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    【第20回】“リスナーの耳に届く音”をイメージに近づける方法 音作りの落とし穴!②/石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

    • Text:Jun Ishimura

    前回(【第19回】CDと同じ音色を作るな! 音作りの落とし穴!①)“ほかの楽器によるマスキング”について話しました。完全にひとりで演奏する場合は別として、デュオでもトリオでも大所帯バンドでも、人とアンサンブルをする場合は、最終的にリスナーの耳に届く“ベースの音色”は“ほかの楽器の音色と混じり合った音色”なんですね。その音をできるだけ自分のイメージに近づけるにはどうしたらいいかというと、大事なのは音量と音質それぞれのバランスです。いくつかポイントがあります。

    ポイント① モニター・バランス

    リハーサルやライヴ、レコーディングでは、自分の場所で聴いてみて、自分の音がほかの楽器の音より極端に大きすぎないように気をつけてください。自分の音だけ大きく聴くのではなくて、アンサンブル全体をバランスよく聴くこと。そのうえで、“ほかの楽器の音色とのバランス”を聴いて音作りをすること。これが大事ですね。まずはドラムとの音量バランスを適切に作ることから始めるといいです。それからほかの楽器とのバランスも取って、全体のサウンドのなかでベースの音色をチェックしましょう。

    ポイント② アンプからの距離

    リハやライヴの場合、アンプから離れて音色を確認するのもいいです。

    そもそも、ほかの楽器とのバランスの話以前に、アンプの近くと遠くでは音色が変わります。自分の位置で聴いたらブーミーだから低音をカットしたのに、ほかの場所で聴くと低音がスカスカだったり、逆に、自分の位置で低音が物足りないからブーストしたら、ほかの場所で聴くと低音がボワボワだったり、という問題は割とよくあります。

    それから、アンプの近くに立っていてスピーカーの位置が低いと、高音域が足元をすり抜けてしまい、実際よりこもった音に聴こえます。その状態で音作りをすると、離れた場所で聴いていると、高音が耳に痛い音になってしまっているという問題もよくありますね。スピーカーの位置を高くしたり斜め上に向けたりして、なるべく自分の耳に向くようにするといいですね。

    ポイント③ 録音

    演奏中は演奏に注意を向けているので、聴いているつもりでも意外とちゃんと聴けていないです。録音して、あとから聴いて冷静に判断しましょう。ただ、自分のそばにレコーダーを置いて録音するとベースの音だけやたら大きい録音バランスになって判断が難しいので、できれば各メンバーから等距離の場所で録音するといいと思います。それが無理でも、ポイント①で話したように、自分の位置でのモニター・バランスを適切にしてれば、録音した音もそこそこのバランスで録れていると思います。

    ポイント④ コミュニケーション

    いい音色を作るためには、バンド・メンバーやPA/レコーディングのエンジニアの意見を聞いたり、こちらの要望を伝えたりすることがめちゃくちゃ大事です。独りよがりにならないようにしましょう。特に、前回にも話した“プレイヤーが作った音色はリスナーの耳に届くまでに加工されて変化している”という点に関しては、エンジニアさんの判断や好みが大きく関わってくるところなので、よく話し合って良い関係を作り、いろいろ教えてもらいつつ、こちらの要望も伝えて、良い結果を目指すのがいいと思います。チームワーク、大事です。

    これらのポイントはすべて、音色作りに限った話ではなくて、フレーズ作りやグルーヴ、アーティキュレーション、演奏のいろんな面を確認して、そして向上させていくために役立つことなので、ぜひ取り入れてみてください。

    ということで、いいね、シェア、コメント待ってます。SNSもフォローしてください。

    ではまた、石村順でした~!

    石村順
    ◎Profile
    いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライヴや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

    ◎Information
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