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    【第48回】ベーシストの一番大事なスキルを磨け!/石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

    • Text:Jun Ishimura

    ベーシストの一番大事な能力は何でしょう?

    グルーヴ、タイム、音色、基礎テクニック、コードの知識、フレーズの引き出し、オリジナリティ、などなど……。もちろんどれも大事なんだけど、一番大事なのは何か。

    これは音楽ってなんなのか?ってことと関係があります。当たり前だけど、音楽は“聴く”ものです。なので、ミュージシャンの一番大事な能力は“聴く”ことなんです。僕らミュージシャンは、一般的なリスナーが受け取る何倍もの情報を聴き取れなきゃいけないんです。この“聴く能力”の大部分はスキル(技術) なので、鍛えることができます

    聴くスキルの鍛え方① 音楽を聴く

    まずはとにかく音楽をたくさん聴きましょう。出発点は好きなアーティストの好きな曲で良いので、徹底的に掘り下げて聴きます。もちろん、ただ聴くだけじゃなくて、能動的に聴く必要があります

    聴くスキルの鍛え方② 耳コピ

    能動的に聴くために絶対やるべきなのが耳コピです。耳コピすると“聴く能力”がめちゃくちゃ鍛えられます。フレーズのリズムと音程だけじゃなくて、音価とか、ハンマリングとかスライドとかの細かいニュアンスも聴き取りましょう。音色もよく聴きましょう。グルーヴと音色には相性があります。

    ベースの耳コピをガッツリやりつつ、ほかの楽器の演奏も聴き取りましょう。特にリズム・セクションの相方=ドラムが何をやってるかは大事です。曲ごと、フレーズごとに、ドラムが何をしてるか、キック、スネア、ハイハットなどがベースとどういう関係にあるか、理解しましょう

    それから、鍵盤やギターがどういう響きで、そのなかでベース・ラインがどうサウンドしているのかを理解するのも超大事です。

    好きなアーティストの曲をたくさん耳コピしたら、今度はそれらと同じジャンルの曲をいろいろ探して聴きまくって耳コピします。そうするとそのジャンルの特徴がわかってきます。

    それ以外のいろんなジャンルを幅広く聴くのも役立ちます。いろいろ聴いて比較すると、結果的に好きなジャンルの特徴もよりはっきりわかってくるし、いろんなジャンルを理解すればするほど対応力も身につきます。

    こうやって、普段の音楽の聴き方や耳コピで鍛えた“聴く能力”が、演奏するときに役立ちます。

    聴くスキルの鍛え方③ 自分の音を聴く

    演奏中は、弾きっぱなしではなく、自分の出した音をできるだけ聴いてください。まずは、“聴こう”という姿勢が大事です。注意力を意図的に分割して“演奏”と“聴くこと”の双方向に向けます。そして、音色、グルーヴ、ダイナミクス、ニュアンスがちゃんと表現できてるか、よく聴きながら演奏します。

    聴くスキルの鍛え方④ 共演者の音を聴く

    次は、自分の音だけじゃなく共演者のプレイも注意深く聴く訓練をしましょう。耳コピのときにほかの楽器も聴き取る作業をしていれば、演奏中にも共演者のプレイをより明確に聴き取れます。個々のサウンドも、アンサンブル全体のサウンドもどちらも聴けるようにしていきましょう。

    聴くスキルの鍛え方⑤ 内面の音を聴く

    そして、一番大事なのが、自分の心のなかの音を聴くことです。自分のなかでどんな音楽が、どういうグルーヴ、音色、ニュアンスで鳴り響いているか、具体的に聴こえますか? この内面のサウンドのイメージが弱かったり、そのサウンドを聴き取れなかったりすると、ただ指が動くから演奏してるってことで、それでは良い演奏にはならないです。逆に、内面のイメージが具体的で強烈で、それをしっかり聴き取れている人の演奏は、めちゃくちゃ説得力があります。内面の音楽とそれを聴き取る能力、これが一番重要だと思います。

    ということで、ぜひ日々の練習で“聴く能力”を磨いていきましょう!

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    石村順
    ◎Profile
    いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライヴや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

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