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    【ニッポンの低音名人extra】 – 岡沢茂

    • Text:Koichi Sakaue
    • Photo:Eiji Kikuchi

    ROOTS of 岡沢茂

    岡沢茂が影響を受けた作品を紹介。

    「ジョニー・エンジェル」
    シェリー・フェブレイ
    (1963年)


    テレビドラマ『うちのママは世界一』の長女役で知られる女優シェリー・フェブレイによる、歌手進出のきっかけとなったヒット曲。
    『ヘルプ!』
    ザ・ビートルズ
    (1965年)


    兄・章がよく聴いていたアルバムで、同名のシングルを兄のヴォーカルに合わせてコーラスをしていた。「イエスタディ」が収録されているアルバムとしても知られている。
    『ヘルプ!4人はアイドル』
    ザ・ビートルズ
    (1965年)


    アルバム『ヘルプ!』に合わせて制作された冒険コメディ映画。小学生だった茂は、高校生の章に連れられて観に行った。
    「愛なき世界」
    ピーター&ゴードン
    (1964年)


    当時ピーターの妹と付き合っていたポール・マッカートニーが書いた作品で、イギリスのチャートでは皮肉なことに、ビートルズの「キャント・バイ・ミー・ラヴ」を蹴落とし、2週連続で1位を獲得。
    「遥かなる影」
    カーペンターズ
    (1970年)


    同名のアルバムからシングル・カットされた曲で、ビルボードでは4週連続1位を獲得している。岡沢兄弟も挑戦した美しいハーモニーで話題をさらった。
    「遠い世界に」
    五つの赤い風船
    (1968年)


    デビュー・シングルのB面に収録され、翌年にA B面を入れ替えて再発された楽曲。NHK『みんなのうた』でも取り上げられ、合唱曲としても知られるようになった。
    『はっぴいえんど』
    はっぴいえんど
    (1970年)


    その後の日本の音楽業界に大きな影響を与えた伝説のグループのデビュー・アルバム。日本語詞にもかかわらずウェストコーストを彷彿させるサウンドは、他の国内アーティストと一線を画していた。
    『風街ろまん』
    はっぴいえんど
    (1971年)

    2枚目にしてグループ最後のアルバムとなった完成度の高いアルバム。群を抜いて洗練された楽曲と乾いたサウンド作りで音楽業界内でも話題を呼んだ。
    『ライヴ!』
    ダニー・ハサウェイ
    (1972年)


    誰もが名盤と太鼓判を押すダニー・ハサウェイ初のライヴ・アルバム。ハリウッドとニューヨークの2ヵ所での演奏を抜粋して制作された。ウィリー・ウィークス(b)による「エヴリシング・イズ・エヴリシング」でのベース・ソロはベーシスト必聴。
    『ホワッツ・ゴーイン・オン』
    マーヴィン・ゲイ
    (1971年)


    R&Bアルバム・チャートでは9週連続1位を獲得したマーヴィン・ゲイの出世作。タイトルと同名のシングルは反戦歌だったため問題作との声も上がった。天才ベーシスト、ジェームス・ジェマーソンの名演のひとつとされている。
    『クルセイダーズ1』
    ザ・クルセイダーズ
    (1971年)


    ジャズ・クルセイダーズからグループ名を変えてリリースされた、グループの2ndアルバム。サックスのウィルトン・フェルダーは、ベーシストとしても素晴らしいプレイヤーと評価されている。
    『The Best Of Detroit Spinners』
    スピナーズ


    モータウン所属時に「イッツ・ア・シェイム」でヒットを放ち、移籍してフィラデルフィア・サウンドを代表するコーラス・グループとなった。収録されている「フィラデルフィアより愛を込めて」はディスコで大ヒット。
    『スマックウォーター・ジャック』
    クインシー・ジョーンズ
    (1971年)


    自身9枚目となるアルバム。テレビドラマ『鬼警部アイアンサイド』のテーマ曲も収録。日本ではB級ニュースをバラエティ調で伝える番組『テレビ三面記事ウィークエンダー』が、この曲の一部をファンファーレ的に使用し、有名に。
    『幻想の摩天楼』
    スティーリー・ダン
    (1976年)



    一流セッションマンばかりを贅沢に起用し、完璧なサウンドを作り上げる彼らの5枚目のアルバム。チャック・レイニーの素晴らしいプレイが存分に聴ける。
    『宇宙の騎士』
    TOTO
    (1978年)



    LAの腕利きスタジオ・ミュージシャン同士で結成されたロック/AORバンドのデビュー・アルバム。ポップな曲が多く、ヒット曲も多数。

    SELECTED DISCOGRAPHY

    岡沢茂の参加作品から注目盤をピックアップ。

    『Kaleidoscope』
    ミッキー吉野&渡辺香津美
    (1978年)

    FM東京により生放送されたラジオ番組『デンオン・ライブコンサート』でのスタジオ・ライヴを収録したアルバム。のちに日本の音楽界を背負って立つミュージシャンたちがズラリと顔を揃えている。
    『愛の世代の前に』
    浜田省吾
    (1981年)

    シングル「悲しみは雪のように」を収録した浜田省吾7枚目のアルバム。茂は多くのアルバムに参加し、ツアーにも同行しているが、本作では恩師の水谷公生がギターで参加。
    『Secret Gig』
    甲斐バンド
    (1989年)

    1986年の解散ライヴののち、1,500人限定で行なわれた非公開ライヴの演奏が、3年後にCD化。これをもって正式にバンドは解散、甲斐はソロ・アーティストとなる。
    『HOUND DOG ULTIMATE BEST』
    HOUND DOG
    (2009年)

    ひとりになった大友康平(vo)がHOUND DOG名義で、過去曲をセルフ・カバーしたアルバム。茂は小田原豊(d)とともに全曲で参加している。
    『LIFE WORK』
    西城秀樹
    (1996年)

    デビュー25周年記念として制作された、セルフ・カバー・アルバム。過去のヒット曲を吉野藤丸(g)が全曲アレンジ。ベースは茂のほか渡辺直樹と美久月千晴が参加している。
    「乾杯」
    長渕剛
    (1980年)

    同名の3rdアルバムに収録されたシングルで、のちに結婚式の定番ソングとして広く知られるようになった。この曲でも水谷公生(g)が参加。
    『Tenderness』
    岡沢茂
    (2017年)

    活動41年目にしてリリースした初ソロ・アルバム。普段のグルーヴ・ベーシストぶりとは打って変わってフレットレスをフィーチャーし、新境地を見せている。1曲だけ稲垣潤一がドラマーとして参加。
    『Tales from Rabbit Forest』
    H.U
    (2018年)

    H.Uの2ndアルバムで、林立夫(d)や佐藤準(k)など豪華メンバーによりレコーディングされている。アレンジとプロデュースは今剛(g)が担当。
    『君の場所』
    鈴木雄大
    (2020年)


    シティ・ポップス系シンガーとしてのソロ活動のほか、さまざまなグループを編成し、また楽曲提供やアレンジ、スタジオ・ミュージシャンなどマルチな才能を発揮する鈴木雄大の最新アルバム。

    【お知らせ】
    発売中のベース・マガジン2020年11月号の『ニッポンの低音名人』では、岡沢茂のこれまでの軌跡を追ったロング・インタビューを掲載!

    PROFILE
    おかざわ・しげる○1957年、東京・銀座生まれ、麻布~麹町育ち。15歳の頃、すでにプロとして活躍していた実兄・章の影響でベースを弾き始め、自身もプロを目指す。ローディを経て、かぐや姫の伊勢正三が始めたユニット、風のサポート・ミュージシャンとしてプロの道を歩き始める。同時に渡辺香津美(g)に誘われ渡辺香津美グループに参加し、憧れのクルセイダーズの日本公演ではオープニングアクトを務めた。その後は日本のトップ・ミュージシャンとして、さまざまなレコーディングやツアーに参加し現在に至る。参加アルバムやツアーは多岐にわたり、西城秀樹、岩崎宏美、松田聖子、甲斐バンド、浜田省吾、稲垣潤一、長渕剛、南こうせつ、矢沢永吉、松任谷由実、尾崎亜美、村下孝蔵、氣志團などなど幅広く多数。

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