PLAYER
改良を重ねて原型は留めてないけど
最も愛着のある相棒のような存在
——使用しているベースについて聞かせてください。
基本的には学生時代から使っている日本製フェンダーの’80年代製作のEシリアルのプレベをメインで使っています。リフィニッシュやリワイヤリングを重ねてほぼ原型は留めてないですが、最も愛着のある相棒ですね。「Bug」ではミュージックマンのスティングレイに死んだ弦を張って録りました。高田馬場にあるアストロノーツ・ギターズで改造してもらって、アクティヴ/パッシヴを切り替え可能にして、パッシヴでもヴォリューム、トーンが効くようにしているので、アクティヴ時のノブと合わせて6個のツマミと1個のミニ・スイッチが付いていて、なかなか馬鹿な見た目で気に入ってます(笑)。
——それはなかなかクレイジーですね(笑)。
あとは、「Network」では米米CLUBのBONさんからお借りしているJBタイプを使用させていただきました。このベースはBONさん所有の1964製フェンダーから採寸していて、製作者は当時、米米CLUBのギターテックを担当していた志村昭三さんだそうです。米米CLUBが1991年のツアーで「GOLD GUITAR」という曲を演奏する際に、全メンバーが金色の楽器を用意したらしくて、派手なゴールド・フィニッシュになっています。音もすごい良くて、おかげさまでかなり満足できたレコーディングになりましたね。そのほかだと、適当に買ったジャンク品やエントリー・モデルを自分で修理したり改造したものが5本くらいあって。今も自粛期間中で暇なのでリフィニッシュしているところです。
——最後に、今後の目標について聞かせてください。
言わずもがなKroiとして大きくなることですが、いちベーシストとしても個性やキャラクターのあるスタイルを突き詰めていきたいと思ってます。“Kroiのベースといったらこの音だよね”っていうシンボリックなものを作り上げたいですね。とは言いつつ、自分の型にハマり切らずにその瞬間に出せる自分らしさも忘れたくない。今後もKroiのグルーヴを作り出していきます。
MY ROOTS ALBUM
『Off the Wall』
Michael Jackson
純粋に収録曲のすべてが斬新でカッコいい。参加しているアーティストやプロデューサーがかなり豪華で、初めて聴いたときは、クインシー・ジョーンズとマイケルのタッグもさることながら「Get On The Floor」に作曲の段階からベーシストとして参加していたルイス・ジョンソンにかなりの衝撃を受けました。圧倒的なパッションとアタックの強さ、チョッパーの爆発力、シンプルかつ的確なフレージングなど、どれをとっても刺激的。
『Rage Against The Machine』
Rage Against The Machine
学生時代にメタルにハマったものの飽きがきてしまって、そんななかネットで見つけて衝撃を受けました。CDとDVDを買い集めて、学園祭でコピー・バンドもやりましたね。4人とは思えないほど圧倒するようなライヴでの迫力も魅力的。そのなかでもティム・コマフォードの佇まいがカッコよくて、演奏スタイルやパフォーマンスはもちろん、ファッションにもかなり影響を受けてます。どの作品も好きなんですけど、このアルバムに入っている「Take The Power Back」を聴いてハマったのでこの1枚を選びました。
『High Times-Singles 1992-2006』
Jamiroquai
大学生の頃、バイト先の上司にこのアルバムを借りて初めてジャミロクワイに触れました。ベースを始めて間もなかった自分にはすべてが複雑でしたけど、ファンクやディスコにどっぷりハマったのもこの時期からだったので、わからないなりにハネたリズムやグルーヴを感じてひたすら聴きまくってましたね。オクターヴを取り入れたフレーズや細かい音符使いはすごく参考にしています。自分もベーシストが弾いてみて楽しいと感じるフレーズが作りたいと思わされます。
◎Profile
せき・まさのり●1994年生まれ、茨城県出身。大学入学をきっかけに上京しベースを手にする。その後、サポート・ベーシストとしての活動を開始。その後、SNSを通じて出会ったメンバーとKroiを結成し、SUMMER SONIC 2019に出演するなど、バンド・シーンで頭角を表わし始めている。
◎Information
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