弾けたなって思います。今作のなかでも自分でお気に入りですね。指とスラップのコンビネーションです。

    ━━指弾きとスラップの切り替えも“早送り”ですよね。松本さんは、すごく柔軟に奏法を切り替えて弾くイメージがあります。

     だからすごい忙しいですよ(笑)。特定の奏法にはあんまりこだわってなくて、“この音に合うのはどの奏法なんだろう?”って考えて奏法を決めているので。ピックを投げ捨てながらピック弾きと指弾きを交互にやったりするから、気づいたら足下にピックが散らばってますもん。

    ━━最後に、今作を現時点で総括するとどのような作品になったと思いますか?

     今作は“リズム・ベース”をかなり意識した曲たちなので、前作とはまた違った新たな一面を出せたかなと思います。『PURE』よりもさらにジャンルが広がって、好みの曲が必ず見つかると思うので、ぜひ聴いてほしいですね。ベース・マガジンの読者の方には……どれがコピーできるかって言われたら……アレですけど(笑)。でも絶対好きなアタリの曲があると思うので、ベースにも注目して聴いてほしいなと思います。

    ◎Profile
    まつもと・しゅんすけ●2月23日生まれ、兵庫県出身。中学でベースを始める。2011年にCö shu Nieを結成。コンテスト/オーディション・イベントにも積極的に参加し、2015年にはサマーソニック2015にも出演する。2018年1月にTVアニメ『東京喰種トーキョーグール:re』の主題歌となった「asphyxia」でメジャー・デビュー。2022年3月に2ndアルバム『Flos Ex Machina』をリリースし、4月からは全国ツアーを展開する。

    ●Cö shu Nie TOUR 2022 “Flos Ex Machina”
    -Tour Schedule-
    4月1日(金)大阪・Zepp Osaka Bayside
    4月3日(日)愛知・Zepp Nagoya
    4月9日(土)岡山・CRAZYMAMA KINGDOM
    4月10日(日) 香川・高松 festhalle
    4月17日(日) 兵庫・神戶 Harbor Studio
    4月22日(金) 宮城・仙台 Rensa
    4月30日(土)北海道・札幌 PENNY LANE 24
    5月14日(土)熊本・B.9 V1
    5月15日(日)福岡・DRUM LOGOS
    5月21日(土) 石川・金沢 EIGHT HALL
    6月2日(木)東京・Zepp DiverCity Tokyo

    ◎Information
    Cö shu Nie
    Official HP YouTube Twitter Instagram Facebook

    松本駿介
    Twitter Instagram