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BADASS ROOKIE〜BMイチ押しのNEWCOMER〜 – 関将典[Kroi]

  • Interview:Zine Hagihara

心がけたのは音符の長さや
その使い分けによる緩急ですかね。

——5月27日に新作EP『hub』がドロップされます。「Mr. Foundation」はファンクの基本となる“オン・ザ・ワン”を意識したリフを弾いていますね。

 そのとおりで、”オン・ザ・ワン”の発音にはかなり気持ちを入れて弾いてますね。ドラムと一緒にビートを作りあげる意識です。

——ウワモノの音数も多いですが、ベースは他パートに対して的確なバランス感覚で支えています。

 ラフミックスを聴いた時点で“忙しい曲だな”って思ったくらいには展開がめまぐるしいうえに、音数がめちゃくちゃ多いですよね(笑)。それを踏まえて、自分なりの着色をしつつ音数の多さを散らかっていると感じさせない、“音と音をつなぐためのロー”を意識しています。前に出るところはバカのふりして、潜って支えるところはしっかり潜るって感じです。

——「Bug」ではくぐもったサウンドでアンサンブルを支えています。アグレッシブなファンクである「Mr. Foundation」と比べると、こういったスムーズな曲では“うしろに引っ張る意識”があるのでは?

 自分がうしろノリで発音することで、低音に粘度をつけるようなイメージでダークな印象にしたり、チルな雰囲気にしたり、倦怠感のようなものも表現できますよね。「Bug」はうしろに引っ張ることもそうですけど、ドラムとの絡み方や曲の構成によって移り変わるテンションがおもしろいと思うので、セクションごとにスムーズさや発音の重さ、速さには変化をつけて弾いてます。

『hub』
5月27日より各種ストリーミング・サービスにて配信、
また、フィジカルがOfficial HPにてネット販売される。

——「Network」のベースは音価の短い/長いを巧みに使い分けていて、それによって全体のグルーヴを推進させている印象です。

 この曲は前から何度もライヴでやってきているのですが、ライヴでは高揚感のある印象になっていると思います。それをレコーディングする際に今回のスムーズなアレンジをすることになって、演奏がより静かなぶん、おもしろいフレーズを模索しつつ、楽曲全体のグルーヴ作りに注目してアレンジしました。心がけたのは音符の長さや、その使い分けによる緩急ですかね。なめらかに進むなかでベースがひとりで遊んでいる部分などが個人的に気に入ってます。

——バラード曲の「Shincha」は、2番Aメロでの歌とのユニゾン、キーボード・ソロを支えるオブリなど、曲の世界観を広げるようなアグレッシブなアプローチが目立ちます。

 この曲は自分がデモのリリックを広げて書きあげたことや、結成初期からずっとライヴ本篇の最後やアンコールなど、大事な局面で披露することが多かったこともあって思い入れがあるんです。新茶の甘みと渋みが混在しながらも爽やかな風味を、若い男女の恋愛模様に照らし合わせてリリックにしていて。付かず離れずのもどかしい距離感や感情が出るところがあれば、逆にグッとこらえるところもある。そういう“波”を表現したアプローチなんです。

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