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  • NOTES

    『Could We Be More』ココロコ

    アフロビートとハイライフをUK独自の手法で更新

     ココロコはロンドン・ジャズの中心的な存在で、アフロ・ビートに特化したグループ。このバンドが個性的なのはアフロ・ビートを分析し、そのルーツでもあるハイライフを掘り下げ、フェラ・クティのみならずエボ・テイラーの影響も昇華しているところ。ゆえにギター主体のエボ由来の要素が入るとフェラとは異なる構造になる。そのうえでグライムやブロークン・ビーツを取り入れる幅の広さも魅力だ。なかでも人力テクノ系バンドのJabに参加するベーシストによる、デトロイト・テクノ系譜の音色と重さでダンスへと突き動かすように煽りながら動くベースが超強力。そこがDJから評価されるポイントでもあり、アフロ・ビートの枠を越える大きな理由でもある。(柳樂光隆)

    ◎作品情報
    『Could We Be More』
    ココロコ
    ビートインク/BRBW228
    発売中 ¥2,200 全15曲

    参加ミュージシャン
    【デュアン・アザリー(b)】シェイラ・モーリス・グレイ(tp,vo)、キャシー・キノシ(alto sax,vo)、リッチー・セイヴライト(tb,vo)、トビ・アデナイケ・ジョンソン (g)、オノメ・エッジワース(per)、ヨハン・カベデ(k,syn)、アヨ・サラウ(d)、リチャード・オラトゥンデ・ベイカー(talking drum)

    『ジ・アルケミスツ・ユーフォリア』カサビアン

    ヴォーカルが解雇という衝撃を越えた先は……

     ヴォーカルのトムが去り、今作から曲作りのブレイン的なポジションであるサージがヴォーカルになってバンドの色が濃くなった印象を受けた。サージの歌から広がっていくような①、これぞという音像感の②、レイヴ感マシマシな③と続くのだがこの時点でまったく違和感がない。ヴォーカルが今までと違うのにここまで違和感がないのには驚いた。⑩が特に好きで、この曲から感じる希望感みたいなものはサージがヴォーカルになったからできたんじゃないかと思うほど。残りのメンバーで続けるという選択肢を選び、素晴らしいアルバムを作ってくれたことに感謝。(マイケル/夜の本気ダンス)

    ◎Profile
    まいける●1989年9月7日生まれ、大阪府出身。2008年に結成された夜の本気ダンスに2012年に加入し、2016年の1stアルバム『DANCEABLE』でメジャー・デビュー。ピック弾きを主体とした独自のグルーヴを武器に、“人力ダンス・ミュージック”の根底を支える。2022年8月10日に配信シングル「STARLET」を発表。また9月28日にはミニ・アルバム『armadillo』をリリース予定で、10月4日からは全国15ヵ所をまわるリリース・ツアー“All Might Gyro” を開催する。

    ◎作品情報
    ジ・アルケミスツ・ユーフォリア
    カサビアン
    ソニー/SICP-6473
    発売中 ¥2,640 全12曲

    参加ミュージシャン
    クリス・エドワーズ(b)】セルジオ・ピッツォーノ(vo,g,k)、ティム・カーター(g)、イアン・マシューズ(d)

    『GHOST IN THE MACHINE DRUM』SuiseiNoboAz

    感情のウネリが凝縮された、存在感抜群のベース・プレイ

     前作『3020』がミュージシャンやリスナーから大きな注目を集めたSuiseiNoboAz。2年ぶりの新作は、2021年1月に新ドラマー・松田タツロウを迎えてからの初のフル・アルバムとなった。中音域でウネるフレーズはどれもスキルフルで1枚を通して何度も感嘆させられる。伸びやかさとタイトさが折り重なり、ドラムとともに作り上げられる緩急が印象的な②、スラップを交え、フィルターの効いた低音が淡々としたヴォーカル下で暗澹と蠢く⑤、ゆったりとしたリズムのなかにふと現われる和音が心地よく、後半でピアノ、ギターと絡み合うメロディアスなベース・ラインが美しい⑥など、それぞれの楽曲が持つ表情・感情をベース・ラインが見事に表わしている。(座間友哉)

    ◎作品情報
    『GHOST IN THE MACHINE DRUM』
    SuiseiNoboAz
    SuiseiNorecoRd/SNRD-002
    発売中 ¥2,970 全8曲

    参加ミュージシャン
    【河野“TimeMachine”岳人(b)】石原正晴(vo,g)、高野メルドー(g)、松田タツロウ(d)

    ウィル・オブ・ザ・ピープル』ミューズ

    原点回帰のロック・サウンドで呼応する、多彩な低音使い

     世界最強の3ピース・バンドが放つ約4年ぶりの9作目は、エレクトロに傾倒した前作から一転、原点回帰したかのような荒々しいロック・サウンドを存分に堪能できる一枚。先鋭的なグラムロックからピアノ・バラード、ヘヴィなメタリック・ナンバーと、多様な楽曲が揃うなか、エフェクターの名手としても名高い、クリス・ウォルステンホルムの変幻自在なベース・プレイが耳に突き刺さる。軽快なグラムロックの①での唐突な飛び道具系エフェクト、ハードなメタリック・サウンドの④で聴かす圧巻のファズ・ベースのほか、一定したベース・リフをメロディアスに展開する②など、幾重にも表情を変える多彩な低音が鮮烈な印象を残している。(加納幸児)

    ◎作品情報
    ウィル・オブ・ザ・ピープル
    ミューズ
    ソニー/SICX-30148
    発売中 ¥2,640 全10曲

    参加ミュージシャン
    【クリス・ウォルステンホルムb)】マシュー・ベラミー(vo,g,k)、ドミニク・ハワード(d)

    ANTHEMICS』The Ravens

    “アンセム”満載のエモーショナル・ロック

     Dragon AshのKjのソロ・ツアーのために集まったメンバーにより結成されたバンドの1stアルバム。結成の経緯もあり、Dragon Ash、Pay money To my Pain、山嵐などといったそれぞれの所属バンドのサウンドよりもKjのソロ作品に近い音楽性で、メロディを大切にしたエモーショナルなロックを展開している。ミディアム・テンポの楽曲が中心で、メランコリックなギターとドラマチックなピアノ/キーボードを配したスケールが大きく空間的なサウンドスケープにおいて、ベースはどっしりと厚いボトムを演出。独特な“ゾンゾン”とした音色の⑥やメロウなベース・メロディのある⑪のほか、一瞬のスライドや深いところから浮き上がるグリス、シンプルながらグッと押し出し感のあるラインで、派手ではないながら存在を誇示する。(中村健吾)

    ◎作品情報
    ANTHEMICS
    The Ravens
    MOB SQUAD/VICL-65722
    8/31 ¥3,080 全12曲

    参加ミュージシャン
    【武史b)】Kj(vo,g)、PABLO(g)、渡辺シュンスケ(k)、櫻井誠(d)

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